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 世ノ華雪花の目が見開かれる。

 唯一生き残っていた白咲黒乃が薄く笑って目を細めると同時に、彼女は懐から一枚の紙幣のようなものを取り出した。見覚えがある紙切れだ。どこか薄暗く、オカルト臭プンプンの怪しい雰囲気を纏う、何度も見てきた紙切れ。

 


『悪人祓い』が『対怪物用戦闘術』を使用する際に用いられる、特殊な御札そのものだった。



 つまり白咲の正体は単純明快で、

(『悪人祓い』かコイツ!?)

「じゃ、鬼に金棒って構図を崩してあげましょうね」

 怪物を宿した悪人である世ノ華にとっては、これ以上ないくらい最悪の相手だ。しかし向こうは待ってくれない。取り出した御札を空中に放り投げると同時に、白咲はブツブツと呪文を唱える。

 直後に。

「っ!?」

 ズゴッッ!! という轟音が響き、発光した御札が風の塊になって飛んできた。地面を削り取りながら猛烈な速度で突っ込んでくる衝撃波だ。

 世ノ華は思わず転がって回避行動を取る。よって地面に付着し、服が汚れるが気にしない。

 なぜなら、すぐに追い打ちはやってきたから。

「ほらほら逃げないと死んじゃうわよー? 絶命街道一直線みたいで可哀想」

「チッ!!」

 再びヒラヒラと舞った複数の御札が、豪雨のような閃光へ変わり果てる。連続して響く破壊音。世ノ華の華奢な体を貫こうと放たれる閃光の嵐は止むことを知らなかった。

 マシンガンのような銃声が炸裂する中で、閃光の雨をかわしきっていた世ノ華は苦い顔をさらに歪める。

(くっそが!! これじゃ回避するだけで精一杯よ!? っていうかなによあれ、反則すぎてムカついてくるわ。何であんなバグ技みたいな術使ってんのよ!!)

 思案している間も、光の連続砲撃は続く。

 さすがに回避が追いつかなくなってきた世ノ華は、ようやく心で決意を固めた。

(……やるか)

 走り回って逃げてばかりだった世ノ華が、急に立ち止まって目の色を変えた。その様子に白咲は怪訝そうな顔をして、小首を傾げる。

「んー? もしかして降参?」

「いいや違う」

「ありゃ、じゃあ何で世ノ華ちゃんは立ち止まっちゃったの? あ、っていうか動かないと……死ぬよ?」

 宣言通り、閃光の一撃が世ノ華の肉体へ突っ込んでいく。本来ならばかわしてやり過ごすのが当然だが、どうにも彼女は動かなかった。世ノ華は細めていた両目をさらに細めて、ふぅと落ち着くように息を吐く。

「かっ飛ばすぞコラ」

 直後のことだった。

 世ノ華の体を今まさに貫通しようとした閃光が、少女の上半身を消し炭にしかけた直撃の瞬間、



 ズガン!! という轟音が炸裂する。

 直撃の寸前に、世ノ華雪花が金棒を使って閃光を打ち返したからだ。

 

 

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