第七話 僕の幸せ
日車が部屋から出て小一時間経った。
日車に言われた通りワークを回す。勉強を始めた頃から1ヶ月ほど経つが自分でも驚くほどに学力が変わっている。前までは1ページ進めるのに2日とかかかっていたが今じゃ30分もいらない。自分の勉強の成果も間違いなくあるだろけど日車に教えてもらったところはスラスラわかる。すでにワークは全部1周してノートに2周目をしている。日車が僕がよく間違える問題などを分析してくれて2周目はノーミスだ。今はまだ何一つ恩返し出来ていないが、一生をかけてでもこの恩を返したいと思う。
日車と本音で話し合ってから7日が経った。今までなら2日に一回最低でも3日に一回は来てくれていたのに。今日も日車が来るのを今か今かと待っている。
「コンコン」
部屋の扉がノックされた。
「どうぞ!!」
熱いやかんを触ってすぐに手を離すように脳で考える間もなく返事をした。日車が来てくれることを期待して。ただ、扉の先にいたのは日車じゃなく両親だった。誰が見てもわかるほどに肩をすぼめた。お母さんはくすっと笑ってお父さんは少し悲しそうな顔をした。
「悠太。不自由なことはないか?ゲームも持ってきたぞ。なにか欲しいものがあったら何でも言って食っれ。」
「ゲームはもうやらなくていいかな。勉強するためのノートが欲しいかも。」
「悠太は変わったな。頭を打って人格が変わっちゃってたりして。」
僕が頬を膨らませてお父さんをじっと見れば冗談だったらしくすぐに謝ってくれた。
「悠太ちゃん。4日後に退院でしょ。待ちきれなくて私達来ちゃった。本当に大事にならなくてよかったわ。」
お母さんはお父さんを捕まえて近づいてきて、「ぎゅっ」とみんなでハグをした。すごい温かさが伝わってきて、どれほど僕を心配してくれてたのかがわかって、不思議と涙が出てきた。日車が大好きだし、お父さんもお母さんも大好きでこの三人さえ守れれば、もうそれ以外は何もいらない。みんなの幸せは僕の幸せ。
次回は明日の20時に投稿します。




