第十八話:修道服と新たな自分
おばさん、いや、服装からしてシスター?に抱き上げられて地下室から教会へ向かう途中、私の心臓は激しく鼓動していた。言葉が通じず、今自分がどこにいるのかも分からない。目の前の状況に、緊張がどんどん高まっていった。
部屋に入ると、シスターは私の手を引いて、修道服を差し出してきた。最初はただ驚いていたんだけど、その服に触れるたびに、自分がまるで別の生き物になっちゃったような気がして、戸惑う。私はもともと男だった。それなのに今、この金色の髪、白い肌、そしてこの修道服を着ようとしている自分が、どうしても受け入れられない。
シスターは、私が少し躊躇しているのを見て、優しく手を振りながら、服を着るように促してきた。その顔には、どこか温かさが溢れていて、私を安心させようとしていることが伝わった。
「心配しないで。あなたは素敵よ。これを着たらもっと素敵になるわ。」
シスターの言葉に少しだけ安心したけれど、内心ではまだ不安が残っていた。私は元々人間だった記憶もあるし、この金色の髪も、人としては異質に感じる。でも、今、私はエルフとして生きているんだ。少しずつでも自分を受け入れるしかなかった。
シスターは私に「着替えてみなさい」と身振りで伝える。その時、私は一度深呼吸して心を落ち着けた。修道服の感触は柔らかく、肌に触れるたびに小さな震えが走る。それでも、シスターの手を借りながら、私は一歩ずつその服を着る決心をした。
シスターは、私が修道服を着る間、じっと見守ってくれていた。その視線には優しさと驚きが混じっていて、私はその度に胸がドキドキしてしまう。こんなにもドキドキしながら修道服を着るのは初めてだった。
「見て!すごく似合ってるわ!」
シスターがそう言って微笑む。その言葉に勇気づけられて、私はついに完成した自分の姿を鏡で見つめた。金色の髪が光の下で揺れ、修道服が柔らかく私の体を包み込んでいる。その姿に、少し不安が消えて、少しだけ安心感が広がる。
私はその姿を改めて見つめた。透き通るような白い肌は、まるでガラス細工のように柔らかく、光を反射している。その美しさに目を奪われ、また少しだけ不安を感じる。だって、こんな肌を持っている女性、今まで見たことがないから。
シスターは、その姿を見て、息を呑んだ。
「ああ、あなたの肌…まるで陶器のように透き通っていて、信じられないくらい美しい…」
その言葉を聞いた瞬間、私は恥ずかしくなった。自分の体にこんな美しさがあることに気づかれるのが恥ずかしくて、少し照れくさくなった。
シスターは、私の肌をじっと見つめて、また感心したような声をあげた。
「金色の髪も、肌の透き通るような白さも、まるでこの世界のものじゃないみたい。まるで幻想のようだわ。」
その言葉が、私の胸を打った。私は元々人間だった。こんな美しい姿になるなんて、誰が予想しただろう。自分の体がこんなに繊細で美しいものに変わったことに、少し信じられない気持ちを抱えながらも、心のどこかで嬉しさを感じていた。
シスターは再び私を前に歩かせ、言った。
「さあ、あなたの美しさをみんなに見せてあげて!教会の中でも、こんなに素晴らしい存在を見たら、きっと誰もが驚くわ。」
その言葉に、私は恥ずかしさと同時に、少しだけ胸を張ることができた。シスターの手を取られ、歩みを進めると、私は初めて自分がエルフとして生きていることを実感した。