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バー

新章開幕です!


 全てにおいて絶対を極めた悪。

 それは全てにおいて悪だと認識される存在であるが、同時に『救いようのない』悪でもあることは明白だった。中身がないのだ。自分なりの悪を意識したルールも、規則も、掟も、決まりも、約束も、決心も、決意も、全てが全て何もない。

 ただ一つ確かなのは、誰が見ても悪であること。

 どの視点から観察しても、全て全て悪だということ。闇さえも飲み込む無であること。答えなんてない悪だということだ。

 これは、そんな絶対を極めた悪という存在を少しばかり解明するお話。

 絶対悪という内側を除く悪人話だ。


 



 天山市の繁華街とは深夜から特に賑わい出す。というのも、風俗店が盛んだとか怪しい店のシャッターが開くからとかの危ないことが原因じゃない。純粋に、天山市とは都会から離れれば農業が盛んな街でもある故に、田舎のほうで働く若者は都会の匂いに釣られてフラフラと繁華街へやってくるのだ。そして、その訪れる時間帯が仕事終わりの夜間ということだけ。どの街も似たようなシステムかもしれないが、天山市は特にずば抜けているだろう。 

 そんな深夜の繁華街には、一軒の古びたバーが立っていた。

 地下へ繋がる階段を降りていくと、扉があり、開いて入出すればマスターがカクテルを作ってくれるだろう、ありきたりな店である。

 そんな店内では声が響いた。

「あー、暇だな。くっそ暇だ。しかしどうしたもんかねぇ……人間暇に飲み込まれると独り言が多くなるっていうし、何か変人へ成り果ててるな俺」

 薄暗い店の中で呟いたのは、カウンターにある客席にふんぞりかえっている二十代くらいの男。彼は経営危機に陥りかけている、この店のオーナーだ。しかし客引きをする様子もない。他にも幾つかの仕事を持っているのだろうが、それにしてもやる気は微塵も感じられなかった。

 なぜなら、単純にこのバーが潰れることに納得してたから。

「あーあ、やっぱり『副業』を本業に変えるか。っつーか本業がこれだから、ぶっちゃけそれしか道はないんだよな」

 人一人いない、寂しい店内を見渡してぼやく。

 客席に座りながら、椅子をクルクルと回すことで自分自体を回転させて暇を潰す。もはや諦めたようだ。この店は捨てて、副業とやらに専念したほうがいいと決意する。

 多少は思い入れもあったのか、ため息を漏らす男。

 しかしそこで、

「お」

 ガランガラン、という入店を合図するベルが鳴り響いた。

 客がやってきたのだ。

「ああ、すいませんねお客さん。見ての通り静かすぎて胸が締め付けられる店なもんで、まさかお客さんが来るとは思ってませんでした」

 バーテンダーという職業柄か、フレンドーに声をかけて仕事場へ戻っていく男。彼はカウンターの席に客が座ったのを確認して、メニュー表をカウンターテーブルへ置く。

 客数は二人。

 黒髪の男と銀髪の子供だった。


天山市って住みやすそうだな(笑) 地方都市といっても自然も多くあるし、何より都会と田舎が両立した感じでいい(笑)

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