決着です
俺は浮かんだ1つの疑問を解決するために動くことにした。
「玉座を壊す」
俺は剣で防がれていない部分を集中して狙うことにした。そもそもこいつがほんとに玉座を守っているかもわからないがそれでも現状を打開する手掛かりになってくれればそれでよかった。後ろに回った時には剣で防ぎきれていない部分を狙い、前に来たときも足の間を狙い玉座に当てようとする。同時に顔めがけて投げることで意識をそちらに向けて狙いを気づかせないようにすることも忘れない。さらにもう1つ仕掛ける。
円が若干狭まっていく。それにつれて攻撃の手をはやめる。もともと追いついていなかった再生がさらに追い付かなくなり疲れが増していくが知ったこっちゃない。そしてしばらくたったとき、ついにそのチャンスはきた。
オーガキングが攻撃を防ぐためにこれまでとは違った大きな動作をしたのだ。大きな動作はその分大きな隙を生む。俺は攻撃を止めてダッシュで玉座に張り付く。オーガキングの真後ろ。ちょうど死角に当たる位置だ。しかしこれも後ろからこないことですぐに気づかれる。そのまえに少しでも動く。
アイテムボックスから短剣を2本とりだす。剣術スキルのおかげで少しは動きがわかる気がした。短剣でも反応してくれるのか。その2本をしっかりと持って玉座をきりつける。当然固い玉座の前に短剣はあっさり折れる。しかし傷がついた。
「グガァァァァァァアァガァァアガァアア」
オーガキングの叫びが響いた。やっぱり思った通りだ。
「こいつは玉座があることで力を発揮する。だけど玉座が傷つけばそれは崩れる」
オーガキングが玉座から立ち上がり頭を押さえて苦しがる。その間に俺は玉座に顔を近づける。
「さて、俺は敵のパワーアップアイテムとかすぐに消すタイプなんだ。だから」
巨大な玉座が俺の瞳に喰われる。
『スキル:不動明王を習得しました』
意味わかんねえ。そしてすぐに剣も喰らう。こんな大きなもの使えないしな。
『スキル:大剣操作LvMAXを習得しました』
残されたのは体中に傷が現れたオーガキングと俺だけ。
「さてオーガキング。あとはお前だけだ。結界ももうあんま使えないだろ? どんだけ回復すんのかは知らないが。お互い拳といこうぜ」
俺はオーガキングに拳をつきつけた。
つかいつから俺ってこんなキャラになったのかな? さっきまでいかに遠距離から攻めるかとか考えてたのに。これも不動明王スキルの影響かな? そんなことを考えながらオーガキングを睨み付ける。オーガキングも俺を睨み付けてくる。そして応じるかのように吠える。
その声に反応するようにオーガキングの体が赤く染まっていく。それに伴い体が2メートルほどまで小さくなる。ちょっなにそれ。すぐに『鑑定』をする。もしかするとオーガみたいにハイオーガに進化するのかもしれない。
『真オーガキング:オーガキングが進化した姿。オーガキング亜種』
「まじか。お前やばいじゃねえか。亜種とかふざけんなよ? 『再生』おいつくかな……」
うなだれながらも構える。
「さて、さっきで最終戦にしようとか思ってたけどやっぱやめだ。第4戦、本当の最終戦といこうぜ!」
俺と真オーガキングは同時に駆け出す。二人の拳がぶつかり衝撃が広がる。散らばっていた岩も残骸も壁まで吹き飛ぶ。正直今ので右腕がいかれかけた感覚がある。
それでもお互いの拳がぶつかる。時に骨を砕き、時に肉を抉る。
もうこの戦いにガードなんかいらねえ。
お互い傷つくのを無視して殴り続ける。やつの拳が俺の腹をとらえる。同時に俺の拳もやつの腹をとらえる。
お互いに吹っ飛んだ。
それでも立ち上がり正面を向く。
目の焦点が合わない。
輪郭がぼやけて見える。
それでも前に進む。
「らぁあああああああああああああああ!!!」
「グガァァァァアアアアアアアアアアアア!!!」
お互いに拳を繰り出す。
真オーガキングの拳がリーチで勝っている分先に届く。これまでで俺はそのことを痛感していた。
だからなのか、それとも体術スキルが発動していたことが原因かはわからなかったが俺の体はそれをかわした。
拳圧で生じた風が俺の頬を撫でる。その隙を俺の拳が真オーガキングの顔面にささる。
「うぉおおおおおおお!!!」
そのまま腕を振りぬく。頬を捉える感覚が拳からはっきりと伝わってくる。
真オーガキングは宙を舞った。そして受け身も取らず地面に落ちた。同時に俺の緊張の糸も切れたのか地面に倒れてしまった。『再生』で回復はしているが顔を動かすので精いっぱいだ。つか全身が痛い。骨とか何本折れてんだってレベルだし足の疲労も半端ない。回復あるしって走り回っていた罰かコノヤロー。
全身の痛みに襲われながら俺は倒れている真オーガキングを見る。ピクリとも動かない。まあここで動かれたらまずいが……。とその時、俺の視界に文字が浮かぶ。
『真オーガキングの討伐を確認しました
ダンジョンの攻略を確認しました
称号:ダンジョン攻略者になりました』
なんか表れた。これも『鑑定』スキルのおかげなのかな?
『職業:冒険者がLv15になりました。
格闘家がLv30になりました
狙撃手がLv20になりました
盗賊がLv10になりました
薬剤師がLv10になりました
????勇者がLv5になりました
スキル:マッピング 足捌き 集中 受流し ロックオン 観察 双剣術 ポーション作成 精神耐性LvMAXを習得しました
職業:剣士、武闘家、戦士、魔法使いになりました』
なんか色々手にはいった。便利そうなスキルも手にはいったからよかった。つか精神耐性だけはじめからレベルMAXなのな。
そしてレベルが上がったことで防御力や体力も上がったのか体から痛みが引き、動くようになった。俺は体を起こして真オーガキングのもとへと向かう。そしておもむろに真オーガキングの体に顔をつけると瞳がその体を喰らった。瞳の中にすべて消え去る。その瞬間、俺の全身に痛みが走る。
「いっっってぇぇぇええええ!!!!」
なんなんだよ!? 痛みこないようになったんじゃなかったのかよ!?
それでも痛みは全身を襲い続ける。
そのまま痛みは5分続いた。そして俺の意識は痛みと共に消え去った。
『スキル:鬼の一撃Lv1を習得しました
全方位結界Lv1を習得しました
怒りLv1
パラメータ:全上昇(中)を習得しました。
職業:鬼人になりました』
そして広場には静寂だけが残る。
広場の中央にて倒れる鳴。そして数時間後、目を覚ました鳴がみたものは出口に繋がる扉とか外につながる穴とかではなかった。
それは地下への階段。
未だかつて数千年にわたり挑まれることのなかった強大な迷宮。
世界にある四つの知られぬ主要迷宮の1つ。
『パイフー』の入り口だった。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX
冒険者 Lv15
格闘家 Lv30
狙撃手 Lv20
盗賊 Lv10
薬剤師 Lv10
????勇者Lv5
剣士 Lv1
武闘家 Lv1
戦士 Lv1
魔法使いLv1
鬼人 Lv1』
オーガキングとの戦いが決着つきました
大幅にレベルアップ!
ではまた次回