従魔の部 決勝です4
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そのオーガはほかのオーガとは違っていた。
そのオーガはほかのオーガと同じ、ダンジョンで生まれたオーガだった。
しかし、そのオーガはダンジョンに縛られてはいなかった。
自分の意志があったし、命令に強制権もなかった。
ただ、生きるために従ってはいたがダンジョンの主には忠誠心はなかった。
そのオーガが忠誠を誓ったのはたった1体。
白虎様だけだった。
白虎様以外には一切忠誠を誓わず、ただ白虎様の役に立つことだけを考えた。
白虎様の庇護の下を抜けようとする階層のモンスターを襲った。
白虎様を狙おうとする輩を襲った。
そのたびに傷つき、時には死に、ダンジョンコアによって生まれ変わった。
記憶だけを受け継いで。
ある日、そのオーガが休んでいると、ほかのオーガが騒いでいた。
侵入者が現れ、すでにオーガキングが倒されてここに入ってきているということだ。
これではもう復活することができない。
まあ、もうここには白虎様とここにいるやつらしか残っていないが。
現在、最近生まれた個体を含めた数体がそいつを探している。
ここにいるやつらは全員でボスの部屋の前で待ち構える形にするそうだ。
ただしそのオーガはそんなことはしない。
なぜか、何度死んでもともに甦った愛用の2本の棍棒をもってそこを離れた。
この先に敵がいる。
なんとなくだがそんな感じがした。
仁王立ちで通路にて待ち構える。
そしてその人族の男は現れた。
そのオーガは負けた。
最後は無様にも背を見せたところを狙い撃ちにされた。
対峙した時点で負けることはわかっていた。
どんな手段を使ったのかわからないが、あの玉座を手に入れたオーガキングを倒した男だ。
そのオーガが勝てるわけはないとわかっていた。
それでも腕試しをしてみたいと思ったそのオーガの認識が甘かっただけだ。
そしてその男に食われ、意識を失った。
そのオーガは意識を取り戻した。
その場所はプラチナコングの体内。
そのオーガはそのことをよしとしなかった。
もともとプラチナコングは白虎様に忠誠を誓ってはいなかった。
プラチナコングを逆に取り込もうとした。
しかし、それは果たせなかった。
1つの層を守り続けたボスだ。
そのオーガが勝てるわけがなかった。
だが、1つのことに気が付いた。
プラチナコングは本当は忠誠を誓っていたのだ。
ほぼすべての層のボスが、パイフーを離れても残り続けたということの意味を分かっていなかった。
そのことを知ったそのオーガはその力のすべてをそいつに渡した。
そしてプラチナコングは新たな進化へと至った。
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『こ、今回も出ました! シャドウ選手の従魔の今まで見たこともないような眷属モンスター! 予選のときのオーガエンペラーとはまた違った存在。名前は………えっと、『ゴールデンオーガコングロード』…だそうです! またあとでシャドウ選手にお聞きしましょう!』
胃が痛い。あんまりしゃべるとこの大会が終わった後にメイとしてなにか問題に巻き込まれる気がする。なにもないといいんだが…。
「やはり違うモンスターも呼び出しますか。プラチナコング、やれそうですか?」
「ウホウホ!」
「頼みますよ。プラチナコング、できることなら直接後ろを狙ってください。ゴールデンオーガコングロードを倒さなくてもそちらを倒せれば私たちの勝ちです!」
プラチナコングがゴールデンオーガコングロードをさけるように回り込もうとする。
しかし、目をつむっているはずのゴールデンオーガコングロードが常にヒメとプラチナコングを結ぶ直線上になるように移動するため、何度も右に行ったり左に行ったりと攻めどころを見つけられないようだった。気配察知とかそんな感じのスキルでもあるんだろうか。
