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6.未熟児精霊王、己が生を知る

この星の歴史を教えてもらい、更に精霊王の身体だったものは未だに各地に残っているという事まで一通り聞いた私は混乱した。

世界にたった1人の精霊王様と言われても、木から落ちるほど何も出来ない私が本当にそんな存在なのか、眉唾なのだから仕方がない。

私、普通の一般OL(社畜)なんだから!



「えっと…それじゃあ私はやっぱり精霊王様じゃないんじゃ…?」


私がなんとか説明をかみ砕きながらも現実逃避気味にそう問いかけると、創成の木の精霊はそっと目を伏せながらも“いいえ”と首を振る。


「貴方様は間違いなく新たな精霊王様です。しかし、全てのお力を継承出来ていないのもまた‥事実なのです。」


悲しそうな創成の木の精霊の説明を聞くと私は本来であれば後150年くらいはあの花の中で先代精霊王の力と星の力を吸収しながら育つ予定だったそうだが、凡そ100年ほど前から殆ど成長が止まっていたそうだ。

精霊達もできる限り星の力を集めて注いでくれたようなのだが、それでも焼け石に水…とうとう未熟なままの私が予定よりも早く外に産まれ出てきてしまったという訳だ。

それって、未熟児ってことでは???


「じゃあ私は早く生まれてしまった上に力も無いと…?」

「全くの無力という訳ではないかと思われます。今もそのお体に星の力が廻っているのを感じておりますので。このまま星の力の循環を行いながら本来のお力が戻るまでこの里でお待ちいただければ徐々に様々な事が出来るようになるかと存じます。」

「ちなみにそれってどれくらいかかります?」

「そうですね…今の速度ですと、完全に本来のお力を取り戻されるまで大体500年程かかるかどうかといった所でしょうか…。」

「500年?!」


少し眉根を寄せて考えつつも、申し訳なさそうに告げる創成の木の精霊の言葉に気が遠くなる。

普通の人間ならどんなに長生きでも5~6回は死んでるよ!

そもそも私500年後も生きてるの?生涯設計は?そして500年も何して過ごすのさ。


「…えっと、その500年の間私は何をしたらいいかな?」

「王は居ていただくだけで星の力を廻らせる事が出来ますので、特に何かを成していただく必要はございません。」


Oh…私異世界ニートを500年していても良いらしい。


「…ち、ちなみに500年経って本来の力が戻ったら、その後は何をするのかしら?」

「基本的に精霊王様が自ら手を下される事は殆ど御座いません。先代の精霊王様は時折星の力の循環が滞る場所に出向いてその地の力の巡りを直す以外は、星の各地を廻ったり、こちらの創成の木の城にて休まれたりとされておりました。」


訂正。500年どころじゃなくほぼニート生活‥というより隠居かな?盆栽の手入れをしながら過ごすお爺さんのような生活が待っているようだ。

そもそも存在するだけである程度仕事をこなしている状態が自動で維持されているので、自発的にする事は殆ど無いとか、不労所得で終わらない夏休みが到来したようなものだ。

これは社畜生活を頑張ってきた私へのご褒美だろうか。

これからは何か連絡漏れや指示忘れを気にすることも無く、煩わしい人間関係もないストレスフリーでのんびりと楽隠居が出来るのだ。


ビバお休み!ニート万歳!!


その後も私はこの世界の事、自分が使える(予定)能力の事など色々と質問していく。

創成の木の精霊も大陸が分かれて以降の世界の事‥その中でも特に人族達の事にはあまり詳しく無いらしい。


精霊達はこの世界から精霊王が居なくなってから、出来る限り人族には近づかなくなっている事もあってあまり情報が無いそうだ。

だが一部例外もあるようで、火の高位精霊である”原初の火の精霊“や風の高位精霊である”露風の精霊“は時折人族との交流を持つことがあるとか。

どちらの精霊も気まぐれな所があり、時折気に入った人族が居るとそれとなく手を貸したり、気まぐれに試練を与えたりと各々のやり方で交流を持つのだそうだ。

他にも高位精霊には“礎の土の精霊”“源の水の精霊”が居て、創成の木の精霊と並んで精霊王の直属の眷属として最初に生み出された高位精霊達なのだそうだ。

実は他にも光・闇・時間の高位精霊が居るらしいが、この三体の高位精霊は世界へ干渉市過ぎないよう、星の力が安定した頃に別の次元へ移動したそうだ。

別次元…なんとも香ばしい響きではあるが、基本こちら側からも交流する手段が乏しいらしく、殆ど交流らしい交流はないらしい。

火風土水の高位精霊はそれぞれ大陸に自分の住居があり、今はそちらに居るようだ。

本来であれば挨拶に来る所だが、長らく精霊王が不在であった事と元精霊王の身体が本来の役割を十全に果たせなくなった事で今は力のバランスを保つ為に各々の住処からあまり離れられないらしい。


創成の木の精霊が代わりにと謝っていたが、正直王様と祭り上げられても、何も出来ない私にとっては居心地が悪い事この上無いので助かったかもしれない。


他にも高位精霊が生み出した眷属達が中~低位の精霊として、世界を漂ったり高位精霊の周りで暮らしているらしい。

このツリーハウスの下の花畑に居た精霊達も創成の木の精霊の眷属だそうだ。

精霊王(私)の眷属の高位精霊達。その眷属なので多くの精霊達が私に服従するのは当然らしい…なんか自分は何もしていないのに沢山の眷属が無条件に自分を慕ってくれるという事実には少し居心地の悪いものがあるのだが、嫌われているよりは良いのだろう。

それに創成の木の精霊もお花畑に居た精霊達も飲み物を持ってきてくれた精霊の子も顔立ちが整っていて眼福である。


まだ空も飛べない私だけど、力の使い方を一から覚えていけば空も自由に飛べるようになるしもっと色々な事が出来るらしいし…しばらくはのんびりゆっくりしながら力の使い方を教えてもらおう。


私の終わらない夏休みはここからだ!!!


・・・あれ?そもそもここって四季って概念あるのかな?まあ何休みでも良いか!とにかくゆっくりセカンドライフを過ごすんだ!!!

所で私って結局何年生きるの?なんだか怖くて聞けないわぁ・・・

説明パートはここで一旦終了となります。

お読みいただきありがとうございます。宜しければ評価・感想など頂けますと作者の励みとなります。

次回更新は9/26頃を予定しております。引き続き未熟児精霊王をよろしくお願いいたします。

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