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汚染

 

 悪とは風邪と同種である。悪から悪が生み出されていき、悪が善を侵食していく。真面目で勉学に勤勉だった子供が不良グループとつるむようになって親が悩む、みたいなものだ。

『付き合う友達は選べ』という台詞を親が吐くことがあるが、実に正論である。影響されて悪に染められることは可能性が非常に高い。故に人付き合いというもので人は悪に汚染されることがある。

 しかし本質を理解していない場合は別だ。

 ようは、『見た目が悪い』者を外見だけで判断し、『悪』だと評価して『付き合う友達は選べ』と吠えるような親は馬鹿だ。問題は中身。本質なのである。見た目なんてものはいくらでも着飾れる。化粧なり整形なりと様々な手段を持って『見た目』が良い人になれるということだ。

 つまり、見た目だけで判断すると後々痛い目をみるパターンがある。

 逆に見た目が悪そうな相手でも、中身が善によって輝いてるならばまったくもって悪に汚染されることはない。なぜなら着飾って見た目を悪にしているだけで、『根』は優しいから。

 見た目は悪にも善にもなれる。良い人にも悪い人にもなれる―――見た目ならば。

 でも中身はそう簡単に悪にも善にもなれない。人格、性格、という長年の産物をコロリと善に変えたり悪に変えたりはできないのだ。ようは見た目のように『着飾ることができない』のである。

 さて、ではここで問題。

 親を殺したとある街中の者たちはニコニコ笑顔で話しかけてくれました。とある少年と少女はそんな優しい街の人たちを守るために怪物退治へ動きました。

 しかし真相は。

 怪物を生み出したのはその街の人達だったのです。

 つまり着飾っていただけだ。街の者は中身が真っ黒でドロドロとしているが、外面だけは『優しい』ように認識できる。

 一方、怪物のほうは街の者達を殺してもしょうがないくらいの怨念を抱えているというのに、その殺害衝動を必死に押さえ込んで暮らしていた。

 ……どちらが悪だ?

 当然答えは決まっている。

 どちらも悪だ。

 しかし、怪物という悪を生み出したのは街中の人間だ。つまりは悪を生み出した悪。己の犯した悪行からさらなる悪を作り上げた―――自業自得の馬鹿ども。

 これは、そんな悪人を生み出した悪人達の悪人話である。 

 

  

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