そして、ついにしびれを切らしたのか、プラチナコングが動き出した。まっすぐゴールデンオーガコングロードに向かって走る。プラチナコングは、ヒメに攻撃した時と同じように高く飛び、腕のハンマーを振り下ろそうとした。
「ゲゲゲッ」
しかし、それはいつの間にかその細い腕で首をつかんでいたゴールデンオーガコングロードによって阻まれた。プラチナコングはそれを外そうと腕をつかむも、ピクリとも動かない。
ゴールデンオーガコングロードは、なにもなかったようにプラチナコングを上空に投げとばすと、魔力を手に集め、2本の棍棒が現れた。
「ゲヒッ」
それを構えたまま空中に飛び上ると、その棍棒をクロスさせるように振りぬき、プラチナコングを上半身と下半身に分かれた光の粒子へと変えた。
『決まったぁあああああ! 恐るべきパワー! あのプラチナコングをものともしませんでした。第3試合の勝者は、シャドウ選手!!』
ゴールデンオーガコングロードは俺のほうを見てにやりと笑うと、消えていった。絶対俺と戦う気満々だよあれ。
「シャドウ選手、お願いしてよろしいですか?」
「あ、はい」
もはやなにも言わなくても何が言いたいのかわかる。俺は若干棒読みになりながらも説明を終わらせた。
現在のヒメの眷属は4体。1体はアンセスタークイーンアントのはずだから、まだあと俺の知らない眷属が1体いるんだよな…。できるだけ早く残りの1体も把握しないと…。
次の俺の試合は14時からのはずなのでそれまでは2人と一緒に観客席で観戦だな。その前にヒメにご褒美あげないと。次の試合は大本命の試合だ。がんばってもらおう。
観客席に戻ると、二人が笑いながら迎えてくれた。隣にはノノさんとネネさんもいる。席そのまま空いてたんだな。
「お疲れ様。またすごいの召喚してたね」
「私もあんなモンスター見たことないわ。決勝で当たるかもしれないって思うと恐ろしいわ」
「あのスピードをとらえられるかわからないわよ。あんなところで進化するなんてありえないわ…」
「ネネさんさっきからそればっかり言ってませんか?」
「いいのよ。こんなもの愚痴らなきゃやってられないわ」
俺が試合をしてる間に仲良くなってるし。いったいなにがあったんだよ…。
「シャドウ君もそんなところにたってないで早く座ったら? いつまでも通路にいると邪魔になるわよ」
「あ、はい。ノノさん口調全然違いませんか?」
「あなたも敬語似合ってないわよ。もともと私はこっちが素なの。ちょっと怒ったりするとあんな感じになるけど」
「あの口調のときのあんたは怖いのよ。そんなんじゃまた相手に逃げら――」
「ネネ?」
「なんでもないです!!」
この二人の上下関係がわかった気がする。そして「今のは忘れなさい」と言いたげな目が怖いです。
俺はヒツギのすぐ隣の一番通路側に座る。今ノノさんの隣に座るのは怖かったから助かった…。
それから、串をお裾分けしたりのんきに話していると、試合まで15分といった頃、広場にプラチナタイガーとヴァルミネが出てきた。観客に向けて手を振りながら出てきたが歓声が疎らだ。大半は参加者か、参加者から話を聞いているんだろう。もしくはあの通りでのやり取りを見ていたやつもいるかもしれない。
それから五分くらいすると、タミアさんとパラウルフが出てきた。負けたときに首輪の能力が発動しないといいんだが…。
魔道具も切ってあるのか、なにか二人が話しているが聞こえてこない。
話終わったのか、二人は、モンスターを残してそれぞれ別々の方へ歩いていく。
二人が結界をでて少し経つと、12時の鐘が鳴った。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
冒険者 Lv69/99
武闘家 Lv47/60
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv18/20
????の勇者Lv10/??
狙撃主 Lv32/70
獣人 Lv8/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60 』
次回は視点が別の人です
誰の視点なのかはお楽しみに!
ではまた次回