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朝日真也の魔導科学入門  作者: Dr.Cut
第二章:雷神鉄鎚-4『Day Hard』
49/91

49. アイアイ★こらむ④ 光を追い越せ!! 転位魔術!!

注)アイアイ★こらむは電波系楽屋落ちコーナーです。真面目な方、まともな方、あるいは毒電波に対する耐性が無い方などが読まれますと、精神とかに何らかの異常をきたす可能性がありますのでご注意下さい。

「アイアイ❤こらむ~~~~❤」



「…………」



「コニャニャチワ~~❤

一部で密かに大人気? 朝マガ世界のマスコット!!

アホ毛のハムスターこと相川 愛です❤

甘々バカップル達に物申すため、今日も性懲りもなくやってきちゃいましたよ~❤」



「…………」



「はい!! それじゃあ張り切ってイッてみましょ~❤

――ってあれ? 教授、どうしたんですか?

なんでそんな、なんか春によく出るおかしなヒトとか見た様な目で黙ってるんですか?」



「………………ナニ食った?」



「へ――? あ、いえ。別に何でもないんです。

ただ、その……。ぶっちゃけ朝マガの正ヒロインって言えば、今のところもう誰がどう見たってアルちゃんじゃないですか。メインキャラの男女比が半々くらいのお話ですけど、大体みなさんお相手が決まってる感じですし、“なろう”さんの他のお話とかににくらべて、明らかに教授ってヒロイン不足じゃないですか」



「オレはヒロインなんか一度たりとも求めた覚えは無いし、そもそも知人が増える事自体が苦痛なんだが、まあそれを言っても仕方ないんだろうな……。

で、結局ナニが言いたいんだ?」



「はい!! つまりですね!! 最近戴いたコメントとか見てますと、わたしってもしかすると、実はアルちゃんよりも人気があったりするんじゃないかな~と!!

その、だからこうやって女の子アピールとかしてもっと人気が出れば、もしかしたらわたしもトリップして教授とラブラブなんて展開も……」



「……無いからな」



「へ? でもでも、先輩たちとかのお話とかを見てますと、たまに元の世界から幼馴染属性のヒロインとかが……」



「無い!! てかいつの間に君はオレの幼馴染になった!?

さり気なく都合の良い属性を捏造しようとするな!!」



「あう~……。夢くらい見させてくださいよ~。

その、たしかに北欧チックな終末感漂ってますし、守護魔さんになっちゃうと命の危機だったりもしますし、出来ればトリップとかお断りしたいな~なんて感じだったりもするんですけど……」



―――――



「はい!! それじゃあ今日も、電波で怪奇なSF考察にイッてみましょ~!!

教授!! 今日は一体ナニが飛び出るんでしょうか!!」



「いや、その事なんだがな……」



「へ? どうしたんですか?

なんでそんな、ちょっぴりアイデンティティー・クライシスな顔しちゃってるんですか?」



「…………この際だから聞くが。

この話って、そもそもSFなのか?」



「へ? そう、なんじゃ、ないですか? ほら、なろうさんの規約でも『SF:サイエンス-フィクション。現代ではあり得ないような事を描いた作品。未来を描いた小説もこのジャンル』って書かれてますし……」



「うちの場合はその“あり得ない事”の部分からして異世界トリップだろう。

ファンタジーかSFかと聞かれると、ファンタジー寄りだと言われても否定は出来ない気もするが――ふむ。

『ファンタジー:夢や冒険を描いたもの。幻想的・夢幻的な小説』か。

まあ確かに夢や冒険と言うには殺伐としてるし、あの世界の魔法が夢や幻想かと聞かれると首を傾げざるを得ないがな」



「こ、細かいコトはいいじゃないですか!!

ぶっちゃけそんなの誰も気にしないんですから、多少大雑把なくらいが、きっと作者さんたちの自由度も上がって色々と……」



『文学:文学だと思う小説。

コメディー:喜劇と思われる小説』



「…………」



「…………」



「…………文学でも、いいのか?」



「こ、このお話が文学とか言い出したらハッ倒されますよ~!!

そ、それにですね!! 楽しいだけのコメディーを書くのは、ちょっと作者さんの性格的に無理があるといいますか……。

……はい。元々サイエンス・ファンタジーにしちゃおうって思った理由からして、古巣の“ノベ職”に何故かファンタジージャンルが無かったのが原因ですしね~……」



「? まあよく分からんが、とにかく規約でのSFはサイエンス・フィクションな訳だな。

それで、結局サイエンス・ファンタジーのオレたちはどこに行けばいいんだ? いっその事、もう潔くファンタジーに移住でも……」



「ムッフッフ~。

そんなコト言っててもいいんですか~?

教授、今回のお題を見た後でもそんなコトを言っちゃうんですか~?」



「? ああ、そう言えばなんか怪しげなタイトルが付いてたな。

なになに、“光を追い越せ”? ああ、超光速航行か。

……ってちょっと待て。まさかと思うが……」



「はい!! そうです、そうなんですよ!!

今日のテーマはズバリ“ワープ”!!

SF理論の代表選手さんなんです!!」



「……また次から次へと難儀なモンを」



「う……。た、たしかにちょっぴり難しそうですけど……。

でもでも、もう避けて通れないじゃないですか!!

だってドS陛下のアレ、多分みなさん一回はツッコンだと思いますよ?

だってワープじゃないですか。転位魔術って言ってますけど、SF的にはもう完全にワープじゃないですか!! ファンタジーでもSFでもしょっちゅう出てくる便利スキルですけど、書き方次第で完全にファンタジーになっちゃうあのワープじゃないですか~!!

