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異世界帰りの町おこし  作者: 残業200時間
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良からぬ話

通勤時間も労働時間としてカウントしてくれ

 三者会議翌日...




 「ゼルのお陰で昨日の会議、というか実験は成功したよ」


 「それはよかった。前日に完成したばかりだったから、内心ドキドキしてた」


 そう、実は結構追い詰められた状況だったのだ。


 もし試作品が完成していなかったら、テュラム会長の件でも使用した浄化アイテムをそのまま披露するつもりでいた。当然、放射線に関してはノータッチで。


 今、振り返っても危なかった。


 テュラム会長に箝口令を強いているとはいえ、何がきっかけでバレるかわからないからね。


 ましてや、ベルに関してはすぐに勘付いても不思議でないし。


 ゼルがいてくれて本当に助かった。


 「試作品という割にはよくできていたよ。試しに会議の後も使ってみたけど、不具合とかなかったし」


 「そうなんだ。ただ、また様子見というか回数実験は必要だけどね」


 「だね。耐久性とかおおよその使用年数を把握しておく必要があるし」


 「そう考えると思ったより時間がないな...」


 正直、この問題に関しては今すぐにでも解決したい案件だ。


 確かに、問題の解決は時間の問題ではあるのだけれど、他のプロジェクトも思いの外、急ピッチで進行しているのでそこに支障が出るような事態は避けたい。


 さて、どうしたもの...


 「1つ提案があるんだけど」


 「どんな内容だい?」


 「人手を増やせばいい」


 「それは、研究者の人数って事?」


 「そう。該当者に心当たりがある」


 ゼル1人でも大幅に装置開発の進展があったし、増員というの至極真っ当な手段だとは思うのだが...


 とても嫌な予感がする...


 「その該当者って、ベルとか秘書業務をしている他の悪魔ではないよね?」


 「うん。そうではない」


 だよね...


 しかも、ゼルは他の連中と違って、研究室に篭りっきりで現代の人間との接点がない。


 となると...


 「私の部下を召喚して欲しい」


 やっぱりそうなるか!


 「なるほどね...既に6人召喚してるから今更だが、それはちょっと躊躇うな」


 そう、今更ではあるのだが、これは思ったより深刻な問題だ。


 本来なら、現代では存在しないはずの超越した存在を6人も召喚しており、諸々制限をかけているが彼女らの影響は絶大だ。


 一部の者しか彼女らの存在は知り得ないが、その一部の者たちは多大な恩恵を彼女らから得ている。


 まぁ、俺もその内の1人なんだけど。


 しかも、その彼女らに指示を出してるのも俺だし。


 今更ながら、自分のしでかした事に色々と考えさせられるな...


 

 

 「たぶん、問題ない。責任は私がとる」


 色々と察してくれたのだろうが、たぶんって...


 とはいえ、断言を強要する程俺はブラックな社長ではない。


 「ちなみに何人召喚して欲しいの?」


 「2人。この2人は信用できるし、科学にも関心を持つはず」


 ふむふむ。つまり、ゼルと似たようなタイプなのかな?


 悪魔には似た者同士で徒党を組む傾向があるし。


 人間も似たようなものだが、奴らはそれが更に顕著な傾向がある。


 「その2人はゼルの部下として、何をしてたの?」


 「基本的には私の身の回りの世話。あとは諸々の調達とか、各々の研究に没頭していた」


 この場合の調達は非常に嫌な予感がするからスルーしよう...


 「2人はどんな研究をしてたの?」


 「他人の研究には興味がないから詳細は知らないけど、1人は人間が使用している武器にご執心だったよ。どこからか仕入れては分解したり、改造したりしてたと思う。もう1人は工芸品だったかな?こちらもどこからか人間が作った工芸品を仕入れては、それを再現したりその技術を研究していたと思う」


 なるほどなるほど。


 聞いている分には物騒だが、魅力的な人材ではあるな。

 

 武器は勘弁してほしいが、製品の構造の解析とか好きそうだし、もう1人はこの件以外でも活躍できそうな可能性を秘めている。


 それだけに、影響力もそれなりに大きくなりそうではあるが...


 「聞いてる分には、面白そうな人材だな」


 「でしょ?それに私の言う事を何でも聞いてくれる」


 そりゃあ、悪魔の上下関係は人間以上にシビアだからね。


 おそらく、ゼルに挑んでボコボコにされたか、もしくは勝てないと察し、無駄な戦闘はせずに最初から跪いた

かのどちらかの可能性が高い。


 いずれにしても、神代級の悪魔に認められた存在なのだから、優秀である事は間違いない。


 てか、疑いたくはないが、実は身の回りの世話が目的じゃないだろうな?


 「その2人が加わったら、確かに成功率は上がりそうだが...」


 「お館様が躊躇うのも理解しているつもり。だから、さっきも言ったように2人が何かやらかしたら私が責任を取る」


 「具体的にはどう責任を取るつもり?」


 「2人を私自ら消す」


 なるほどね。ただ、それだけだとゼル本人は実質、無傷だと思うのだが...


 俺の様子を見て察したのか、すぐに追加の一言が飛んでくる。


 「私が消えたら困るでしょ?」


 実に悪魔らしい交渉だ。


 だが、実際にそうだし、ゼルを消すとこの問題だけではなく、別の面で他の悪魔たちとの関係性に支障をきたす。


 ゼルはその事もよく理解している。


 実に冷静だ。


 ちょっと腹は立つが、非常に建設的な話である。


 だが、俺もこのまま黙っているつもりはない。



 「わかった。ゼルの覚悟も伝わったし、言う事もご最もだ」


 「けど、何かあったら例の装置以外の研究は禁止するし、資金も打ち止めにするからな」


 「むぅ...わかった。それで問題ない」


 

 さて、一泡吹かせる事もできたし、早速召喚の準備をするとしよう。

  




 

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