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『茜』 時を超えた恋物語 (夢で見た話)

作者: 森田二世

          『茜』



気がつくと、俺は知らない高校の教室にいる。廊下にはテレビがあり、和室でおじさん同士がふざけるような番組を見ていた。


確認がてら、いかにも頭よさそうな男子に番組名聞くと、かなり古い番組で、俺はタイムスリップしたことに気づく。


グループ活動のときの机の合わせ方で、前後の隣の席にはとてもかわいく、純粋で清潔感があり、少し大人っぽいジブリに出てくるようなショートカットの女の子がいた。



話してみると素直で天然で、少し姉御肌でとても優しかった。


タイムスリップしたことは明かさず。いろいろ質問する。聞いてみると現在は2007年の2月だと言うが、おそらくもっと古いだろう。


しばらくの間5つくらい質問したが、全ては覚えていない。



二人で話す時間は、穏やかに流れる雲だけが見守る、奇跡のような喜びだった。










着替えの時間になり「男女一緒?」と聞くと、そうらしい。


嬉しさ半分いつの時代だと思いながら「じゃあ俺の裸見る?」という冗談に、「見ないよ」と少し投げやりに嘲るように言い、堂々と俺の目の前で目にも止まらぬ早業で服を脱ぎ、着替える。下半身は机で少し隠れていたがその時見えた170cmをわずかに超える少し華奢で成熟しつつある美しい体はとても芸術的だった。


少し照れていたせいかとても急ぎながら着替えていたのは、少し男女を意識している様で健気あった。


今までは友達という感じで話していたのと、少しボーイッシュな性格というのもあり、急に見えた女性らしい体つきに、感動に近い上品な興奮を覚えた。


着替えた彼女は、女だがズボンを履き、ネクタイを締め、男の格好をしていたが、さっぱりした性格と品のある面持ちに似合いとても美しくかっこよかった。






先に彼女が教室を後にし、しばらくするとグローブをはめた気の狂った学生ボクサーが無差別で襲いかかってくる。


かなり実績のある選手らしく、俺は柄にもなく教室を後にし階段を下りると、河童のようなゾンビのような大群が前後から襲いかかってくるが、空手で培った打撃を素早く乱打しながら階段を上り逃げた。


彼女が無事か心配だ。







目覚めた後も、心の底から彼女が好きで、もう二度と会えないということもあり、思い出すだけで胸が苦しくなる。



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