はい!! 朝マガはSFサイエンス・ファンタジーなんですから、それっぽい理論をでっち上げるコトこそが世界観で、アイデンティティーなんです!!」



「(相変わらずナニを言っているのかは全く分からんが)

……まあ、そこまで言うなら仕方ない。取り敢えず、いつもの様に適当なところから考察を初めてみる事にするか」



「はい!! 今日もお手柔らかにお願いします!!」



「――結構。

さて、ワープ……と一口に言っても、それこそ超能力的なテレポーテーションから恒星間航行をする宇宙船、そして某猫型ロボットの桃色扉に至るまで様々なイメージが存在すると思う。

よってワープを論じる為には、まずはその定義からはっきりさせなくてはならないと考えるが……。

まあサブタイに“光を追い越せ”とあるし、ここでは光速を一つの基準として、ワープを“目的地まで光より速く辿り着く現象”とでも定義しておこうか。

よって先に言った“超光速航行”の扱いで良いと思われるが……。

実は、この時点で既にある問題が発生している。

m’=m/√1-(v/c)^2の式を見れば分かるが、相対性理論から導かれる帰結として、一般に静止質量を持った物体が光速にまで加速する為には無限大のエネルギーが必要だって事さ」



「そ、相対性理論!!

とうとう出ちゃいましたね!!

難しい理論の代名詞!!」



「いや、実際はそうでもないぞ?

我々の日常生活の感覚からすると少々イメージし難いためによく誤解されるが、実際は特殊相対性理論だけなら中学生でも理解出来るくらいにシンプルな理論だ。

……まあこれが一般相対性理論にまで拡張されると、また少々ハードな数学が必要にはなるが」



「はい!! ウソだと思います!!

だって理論考証をお願いしてるお友達にいろいろ教えてもらいましたけど、結局1ミリもわかりませんでしたもん!! わたし!!」



「……今君に乗り移ってるヤツには分かるまで説明してやるのが優しさなんだろうが、ソレをやってしまうと字数制限を使いきっても終わらなそうなのが辛いところだな。

ま、取り敢えず。ここでは、“少しでも重さがある物体は絶対に光の速さにはなれない”、とだけ覚えておけば十分だろう。

その理由が“重さがある物体は速く動くほど更に重くなっていくから”だとでも覚えておけば、この場では取り敢えず問題は無い」



「あ、それならなんとかなりそうです――って、へ?

ちょ、ちょっと待ってください!! 教授!!

なんか今、初っ端からサラっとワープ否定しませんでしたか?」



「ああ、不可能だ。相対性理論が実験的に否定されていない以上、質量がある物体が光速を超える事は絶対にあり得ない……と、言いたいところだがな。

実はワープの理論だけなら、既にいくつか論文が発表されている。

特に有名かつ有望視されているのは、超光速で移動する球形の“泡”に入るという、メキシコのミゲル・アルクビエレ博士が提唱したスター・トレック式のワープドライブだな」



「……へ? ど、どういうことなんでしょうか!!

だって教授、今速く動くと重くなるから、重さがある人は光さんには絶対に勝てないって……」



「ああ、そうだ。実際、アルクビエレ博士のワープドライブも物体を光速以上に加速するとは言っておらず、勿論相対性理論を否定する物では無い。

寧ろ、上手く相対性理論の抜け穴を突いたと言った方が正しいかもしれないな」



「??? 光さんより速くない、ですか?

でもでも、ワープって光さんより速く動くことなんですよね?

光さんより遅かったら、それってもうワープじゃないんじゃ……」



「いや。光よりも速く動く訳ではないが、結果として通常の光よりも速く目的地に着く方法があるんだ。

そうだな、この辺りも正確に伝える為には、結局は相対性理論の理解が必要になってしまうんだが……。

その辺りを1からやろうとすると、おそらくワープの前説だけで今回の文字数制限を使い果たしてしまうので、簡単なイメージだけを伝えておく。

まず大前提として、一般相対性理論に於いて重力とは厳密には“力”では無いという話は聞いた事があるな?」



「へ……? そうなんですか?」



「……参考までにさわりだけ説明しておく。

一般相対性理論ではな、質量には時空を歪める性質があると考えるんだ。

歪んだ4次元時空を正確に図示する事は不可能だし、これも詳しく説明しようとすると本の1章分に相当するくらいの文量になるのでアレなんだが……。

まあこれも、現代日本人には“重力が空間を曲げる”という言い方が一番イメージしやすいと思う。大抵の日本人なら、マンガやら映画やらアニメやらで空間が歪んでいる映像を一度は見た事があるはずだからな」



「あ、はい。そういえば、なんかちょっと見たことある気がします。

確かにマンガとかアニメとかで、なんか不思議な力とか発動したり大爆発が起こったりするときって、キャラとかの周りがちょっとクニャクニャ歪んだりとかしますもんね。

特に重力操作系とか、時間操作系能力とか持ってる人たちの場合とか」



「……後半の例えは専門的すぎてよく分からんが、まあここではそのイメージで十分だろうな。

尤も、正確には重力の強い場では時間も遅れるので空間では無く“時空が歪む”と表現するのが正しく、また“重力が空間を曲げる”という言い方は本来ならご法度だという事だけは肝に銘じておいて欲しい。

何しろ一般相対性理論に於いて時空を歪めるのは質量の方であり、そもそもこの時空の歪みそのものが重力なんだからな」



「? えーと、要するに。

“今の説明は、イメージを伝える為にちょっとだけウソが入ってるから、実際はちょっと違うんだぜ~”って覚えておいて欲しいってコト、ですよね?

でもでも、教授。その、重たい物があると、なんか周りがクニャクニャ曲がるって事はなんとなくイメージできましたけど……。

その、それとワープとなんの関係があるんですか?

