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錆び付いた

 上岡真はただ歩いていた。本当に言葉通り、『エンジェル』の本部内をニコニコと微笑んだまま観賞するように歩く。周りからは弾丸を浴びせてくる者や刃物を振り下ろしてくる者がウヨウヨいるが、全て彼の体に振れる前に絶命していく。

 ショットガンを発砲しかけた者は、突如、上半身の肉が飛び散る。

 ライフルを乱射しようとした者は、突如、頭が粉々に吹き飛んだ。

 そんな現象が永遠と続く。

「はは、うわすごいですね。設備整ってていいなー。『デーモン』って古臭い機材しかないし、ぶっちゃけ時代遅れな設備で困るんですよね。エレベーターだって、あれ無理やりこじ開けることもできるくらい強度ないし」

 やはり格が違うのだ。

 上岡の周りではバタバタと倒れていく『エンジェル』の者が多発する。彼は歩くだけ。ただそれだけで、『戦闘意思』さえも浮上させることなく、上岡はあらゆる敵を薙ぎ払える。

 殺すなんて考えない。



 周りが勝手に死んで行くのだから、殺すという思考さえもすることはない。



 それが怪物人間の力。

 もはや世界そのものが、彼の進んだ後ろから勝手に滅んでいくレベル。

(そういえば)

 ふと、上岡はマシンガンに囲まれ、弾丸を浴びせられている状況の中で、一切の傷を負うことのないまま思考を切り替えた。

(豹栄さんとかどこいったのかなあ。まあ、あの人なら問題はないですね、死なないんだし。それよりも心配なのは大柴さんかな。彼だけは返り討ちに会う可能性がありますし、夜来さんもなんだかんだで『死ぬ』可能性もあるにはある。触れた存在を破壊する、なんて最強チートっぽくは聞こえますが、彼が破壊できない驚異の場合はその最強チートも意味はない。所詮は破壊するだけです。脳みそを打ち抜かれたら、即終了に変わり無いですからね)

 どうやら少しは上司らしい考えを持っていたようだ。

 軽い調子ではあるが、部下の身の安全を頭の片隅で整理する上岡。豹栄真介のような不死身に心配はいらないだろうが、事実、彼も前回の『エンジェル』と激突した大きな戦争で『魔術』を使う『悪人』に殺されかけたことがある。夜来初三に関しては、何度か『絶対破壊』を擦りぬける敵も出てきているので、万が一も大いにあるだろう。大柴については純粋に心配が必要だ。

 故に。

「何か、皆さんおてんばが過ぎて殺されそうですよねー。はははっ」

 軽く笑った彼は。

 ふと周りを見渡して気づく。

「ありゃ? もう終わってました?」

 自分の周りに転がっている『エンジェル』達の無残な姿で一時終了を悟った。どうやら既にここら一体の鎮圧は幕を下ろしたらしい。

 と、そこで。

 これからどこを潰すか考えていた上岡は、視線を右にやってそれを発見した。

「……」

 大きな錆び付いた鉄製のドアが、廊下の一番奥に立っているのだ。

 上岡は笑顔のまま、一言も発さずに禍々しいドアへ向かう。




 

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