表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/43

第十五話:衝撃の真実

「実は、用というのは、見ていただければわかるかと思います」


俺はそう言って、エルに顔を覆っている布を取ってほしくて、手のひらを上に向けて、少し持ち上げるような合図をした。エルは、俺の意図を不安に思ったのか、布の端を少し強く握っている。それでも、俺の真剣な目を見たからだろう。本当にゆっくりと、その布が下がっていく。


エルの顔があらわになった瞬間、神父様の表情が固まった。

長年、多くの人々の笑顔や涙を見てきたその瞳が、信じられないものを目にしたように、大きく見開かれた。


神父様の声は、わずかに震えていた。


「伝説は…… 本当じゃったのか……」


その声には、初めて見るものへの純粋な驚きが込められていた。神父様はしばらく、陽の光を宿したような金色の髪、透き通るような白い肌、そして金色に輝く瞳を持つエルフの美しさに、心を奪われたようだった。


しかし、すぐに神父はいつもの落ち着きを取り戻し、鋭い視線を僕に向けた。


「このことは…… 誰にも話したことも、見せたこともないな!」


俺は頷き、神父様が不安げに書斎のドアに向かうのを見て、俺も急いでその後を追った。

エルも俺の後ろについてきて、神父様が教会の奥へ進むのを見守った。そこには、見慣れない重い木の扉があった。神父様は慎重に鍵を取り出し、扉を開けると、暗く冷たい空気が漂ってきた。その先に、地下へ続く階段が見えた。


「降りてきなさい」


神父に促され、僕とエルは慎重に階段を下りていく。空気は下へ行くほど湿っぽくなり、古い香りが強くなる。

地下には部屋があった。神父は重いドアを閉め、鍵をかけた。さて、僕たちは神父と二人きりになった。エルの顔は、再び神父の行動に、不安の色を濃くしていた。


神父様は深く息を吸い込み、口を開いた。


「誰にも見せていないのは正解じゃったな…… さて、どこから話そうか…… 伝説によると…… エルフは太古の昔にいたらしい。 並外れて美しくて、長寿で、 特別な力を持っていたと…… しかしその力と美しさを欲した人間達によって…… 絶滅させられたんじゃ」


神父様の声は、静かに、だが重く響いた。


「……しかし、神父様! 祖父から聞いた話とは違います! 祖父の教えでは、エルフは伝説の生き物で、この世にいたなんて記録は、歴史書にだって一行もないはずです!」


少し悲しそうに、神父は目を伏せた。


「古い歴史は一部しか語られていないからのぅ。だが…… かつての王族たちが、自分たちの都合の良いように歴史を書き換えたのだ。この教会には、真実の歴史が記された書がある。そしてもしエルフに出会うことがあれば、代々その者を助ける役目を担っている。」」


その言葉は、衝撃となって俺の胸に深く突き刺さった。

エルは不安げに、俺と神父様を交互に見つめていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