重さとか、重力とか、なんか全然違う話に見えるんですけど……」



「関係も何も、もう殆ど結論だ。

勘の良い方はもうとっくに気づいていると思うが……。

先ず、地球上のある地点から月に向かって同時に(相対論の話をしているのに同時も何も無いのだが)放たれたレーザー光線AとBをイメージして欲しい」



「へ? はい」



「先に説明した一般相対性理論の前提に則り、重力とは時空の歪みであって、質量とは時空を曲げるものだった筈だな?

もっと端的に分かりやすく言うと、これは時空とはゴム膜の様に伸び縮みさせる事が出来る物だという事を示唆している。

では仮に、光Aの後方の時空を光よりも速く引き伸ばし、前方を光よりも速く収縮させたらどうなると思う?」



「はい!! 全然わかりません!!」



「……例を変える。

そうだな――隣り合った階段を登って競争しているランナーAとBが居るとする。二人の走力が互角であった場合、もしAが登っている階段が階段ではなく上りのエスカレーターだった場合はどうなる?」



「A君がB君に殴られます!!」



「……勝負の結果のみを聞きたい」



「へ? 結果って……そんなのA君が勝つに決まってるじゃないですか!!

だって、階段登りなのにエスカレーターなんてズルしてるんですから!!

足場が進んでるんですから、その速さ分だけA君の方が速いに決まって……あっ!!」



「そういう事だ。

相対性理論によると、時空とは伸び縮みさせる事が出来る物だったな?

そして相対性理論は、質量のある物体が光速を超える事は許可していないが、同時に時空の膨張速度そのものが光速を超える事を禁止してもいないのさ。

先のエスカレーターの例で言うと、例えランナーAの走力そのものがBの速度に敵わなくても、エスカレーター自体がBより速く動ければAはBよりも速く上の階に辿り着く事が出来るだろう?

それと同じ様に、アルクビエレ博士の考案したワープドライブとは、時空そのものを光よりも速く伸び縮みさせる事によって結果として光速を超えようというのが基本原理になっている。

……まあ、実際には超光速の波に乗るサーフィンのイメージの方が近いんだが」



「く、空間歪曲装置!!

スゴイです、教授!! 流石です、教授!!

今日はなんか、珍しく最初からSFしてますよ~!!」



「まあ、Warpという単語本来の意味からして“曲げる”だからな。

時空を歪めての超光速は、ある意味ではワープという言葉の面目躍如とも言えるかもしれん。


さて。そしてこのタイプのワープで特に優れているのは、ワープ航行する本体は何も無理な運動をしてはいないという点だ。超光速で移動しているのは時空の方なのだから、本体は加速する必要すら無く、ワープしている当人達からすれば自分達は動いていないようにしか感じられないだろう。

相対性理論に於ける超光速の禁止とは“質量のある物体はその場所での光の速度を超えない”という物であり、この超光速で動く場に居る当人たちはやはりその場での光速より遅く動いているのだから相対性理論にも矛盾しない。


つまりだ。このワープドライブを用いる方法は、他のタイプのワープと比較するとかなり物理法則的に無理が無いのさ」



「ほ、本当にスゴイじゃないですか!!

それってつまり、わたし達の世界でも本当にワープが出来るかもしれないってコトですよね? 日帰り月旅行とか出来るかもしれないってコトですよね? 新婚旅行で宇宙一周とかも夢じゃないってコトですよね!?

――って、教授!! 流石にもう騙されませんよ!! わたし!!」



「? いや、ここまで1回たりとも騙したつもりなんて無いが?」



「いえ、今のお話、絶対ウソだと思うんです。

だって教授がこういうお話をするときって、絶対次は“エネルギーが足りないから無理だ~”とか言い出すんですもん!!」



「ほう、鋭い――と言いたいところだがな。

実は超光速航行に於いて、エネルギーの消費はあまり問題では無い。

何故なら大抵の理論では、ワープに必要なエネルギーの符号は正ではなく負だからだ。

まあ、所謂“エキゾチック物質”と呼ばれるものだな」



益三(えきぞう)チック物質……?

えーと、益三さんから抽出したナニかってコトでしょうか?」



「……“弱いエネルギー状態を破る物質”という定義があるが、これも長くなるので詳しくは触れん。まあ質量とエネルギーは等価であるから、取り敢えずここでは“マイナスの質量を持つ物質”とだけ覚えておけば十分だろう」



「マイナスの、質量……?

う~。分かるような、分からないような……。

その、とにかくソレを使えばワープが出来るってコトですよね?

でもでも、どうしてそんな不思議物質が必要になるんですか?」



「……説明してもいいが、これも正確に表現しようとするにはかなりの困難を極める事が予想されるので、イメージだけを伝える事にする。

あー、先に説明した通り、時空とはゴム膜の様に伸び縮み出来るものだったはずだな? さて。そこでまずは、桶に張られた1枚のゴム膜をイメージして欲しい。このピンと張られたゴム膜の上に、鉄球を1つ置いたらどうなると思う?」



「へ? それは――勿論、凹むんじゃないですか?」



「そう、凹む。ではその凹んだゴム膜の上にビー玉を一つ置いたとしたら、ビー玉はどんな風に運動すると思う?」



「? どんな風にって……ゴム膜さんが凹んでるんですから、そんなの鉄球さんの方に転がるに決まってるじゃないですか」



「そうだ、転がるな。言い方を変えると、質量によって伸びたゴム膜では、鉄球の方にビー玉が落ちる(・・・)とも表現出来る。

一般相対性理論に於ける重力とはこれなんだ」



「はい!! わかりません!!」



「……まあ、今のは一番頻繁に使われる比喩だが、あまり正確な表現では無いので本当はオレも多用したくは無い。

とにかくここでイメージして欲しいのは、質量がある物体が“時空を伸ばした”という結果の方だ。

さて。では質量がある物体が時空を伸ばすなら、質量がマイナスの物体があったら時空はどうなると思う?」



「えーと、重たい物が空間を伸ばす?んですから、逆にマイナスだと……。

もしかして、縮む――あっ!!」



「そう。今オレたちがやりたいのは、時空を伸び縮みさせて時空そのものを光よりも速く動かす事だったはずだな? だから伸ばす方が質量でなんとかなるなら、逆に縮めるにはマイナスの質量が無くてはならないと考えるんだ。よって、大抵のワープ理論ではマイナスの質量を持つ“エキゾチック物質”の仮定が前提条件となる。

