行動開始
そんなこんなで。
ようやく帰れている鉈内達御一行。何だか鉈内的には危ない面子と危ない面子同士が顔を見合わせたことにより、自分に降りかかってくる驚異レベルが上がりそうで恐ろしいものだ。
「あー、もう疲れた。疲れすぎて体が悲鳴あげてるよ。血反吐流して痙攣しながら必死にマイボディが休息を求めてるよ」
「いいからさっさと帰りなさい。私達はここでお別れよ」
「!? そ、そんな、僕とは遊びだったのね!?」
「ああそうかい遊んでやるよ感謝しろォォおおおお!!」
いちいちムカつく反応を返してくる鉈内の頭にヘッドロックを決める世ノ華。ガッチリと腕で脳みそを圧迫されている故に、鉈内の悲鳴は美しいほどに鳴り響く。
が、しかし。
パッと、世ノ華は意外にも簡単に鉈内を開放した。
何だかいつもより優しい手加減に拍子抜けした鉈内は、
「あ、あれ? いつものノリじゃ僕は頭蓋骨を花火に変えられる運命だったと思うけど……。どうしたの世ノ華、生理か?」
「フン!!」
「ごはっ!?」
セクハラ発言もここまでくれば、少女・世ノ華に蹴り飛ばされても文句は言えない。腹部にクリーンヒットした蹴りによって地に膝をつく鉈内は、涙目で世ノ華を見上げて、
「ご、ごっは……!? く、くるぜこの蹴り、真っ白に燃え尽きそうだぜベイベー……!!」
「私の生理は乙女の神秘と言われてる超常現象だ。そう易々と拝めると思うなボケ」
「じゃ、じゃあどうして今日はいつもよりおかしいの? 夕那さんとこ帰んなきゃ、おつかい報告もできないぜ?」
「悪いけど、私も雪白も大事な乙女の用があるのよ」
「……タンポン派っすか?」
「そういう用じゃねーよ!! 死ねゴラァ!!」
どうやら生理用品を買いに行くと誤解していたようで、世ノ華は一通り鉈内をシメてから踵を返す。雪白も素直に彼女へついていき、残ったのはピクピクと道端で倒れふす鉈内だけだ。
彼はゆっくりと体を起こす。
「痛ってて。いつものコントにしちゃ、随分とぬるいから変な感じだったなぁ」
街の中心部で行くのだろうか、雪白と世ノ華の遠ざかっていく背中を眺めて、鉈内は溜め息を吐いた。
一方。
並んで歩く世ノ華と雪白は、お互いに顔を見合わせて、
「行動開始だな」
「ええ、行くわよ」
二人だけの戦いに挑む。
獲物は本道詩織ただ一人。
彼女と戦い、勝ち、あの少年へ繋がる鍵を手に入れるのだ。鉈内達には知られることなく、ただ二人だけで壁を撃破するしか渡る橋はない。
危険。
驚異。
恐怖。
そんなリスクは百も承知。
しかし、リスクを乗り越えてこそ得られるものを求めて突き進む。




