前へ目次 次へ 122/539 悲しい 返しきれない感謝がある。 返済なんて不可能なほどの優しさを貰った。 しかし感謝に背き敵対する道を選ぶことになる。 あの人のおかげで生きてこれて、あの人のおかげで心臓を動かせていて、あの人のおかげで何もかもが自分の中で存在していると言っても過言ではない。 しかし背を向ける。 クルリと踵を返す。 それがきっと―――最終的にあの人へ送れる『感謝』のお返しになるから。 これは、己の意思を貫くために大切な人と敵対するお話。 そんな悲しい。 悪人話だ。