……まあ著しく誤解を招く表現だが、ここではこんな説明で勘弁してくれ。

とにかくワープに必要なのはマイナスの質量、つまりはマイナスのエネルギーなのだから、問題なのは純粋なエネルギーの消費ではなく“生成”の方だって事さ。エネルギー保存則より、マイナスのエネルギーを作ることとプラスのエネルギーを取り出す事は等しいからな」



「へ? えーと、それってつまり、ワープをすると速く進めるだけじゃなくて、エネルギーまで貰えるってコト……ですよね?

最高じゃないですか!! じゃあじゃあ、地球のみんなが一斉にワープとかすれば、エネルギー問題なんか一発で解決ですよね? 原発なんかもう必要無いですよね?」



「……まあ計算上はそうなるな。

負のエネルギー密度自体、現在ではカシミール効果くらいしか確認されてないし、これもエネルギーとして取り出せた訳ではないから、エキゾチック物質の生成自体SFの領域を出る話では無いのだが……。

まあ理論上はワープをするとエネルギーが発生するという事にはなる」



「ほ、本当にスゴイです!!

それじゃあつまり、ガソリン無しで走る上に、光さんより速い車が出来るって事ですよね? もう排気ガスなんか必要無いんですよね?」



「……まあ理論上はそうなる。

因みに、実はこのワープドライブに必要な負の質量……つまりは生成されるエネルギー(質量)を計算したThe unphysical nature of “Warp Drive”という大真面目な論文が発表されていてな。これによると、半径100メートルのワープバブル(超光速で動く領域:球形)を光速度のv倍で動かす為に必要な負の質量は-6.2×10^65×vグラムだそうだ。

言い換えると、仮に時空そのものを光の速さで伸び縮みさせる方式で光速を達成すると6.2×10^65g分のエネルギーが生まれる事を示唆している」



「ほへ~、なるほど~。

その、つまり。要約すると、マイナスのエネルギーを作るのはちょっと難しそうだけど、それさえなんとかなれば、エネルギーなんか無くてもガンガンワープ出来るってコトですよね?

それどころか、ワープすればするほどエネルギーが沢山貰えるってコトですよね!?

やっぱり完璧じゃないですか!!


――ところで教授。その6.2×10^65gって、具体的にはどのくらいのエネルギーなんでしょうか。その、わたしの家の電気代くらいは、なんとかなりますか?」



「…………宇宙100億個分だ」



「へ? すみません。

ちょっとよく聞こえなかったんで、もう一回だけ言って頂いてもよろしいでしょうか?」



「……宇宙100億個分のエネルギーが発生する(・・・・)と言った」



「きゃぁぁぁあああああああああ!?

そ、それはちょっと、いくらなんでも供給過多ですよ~!!

だ、ダメです!! その理論!! 原発なんかより遥かに危険です!!」



「計算とは概して無情なものだな。

実際、論文著者の二人もこれをもって“物理的に無理”とハッキリ書いている。

まあ、つまりあの陛下のワープがこういうバカな原理を使っているとすると、転位魔術を行使した瞬間にはとんでもないエネルギーが世界を蹂躙することになるって事さ。


――てかマジでどうするんだこのエネルギー!!

転位した先には塵も残ってないだろ!!

いや、それ以前にだな。もしもこんな馬鹿げた数値のエネルギーが作れるなら、ワープなんていうまどろっこしいことしてないでコレを直に敵にぶつけた方が遥かに強い!! 

他国の大魔導どころか、全宇宙を相手に戦っても負けは……ああ、『予のスレイプニルは最強だ』ってそういう意味か」



「ぜ、絶対に違いますよ~!!

ほ、本当にダメです!! その理論!!

朝マガ世界のパワーバランスが崩壊します!!

一気にドラ○ンボール並のパワーインフレじゃないですか~!!」



「……まあ、これはあくまでもオレ達の世界で一般相対性理論と量子論から導かれた帰結に過ぎないからな。あの世界ではエキゾチック物質が割と簡単に作れるのかもしれんし、時空がもっと曲げやすいなどの理由でなんとかなってるのかもしれんが……。


だが、それが解決しても問題はまだあるぞ?

このワープバブルなんだが、実は内側から操作出来ない(・・・・・・・・・・)んだ。

詳しい説明は省略するが、超光速で進むワープの前面(エキゾチック物質)はやはり超光速でなくてはならない為、超光速で動いていない時空を通って超光速で情報を送る方法が無い限りはバブルの中に居る人間には何も出来ない。

よってバブルの維持が自動で成される場合、目的地に行く為には外部の人間に止めて貰わなくちゃならないワケなんだが……。まあ、普通の人間にそんな事が出来るとは思えんから、やはり敵国の大魔導達にでもお願いするしかないだろうな」



「敵国さんにお願いって……いくらなんでもそれはシュール過ぎますよ~!!

