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第3試合です2

 そいつが現れた瞬間、モンスターたちが一斉に距離をとろうとした。生物的な本能からかどうかはわからないけど本来ならそれは正解だったんだろう。こいつが相手じゃなければ。


 オーガエンペラーは、自分が出てきた魔法陣に腕を突っ込むと、そこから一本の大剣を抜き出した。

 およそ3mほどの大きさのその剣は見覚えがあった。あの時、俺がパイフーにてオーガキングと戦った時に奴が使っていた剣だ。ただ、あんなにでかかったかな?


 オーガエンペラーは、抜き出したその大剣を横に構えた。そしてそのまま振り切った。


 現れた瞬間から距離を取り始めていたモンスターたちの中にその大剣の間合いに残っているような奴はいない。かなり離れて集まっているはずなのにこちらを警戒しているのか一体も戦おうとしない。こちらをじっと見ているだけだ。

 だが、モンスターたちが2つに割れた。いや、割られた。横に。


 空中に避難していたモンスターたちと、とっさにジャンプできたランドドラゴンを除くすべてのモンスターが光の粒子になってリタイアしていく。あの首輪をつけたりはしてないから吸収されたりすることなく全員が空に消えていく。

 空に残っていたモンスターたちも次の攻撃で切り裂かれた。オーガエンペラーは一歩たりともその場から動いていない。もしかしてあれ『剣閃』で飛ばしてるのか?

 これで残ったのは4体。ヒメ、オーガエンペラー、ランドドラゴン、そして物理技が効かなかったおかげで残ることのできたアイスゴーストだ。


「ぐがががががあぁあああああああ!!!」


 オーガエンペラーが雄たけびとともに口から炎の弾を撃ちだした。あれも知っている。『バーストショット』だ。

 俺はそれを見て確信した。こいつは俺が喰ったオーガたちが使えた技やスキルをすべて使うことができるのだ。もともとオーガキングだったときにもそれはあった。あいつはオーガガーディアンを喰らって結界を自分の意思で使っていた。つまり他の、オーガソードやオーガメイジ、オーガシーフたちも全員こいつに取り込まれているんだろう。少なくとも俺に影響はなさそうだしよしとしよう。いや、よくはないな。

 それはアイスゴーストを包み込み、爆発した。そしてその煙が晴れた時、すでにアイスゴーストはいなかった。

 それを確認したオーガエンペラーはヒメのほうを向いて跪き、頭を垂れるとヒメの体に粒子となって戻っていった。


『ななななな、なにがおこったんだぁああ!? 一瞬、そう一瞬で残る魔物は2体になってしまった! おい魔道具部隊、さっきの解析の結果でてるか!?』


 アナウンスの人も焦っているようだ。本来なら最後の言葉みたいな裏でやってることはアナウンスに乗せちゃダメだと思うが、普通にしゃべってしまっている。


『えーっと、解析結果が出ました。あの魔物は、シャドウ選手の従魔である、ヒメの眷属モンスターで、オーガ…エンペラー? オーガエンペラーです。シャドウ選手、説明お願いできますかー?』


 うわーあきらめちゃったよ。俺のほうに会場のみんなの視線が向いた。これ説明なしじゃダメなんだろうな…。

 通路の方から走ってきた係員もマイクみたいな魔道具をもってきていた。


「こちらでお願いします。すでに魔力はこめてありますのですぐにお使いできます」


 なんて親切なんだろう。涙が出そうだ。

 俺は半ばあきらめながらそれを手に取ってしゃべりだした。


『あーあー皆さんこんにちは、シャドウと申します。あの魔物は、オーガキング種という種族の魔物の亜種で、オーガエンペラーといいます。正直最後に見た時はオーガキングだったと記憶しておりまして、自分でも若干わかんないです。ヒメに完全に従ってますので暴れたりはしません。襲われない限りは』


 最後の一言が余計だったのか、周りにいた選手の一部からヒッと悲鳴が上がる。いや、未然に襲われるのを防ぐのって結構大事だったりするからな?


『あ、ありがとうございました。えーくれぐれも、くれぐれも襲うことなどありませんようお願いします。では改めまして、第3試合の勝者は、第1試合でその強さを見せてくれたノノ選手の永遠のライバル、ネネ選手のランドドラゴンと、一般の部では本人が、この従魔の部ではモンスターが、過去に3例しか前例のない、2部門同時制覇となるのか、シャドウ選手のヒメ!』


「うぉおおおおおおおお!!!!!!」


「ぐぉおおおおおおおお!!!!!!」


「かうぅううううううう!!!!!!」


 観客の歓声にこたえるかのように2体が声を張り上げる。

 ヒメのどうだ見たか! と言いたげなそのにっこり笑顔に癒されながら、ヒメを抱え上げて俺は係員に従って別室に向かった。







「お疲れ様でした。まずはお二人とも予選突破おめでとうございます」


「私の子は何もしてないけどね」


 言葉に若干のとげがありますよ。


「ヒメ、というかあいつに全部持ってかれましたからね。なんかすいません」


「別に怒ってないわよ。むしろ楽ができたわ。それにあの子もいい訓練になったでしょうし」


「説明を始めてもよろしいでしょうか?」


「はい」「ええ」


「まず、お二人には第4試合が終わるまでこの部屋にいてもらいます。もちろんモニターはあちらにございますので試合を見られないということはありません。第3試合が想定以上に早く終わってしまったため、他の方はまだ来ておりませんが、第1試合、第2試合での決勝進出者の方もすぐ来られると思います。第4試合の勝者が決まり、8名全員がそろいましたら説明を行い、明日のトーナメントをこの場で決めます」


