第八話 僕たちの問題、僕たちの幸せ
あの食卓からどれほどの時間が経っただろう。私がプラモデルにかける思いをどれだけ話しても聞いてすらもらえなかった。その結果としていま私は監禁されている。幸い監禁したのは私の部屋だから勉強もプラモデルもやりたい放題。1日3食と生理現象の時間は許可されているがそれ以外は部屋から出ることが許されない。窓から漏れる外の光で三日目の夜だということはわかっている。悠太くんの退院の日は明日に迫っている。
脱出が、できそうだ。窓で時間を図っていたというのに全く気づけなかった。まだから逃げれば良いんだ。
ときは早朝。親がまだ寝ているこの時間に家を脱出した。12月の朝らしく親が投げてきた言葉のように冷たい風が私の顔を撫でてくる。病院まではあと少し。この冷たさは我慢してとにかく歩く。
僕はノックの音で起こされた。日車にもしばらく会えてない中でこんなことをされると少しつらい。今すぐにでも日車に会いたい。僕はイラつきを隠さずに扉の先の人へどうぞと言う。
「ごめんね。悠太くんこんな朝早くに。」
「いやっこれは、違う。その、日車に会えてなかったからどうしようもない気持ちがあって。全然大丈夫。早起きは体に良いしね。」
「いっぱい寝なきゃ前みたいに倒れちゃうからだめ。でも今日は仕方ない理由があったから。本当にごめんね。」
「全然いいよ。それよりも10日もここに来れないって何があったの?」
「あのあと、お父さんお母さんに勇気を出して本音を話したの。でも全く取り合ってもらえなくてそれどころか部屋からも出してもらえなかったの。」
「それって監禁でしょ?僕があんなことを言ったからだよね。本当にごめん。」
「結局は私の問題だったし、行動したのも私だから悠太くんは悪くないよ。それよりも、楽しい話をしよ?」
「そうは言っても…」
日車に何があったかはめっちゃ気になる。でも日車は話したそうな顔をしてなかったし楽しい話って言い出した瞬間今まで見たことないほどに笑顔になった。それをわかったうえで日車のことを聞くのはありえない。
「いや、なんでもない。楽しい話って何?」
「じゃじゃーん。私が大好きなロボットのプラモデル。これは悠太くんの退院祝いでクリスマスプレゼントで、誕生日プレゼントなの!悠太くんって好きなものはまだないんでしょ。だったら私が好きなことを好きになってよ。同じ年齢の子にプラモデルが好きって子がいないからさ。悠太くんと『好き』の話をいっぱいしたいの。だめかな?」
「そういうことならむしろこっちがありがたいよ。もう退院するけど正直暇だったんだよね。勉強も楽しいけど続けてやっちゃうと飽きが来るしで。冬休みの間に頑張って作るよ。本当にありがとう。でも、僕プラモデルを触ったことないんだよね。だから、どうやって作るのかがわからない。だからさ、僕の家に来ない?僕の両親だったらそれくらい許してくれそうだしさ。日車が困っているのは僕も助けたいし。ここで日車の手を離したら二度と掴めなくなりそうだから。」
過去最高に勇気を振り絞って僕は言った。ここで断られればそのときはもう会えなくなるだろう。それでも、日車を一人にしたくなかったから。
「ありがとう。よろしくお願いします。」
彼女は精一杯強がっていたようで安心したのかこれまでの緊張が解けたのかぐっすりと眠った。
目を覚ませば、私は部屋を染めるオレンジ色に少しだけ驚いた。昼でも夜でもない色だった。私の周りには悠太くんと悠太くんによく似た女性がいた。
「日車さん。悠太が言った。日車さんの境遇は本当なの?」
「はいそうです。」
「私たちの家に来る決意も出来ているの?」
「できています。」
「今まで本当に辛かったでしょう。もう、大丈夫だからね。もう辛い思いはさせない。
そしたらみんな集まって。はい、ぎゅーっ。」
私は悠太くんとそのお母さんに強く抱きしめられた。私たちを照らす太陽は温かかった。
2週間以内に第二章を始めます。色々勉強して、より美しい文章をかけるようになります。再開を見逃さないようにブックマークをよろしくお願いします。