『予は今から貴様を倒しに行く。だから、通りすぎない様に全力で予を止めるがいい!!』

いえ、言いそうですけどね!! あの陛下なら言いそうですけど、普通聞きませんよ!! そんな命令!!」



「まあ少々問題はありそうだが、それ自体はまだ重要じゃない。

仮に敵国の大魔導だとか氷の国の臣下に頼んで止めてもらうにしても、まだまだ問題は山積みだぞ?

このレベルの速さになると、最早惑星が球形だという事実を無視できなくなるんだ。具体的に述べると、真っ直ぐ進んでいるつもりでも遠心力で徐々に浮き上がっていき、最終的には大気圏を突破することになる」



「た、大気圏!?

ソレってもうロケットじゃないですか!!

――あ、でもでも。

流石に、いくらなんでもそれには時間が――」



「……ほう、そうか。それでは計算してみよう。

この問題は、正確に計算するには微積や相対論まで必要になって少々複雑なんだが……まあ光速が秒速30万kmと膨大なんで、ここでは重力や自転の影響は無視出来るとして良いだろう。ついでにあの惑星が完全な球形で、大きさは地球に等しいと仮定しておく事にする。これなら、三平方の定理から簡単に計算する事が出来るからな。


ここでは地球の半径を6370km、大気圏までの高さを100kmとして計算する。惑星中心をOとし、陛下が転位魔術を行使した場所をA、大気圏を突破する位置をBとすると、三平方の定理からAB^2=BO^2-OA^2が成り立ち、OAは惑星半径の6370km、BOはそれに大気圏までの高さ100kmを足したモノになるから、AB=9008.5km。これを光速度300000km/sで割ると、その値は0.03s。


……つまり、あの陛下が転位魔術を行使してから大気圏を突破するまでの猶予は、移動速度が光速と同じなら僅かに0.03秒という事になる」



「れ、れいてん……。

きゃぁぁぁぁあああああああ!?

ちょっとタイミング間違えただけでお星様に!?

き、教授!! 陛下が!! 陛下が明らかに目的地から遠ざかってますよ~!!

なんで敵国さんに行きたいだけなのに、突然宇宙旅行なんか始めてるんですか~!!」



「まあ、これはあくまでも内側から操作出来ないからこうなるだけで、もしかしたら予め軌道を設定して遠心力に逆らって抑えつけるコトくらいは出来るのかもしれんが……。


だがそうなると、今度は地上がもっと大変な事になる。

超音速旅客機の例を考えれば大体分かると思うが、空気中を音速を超えて移動する物体からは衝撃波が発生するんだ。よって大気中を秒速30万kmで進むワープバブルの周囲では……って待て!! 何が衝撃波だ!! 大気中を半径100mのワープバブルが光速で飛行した時の被害がそんなモンで済むワケが無い!!


先ず空気中の光は真空中よりも遅い為、大気中を移動するワープバブルからは光の衝撃波たるチェレンコフ光が煌々と青い輝きを発し続ける筈だ。だが、そんなモンは多分誰にも見えない。スペースシャトルの大気圏再突入の事例から明らかな様に、超高速で動く物体の前方では断熱圧縮された空気が強烈な熱を発する“空力加熱”という現象が起きるからだ。15℃の時の音速を340m/sとして計算すると、光速の300000km/sはマッハ882353と表せ、温度上昇はΔT=(T0+273)×0.2M^2(Mはマッハ数。T0は気温)の関係式が成り立つから、

T=(15+273)×0.2(882353×882353)

=44844296636678.41

≒45000000000000

よって、あの陛下が転位魔術を行使しながら通ると、バブルの前面では約45兆度の熱が発生する。って、待て!! 45兆度だと!? 地球人類が核融合炉実験で生み出した最高温度でさえたった5億2000万度なのにか!?

な、なんて強力な“火炎魔法”なんだ……。

だからワープなんかせずにその熱で攻撃しろよと何度――」



「そんなコトされたら星ごと吹っ飛びますよ~!!

い、いい加減にしてください教授!!

だ、大体ですね!! あの人アレでも氷属性なんですから、そんなアツアツな魔法なんか絶対に却下なんです!!」



「ふむ。まあ、それなら今回は発生する熱は無視出来るものとするが……。

でもな、それでもまだ問題はあるぞ?

先に言った様に、このスター・トレック式ワープドライブの肝は時空の伸び縮みにある。そしてこの際には、実は強烈な潮汐力が発生する事が予想されているんだ。

符号は逆だが、まあブラックホールが飛んでくる様な現象をイメージしてもらうと分かりやすい。あの陛下の進路に存在する物体は前面の潮汐力によってぺちゃんこに押しつぶされた後、後面の潮汐力によって再度引き伸ばされる事になる。

よって予想される帰結は、あの陛下は1秒間に地球を7周半する速度でチェレンコフ光を撒き散らしながら地上を粉砕しつつ走りまわり、世界中を削岩機の如く削り飛ばした挙句、自分を地上に抑えてくれている敵国の大魔導の死と共にやがては宇宙空間に……」



「だからどうして世界を滅ぼしちゃうんですか~!!

そんな結論は絶対に却下ですよー!!

大体ソレ、もうどう考えてもワープの方が副産物じゃないですか!!」



「……だからワープは難儀だとアレ程言ったじゃないか。

大体SFでのワープってのは、大抵は恒星間航行なんかの宇宙空間に於ける超長距離を移動する為に用いられる話だろう? ソレを個人で扱おうっていう前提にそもそも無理がある」



「あぅ~……。身も蓋もない言い方です。

でもでも、それじゃあドS陛下のアレって、結局何がどうなってるんですか?