「広場に出てやるんじゃないの? たしか前回はそうしてたと思うけど?」


「今回は少し事情が前回とは違いますので。今回のみのことだとお考えください」


「わかったわ」


「それでは第4試合が始まるまでしばらくありますが、おくつろぎください。それでは失礼します」


 係員は部屋から出ていった。






「うーん、時間はあるし自己紹介だけはしておかない? 私はネネ。ノノとはライバル関係にあるわ」


「いいぞ。俺はシャドウだ。普段は冒険者をしている」


「冒険者なんかみんなそうよ。私も普段はあの子と迷宮ばっかり潜ってるし」


「ランドドラゴンって迷宮大丈夫なのか?」


 迷宮の通路はたしかに広い。高さもそれなりにあり、たしかに大型のモンスターが歩いても問題ないといえば問題はない。

 だが、あのランドドラゴンが通れるかと聞かれると微妙だとしか言えない。

 俺たちが最近攻略したダンジョン『アントホーム』はそんなに広いとは感じなかった。大きな通路はけっこうな広さがあったが、あのダンジョンで下層まで下りていくにはどうしても横道を通っていく必要がある。蟻の巣というだけあって曲がりくねって、けっこう細い道もあった。それでも3人横に並んで通れるけど。


「大丈夫よ。広場での戦闘しかあの子は呼ばないから。普段はこっちの子を呼んでるの」


 ネネのすぐそばに小型のモンスターが出てくる。名前はラプター。ランドドラゴンの眷属にして、二本足で歩き、鋭い爪と牙をもつ細身のモンスターだ。陸竜使いにしては竜っぽくないけれど、種族は劣亜竜種。亜竜種の中でも弱いことを示す劣の字がついているが立派な竜種であることに変わりはない。


「この子は以前村の防衛依頼を受けた時に仲間にしたの。襲ってきた群れの1体だったんだけど、捕縛してあの子の眷属にしたわ。他人のモンスターとか上位種ならともかく野生の、それもダンジョン外のモンスターだからね。そんなに苦労はしなかったわ」


「そうなのか」


 この世界のモンスターは、ダンジョンのモンスターとダンジョン外のモンスターで大きく異なる。

 ダンジョンのモンスターは基本的に死んでも少したてば同じモンスターがダンジョン内のどこかに生まれる。それ故にダンジョンとの結び付きが非常に強い。眷属にしたり、従魔にするのはかなり難しいと言われている。

 一方でダンジョン外のモンスターは、ダンジョンから出てきたものと、はじめから外で生まれたものがいる。どことも結び付きがなく、ダンジョン内に比べれば眷属にするのは簡単になる。実際にはそれでも難しいらしいけど。


「…ねぇ、最初から思ってたんだけどさ」


「どうした?」


「ずっと抱いてるその子ちょっとギュッとさせ「嫌だ」て」


「いいじゃない! そっちはずっとやってるんだし少しぐらい私にも分けてよ!」


「ヒメは渡さん。やりたいならそっちのラプターをギュッとすればいいだろうが」


 俺の言葉でラプターがネネを見て期待するような眼差しを向けていた。いいアシストだ。


「この子はそっちの子みたいに気持ち良さそうじゃないもの!」


 おい、ラプター涙目になってんぞ。

 それからしばらく言い争いをしていたが、それはジルビダという老人が来て、それを諌めるまで続いた。



どうもコクトーです


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX(10)

 格闘家 LvMAX(50)

 狙撃手 LvMAX(50)

 盗賊  LvMAX(50)

 剣士  LvMAX(50)

 戦士  LvMAX(50)

 魔法使いLvMAX(50)

 冒険者 Lv69/99

 武闘家 Lv47/60

 薬剤師 Lv35/60

 鬼人  Lv18/20

 ????の勇者Lv10/??

 狙撃主 Lv32/70

 獣人  Lv8/20

 狂人  Lv1/50

 魔術師 Lv1/60

 ローグ Lv1/70

 重戦士 Lv1/70

 剣闘士 Lv1/60 』


第3試合が終了しました

文字数の都合で中途半端なことに…


最近新作を考えてます

これがキリついてからと考えると…いつになることやら


ではまた次回

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― 新着の感想 ―
[気になる点] オーガ君、横に構えて縦に割るのは、無理ある。
[一言] ここの白虎は何処の位置づけかな。大抵は聖獣や神獣の扱いだけど。経験不足で負けることはあっても取られることはないだろうな。神獣と同等でない限りは(笑)
2019/11/13 13:49 退会済み
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