無理があるっていう割には、あのヒトなんか気軽にピョンピョン飛んでたじゃないですか」



「そうだな、ここまで来るともう推測するしか無くなってしまうんだが……。

取り敢えず今の考察で分かった事は、どうやら超光速航法とは言っても、実際に地上で超光速を出すのは周りへの影響が大き過ぎるらしいという事だ。

よって光よりも速く目的地に移動する為には、実際に速度を上げるのでは無くて何らかの方法で近道をしなくてはならないという事になる」



「へ? 近道?

でもでも、真っ直ぐ飛ぶより近い方法なんて……。

――って、ま、まさか教授!! それって!!」



「ああ、もうこの際コレしか無いだろう。

カール・セーガンがSF小説・コンタクトを執筆する際に、理論考証を頼まれた相対性理論の大御所キップ・ソーン博士が助言した事で有名な、最早SFワープの代名詞と言っても過言では無いアレ(・・)だ」



「わ、ワ~ム・ほ~る!!

誰もが一度は聞いたことのある、SF理論の最高峰!!

す、スゴイじゃないですか!! これできっと、世界なんか滅ぼさなくてもワープができますよね!?」



「……いや、まあ。これもかなり無理がある話ではあるんだがな。

我々の宇宙では、人一人が通過出来る大きさのワームホールを生み出すときに発生するエネルギーは木星一個分なんていう試算もあるが……まあ、未だに名古屋大の阿部准教授が宇宙空間に存在するワームホールを見つける方法を考案し始めた段階だし、あまりよく分かっていない現状だ。


そもそもワームホール自体、ソーンが示した条件に“1気圧下での物質の密度の10^21倍の重さに耐えられなければならない”だとか、“宇宙年齢より短い時間で製造できなければならない”なんてバカみたいな項目が大真面目に入ってるくらいだからな。


だが、まあ。ここを否定すると話が進まない。

ここではソーンに倣って、“あの世界ではエキゾチック物質が存在していて、かつ我々の宇宙よりも遥かに時空が曲げやすく、そして人一人が何の潮汐力も受ける事無く通過出来る夢の様なワームホールが存在している”とでも仮定しておこう。以下は、その上でも尚起きそうな問題を考察していく事にする」



「へ? そんなご都合主義な条件にしても、まだ問題があるんですか?」



「……そうだな。では、先ずワームホールが何なのかという点からお浚いしておこう。

ワームホールとは別名をアインシュタイン・ローゼンの橋といい、時空の異なる2点をピッタリと張り合わせた穴の事だ。まあよく使われる比喩はリンゴに開いた虫食い穴で、コレがワームホールの語源でもあるんだが……。


これも日本人には、実は“どこでも○ア”という例えが一番分かりやすい。

あの某猫型ロボットの桃色扉の様に、異なる2点を0距離で繋ぐ穴がワームホールだという意味だが……これは、まあ。日本人なら誰でも簡単にイメージ出来るだろう。


では、先天魔術(ギフト)虚界転位(どこで○ドア)を使った時に何が起きるのかを考えてみる事にする」



「教授!! ルビ!! ルビ!!

イメージ的には完璧ですけど、ルビがモノスゴイ事になっちゃってますよ~!!」



「……ただの誤植だ。気にしないで先に行こう」



「あぅ~……。朝マガ世界で最強って自称してる先天魔術(ギフト)が“ど○でもドア”って。“○こでもドア”って~……。

で、でも教授。その、一体ナニがそんなに問題なんですか?

ナニが起きるかもなにも、あの青いタヌキさん、なんかいつも軽快にドアを潜っちゃってますけど……」



「いや、仮に一切の潮汐力や重力の影響を受けない夢のワームホールが作れたとしても、実際にはあんなにシンプルにはいかない筈なんだ」



「へ? ど、どういう事なんでしょうか!!

だってアレ、普通に繋がってるだけのドアさんなんですよね?」



「あのアニメを見る限りだとそうだな。

まあこんなモノ(・・・・・)が問題になる大きさのワームホール自体まだ確認されてないから、以下はオレの予想の域を出ないんだが……。


一つ、思考実験をしてみよう。

の○太(・・・)の家の庭に“どこでもド○”が一つあるとする。

○び太はこのドアを倒した状態で開けて、出口をドアの5メートル上に設定した。

さて。ではこの時、のび○がこのドアに向かって飛び込んだら一体どうなると思う?

ただし、5メートル上方のドアはタケ○プターによって空中に固定されているものとし、空気抵抗は無視出来るとする」



「へ? どうって……下のドアに飛び込むと、上から出てきて、下に落ちて、またドアに入るから……。

えーと、“どんどん速くなりながら、ずっと落ち続ける”、ですか――?

ってきゃぁぁぁぁあああああああ!?

な、なんてモノ想像させるんですか!!

ダメですよ!! こんな拷問器具みたいな実験!!

の○太さんが!! のび○さんが死んじゃいます!!」



「確かに実際にやるとしたら倫理的な問題がありそうだが……。

でもな、なんかおかしいとは思わないのか?」



「はい!! 一番おかしいのは教授の頭だと思います!!」



「……なんか言ったか?」



「いえ、なんでもありません。

でもでも、今のっておかしいんですか?

なんか、どう考えてもわりとビュンビュン落ちそうですけど……」



「ああ、そうだ。もしもワームホールがあのドアの様に、物体の運動に何の変化も与えずに繋ぐだけのモノだとすると、○び太は永久に加速しながら落ち続ける。

そして、それがおかしいんだ。

例えば先の思考実験と同じ様に設置したドアに、のび○の代わりに鉄球を落とし、間に歯車でも設置しておいたらどうなると思う?

下のドアに入った鉄球は上のドアから出て落下し、途中で歯車を回してから再び下のドアに入る。この歯車が発電機のタービンなら、この発電機は電気を作るだろう。落下は永久に続くから、この歯車は放って置けば無限にエネルギーを生成する事になる。

……これでは永久機関だ」



「へ? す、スゴイじゃないですか!!

つまり、ワームホールさえあれば永久機関も夢じゃ……」



「いや、そうはならない筈だ」



「へ? ど、どうしてですか!?

だってコレ、どう見たって歯車さん回り続けますよ?」



「そうだ。先の思考実験では、永久に歯車が回り続けてしまう。

だが熱力学の第一及び第二法則より、永久機関なんか作れないというのは、現在の理論ではほぼ絶対視されている。

……オレも小学生の頃にはいくつか考えたが、やはりこの法則は偉大だ。

結局、どうやったって永久機関なんか作れない事がよく分かった」



「しょ、小学生で永久機関……。

なんと言いますか、流石って感じですよ~……」



「……まあ、あの頃はまだ博士号すら貰ってなかったからな。

俗に言う小二病だったとでも思って笑ってくれ。

とにかくオレが言いたいのは、思考実験で永久機関が出来てしまったという事は、その設定にはどこか誤りがある可能性が高いって事さ」



「(普通は小じゃなくて中なんですけど……)

でもでも、一体どこがおかしいんですか?

なんか、ドアがこうなってる限り、絶対に鉄球さんは落ち続ける様な気がするんですけど……」



「まあ、これもワームホールが実際にどんな構造になってるのか確かめられない限りは予想するしか無いのだが……。

多分だがコレ、下のドアに入る為には5m分の落差に相当するだけのエネルギーを消費するんじゃ無いのか?


例えばテコの原理を考えても、力点を支点から遠くすると使う力は少なくて済むが、その分動かさなくちゃならない距離が増えて、結局は消費するエネルギーの総量は変わらない。逆に力点を支点に近くすると、動かさなくちゃならない距離は少なくて済むが、逆に強い力が必要となる。

これと同じ様に考えると、鉄球を下のドアに入れる為には、結局は鉄球を5m上に持ち上げるのと等しいだけのエネルギーが必要になると考えるのが自然な様に思える。


……まあ形態はよく分からんが、N極同士を近づけた磁石の様に、ドアの向こうから鉄球に向かって5m分の抵抗が来るのかもしれん」



「ふ~ん。どこで○ドアも、なんか色々と難しそうですね~。

でも教授。一体、ソレのナニが問題なんですか?

永久機関にはならないって事だけは、なんとなくわかりましたけど……」



「分からんか? オレは今、そのワームホールで5メートル高い位置に移動する為にはその位置エネルギー差に等しいだけのエネルギーを消費しなくてはならない可能性が高いと言ったんだぞ?

つまり、例えばワームホールを使って5メートル上の屋根に登ろうと思ったら、結局は5メートルを自力で跳躍出来るくらいの脚力が必要じゃないかと言ったんだ」



「へー、なるほど~。

それじゃあ、別にワームホールなんか使わなくたって一っ飛びで……って、へ?

ちょ、ちょっと待って下さい!! それって……」



「……ああ、そうだ。

一度でも地図を見た事があれば分かるとは思うが、山間の地形ならちょっと移動しただけで高度差が数十メートルなんて事はザラにあるぞ? あの陛下が今までどこからどこに移動したのかまでは詳しく知らんが、まさか氷の国の宮殿と武の国の闘技場の高度差が10メートル以下なんて事はまず無いだろう。

極めつけはアルの住んでるあの丘に来た事だ。

あの陛下は、下手すると数百メートルを軽く跳躍するほどの脚力が……」



「きゃぁぁぁぁあああああああ!?

マルスくんが!! マルスくんが大変です!!

そんなヒトに踏まれたら、背中に穴が空いちゃいますよ~!!」



「あの陛下は、確か20キロの鎧を担いで飛び跳ねる姫さまを見て驚愕してたが……。

心配するな、あんたの方が遥かに強いって。


てか姫さまも、ナニが『あの敵にとって投げナイフ以上に適した魔装など有り得まい』だ。もっと明らかに適した魔装があるだろう。

()だよ!! ()!! こんな脚力があったら、蹴った方がナイフよりも明らかに強い!! オリハルコンの鎧が破れなくても、腹でも蹴り上げれば敵を何十メートルも上に吹き飛ばすことだって――!!」



「つ、強いっていうかもう人間の脚力じゃないですよ~!!

大魔導同士の戦いなのに、もうどう見たって武闘家同士の殴り合いじゃないですか~!!」



「……流石にこれは無いか。

まあ、あの世界には重力を軽減させる魔術もあるみたいだし、位置エネルギーはmghで表わされるから、重力加速度gを軽減出来るならなんとかなるのかもしれんが……。

虚界転位の担い手は氷属性以外の適性が無いという話だったから、きっとここまで含めた上での転位魔術なんだろう。きっとアレだ。氷属性にも、風魔法の軽量化みたいに重量を無視する魔術があるか、もしくは軽量化か飛行だけは例外的に適性があるに違いない」



「なんか、風属性の緑の人がすごく可哀想な仕様になってる気がするんですけど……」



「可哀想? このくらいでナニを言っているんだ?

転位魔術でど○でもドアの様に異なる2点をただ繋ぐだけのワームホールが作れる、という前提の上での話だが、例えば天気図を見れば明らかな様に、惑星上の2点で気圧差が数十hPaなんてことはザラだぞ?

もし仮に50hPaの気圧差がある2点を面積1m^2のワームホールで結んだとしたら、その穴から気圧の低い方に吹き込んで来る風の力は5000N。コレは体重50kgの人間を1秒で50メートル吹き飛ばす程の超突風であり、もう風魔法なんか使う必要が全く無いレベルじゃないか。

……これで風魔法は負担が大きいって話なんだから、まあ救いようがないな」



「えーと。なんか涙が出てきましたけど、とにかく今日の結論は……」



「うむ」



転位魔術の正体とは、時空の異なる2点を結ぶ抜け穴・ワームホールを作成しての超光速航行であると考えられる。実際の行使に於いては、何らかの方法によってワームホールを作成、もしくは自然にあり得る物を拡大した後、エキゾチック物質にてその構造を保持し、重力軽減魔法によって位置エネルギー差を誤魔化した上で通過していると思われる。



「まあ、こんなところで手を打ってくれ。

こう考えると、もしかしたら氷魔法っていうのは“エキゾチック物質発生魔法”なのかもしれんな。少々無理矢理だが、熱を奪うというのも“負のエネルギー”による副産物と言えるのかもしれん。その辺りは機会があれば考察しよう。


……副産物として発生する熱をどう処理しているのかとか、ワームホールが消えずに残ってブラックホール化する心配は無いのかとか、他の細かいメカニズムや相対論との矛盾だとか問題は山積みだが、その辺りは、まあ察してくれ」



「あぅ~……。

もう氷属性って言っていいのかもよく分からないですよ~……」



―――――



「はい!! それでは今回のアイアイ★こらむはここまでです!!

氷属性すらも電波なSF物質作成魔法に変えてしまったこのコーナー!!

一体誰が必要としているんでしょうか!!

戴いたコメントで妙に受けがいいのが7不思議です!!」



「……今日も漸く終わったな。

まさかこれだけ省略に省略を重ねたのに15000字を超えてるとは、オレにも完全に予想外だ。

てかマジでいいのかこれ?

他所様を見てると、“なろう”じゃ普通は長くても5000~7500字くらいなんだが。

こんなふざけたコーナーにその2~3倍の容量を食うって、最早作者の正気を疑っていいレベルだろ」



「うぅ……た、確かに、ちょっぴり何かが違う気もしますけど……。

でもでも、教授は寧ろ感謝しなくちゃダメなんです!!

だって、朝マガはあの作者のお話ですよ?

投稿・未投稿・プロットのみを含めて、そのことごとくで登場人物を惨殺してきたあの(・・)作者のお話ですよ!?

はい!! ぶっちゃけたま~にこういうコーナーが入ってないと、人食いとか溶解液くらいはいつ飛び出てもおかしくない感じのダメ人間なんです!! だって、面白そうなネタを入れるほど何故かダークな方面にしか転がっていかないんですもん!! わたしのお話って!!」



「まあ恋愛短編を書いてた筈なのに、いつの間にか主人公が婚約者を食ってたっていうくらいのアレだからな。このコーナー一つで本編中のオレの待遇が改善されるなら、まあそこまで吝かでは無いのだが……。

……本当にストッパーになるんだろうな?」



「う……ほ、保証はしませんけど、多分大丈夫です!!

そもそも、そういうバッドなエンドしか書けない悪癖を治療する為に書き始めたのがこのお話なんですから!!

ラブとかコメとかちょこちょこ練習中ですし、きっとハッピーエンドにはなりますよ~!!

教授の場合は、ラブはちょっと薄めな感じですけど……」



「? 人間がオレしか居ない世界なのに、ラブもなにも無いじゃないか」



「さ、流石は教授!!

その、たしかに、教授が女の子にデレデレしてるところとか、ぶっちゃけかなり無理をしないと想像も出来ないんですけど……。


あ。でもでも、教授とユピ様とかのカップリングなら……」



~~自主規制~~



「(ゾク――ッ!!)

な、何だ、今の寒気は!!

なんか、まるで背中にゴキブリが這ったかの様な不快感が……」



「ほへ――?

い、いえ!! 大丈夫です!! 安心して下さい!!

朝マガではBLは完全に禁止してますから!!

というかぶっちゃけ、守護魔さんと召喚主さんをほぼ男女ペアに設定してるのは、そういう横の繋がり(・・・・・)を阻止する為に相方が考案した苦肉の……いえ、冗談です!! 冗談ですってば!! 冗談ですからそっとページを閉じようとしないで下さい~!!」



「おい、なんかいきなりモノスゴイ事を口走ってるぞ?

なあ、冗談だよな? ネタだよな? ネタって言ってくれ」



「ね、ネタに決まってるじゃないですか!!

大体、ショタすらお友達に制限かけられるこのお話に限って、BLなんかあり得るわけが無いんです!!

だってネプトさんがマッチョさんなのも、そもそもは作者の妄想にブレーキをかける為の……だから冗談ですってば!! 冗談ですからそっとお気に入りを外そうとしないで下さいよ~!!

――あ、でもネプトさんと教授のカップリングならけっこう……」



「やめろ!! やめろぉぉぉぉおおおお!!

なんかその言葉だけで既に鼓膜が腐食しそうだ!!

だから、頼むからそんな何かを妄想して陶酔した様などこか上気した顔と潤んだ瞳でオレを見るなぁぁぁあああ!!」



「あ、き、教授どこに行くんですか~!!

そっちに行ったら、モニさんが……!!


――えーと、次回!! 漸く教授の謹慎が解けます!!

激闘の顔見せ編・第二章、いよいよクライマックス!!

さあ、あのキャラ(・・・・・)の本気をご覧下さい!!


って、だからちょっと待って下さい教授~!!」

えーと……。アイちゃん、実は今年初登場なんですよね……?

はい。週一更新になってから、ちょっぴり展開が遅くなっちゃってるイメージです。

頑張って進めたいとは思うんですけど……。


えーと、その。

因みに、BLはネタですからね?

書きませんよ? わたし、絶対に書きませんからね!? このお話では!!

……はい、念のため。


と、いうわけで。

これからも朝マガをよろしくお願いします!!

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