極上の一服
給与が減ってもいいから、週休3日の時代はよ
なんだかんだ、夜の海ってなんかいいよね
海を眺めながらの一服。
なんて贅沢なんだ...
熊田氏もご満悦のようだ。
てか、喫煙者だったのね。
同じジャンルのオタク仲間で尚且つ、喫煙者。
ありがたい巡り合わせだ。
「大自然を目の前に吸う煙草って最高ですよね」
「全くだ。最近はそういう所でも禁煙だったりするから本当に肩身が狭いよ」
「ですね。いつか町に最高の喫煙所を作りましょうよ」
それは妙案だ。それに、ちょうど良い流れだ
「それ採用!時代に逆行しているとか関係ないね。それと、今日話したい事ってそういう事なんだよね」
「そういう事?」
「正確には話したいというか、君から話を聞きたかったんだよね」
「以前、何らかの形でプロジェクトに参加させて欲しいって言ってたじゃん?」
「なら、いっその事希望を聞いてみたいと思ってさ」
突然の提案に驚いたのか、煙を一吸いして自分を落ち着かせている大地主秘書。
「まさかそういう話だとは思いもしませんでしたよ」
「そう?何となく予想できなくもない気がするけど」
「いや、要望を伝えてからそんなに時間経ってませんよ!」
「プロジェクトの規模や進行具合からして、もっと先だと思っていましたし。それにこちらとしてもダメ元での要望でしたから」
そういえば意見を出すけど却下してもらってもいいとか言ってたな。
交渉ごとでそういった提案は利口とはいえないが、個人的には嫌いではない。
謙虚である事はいい事だ。
ここは死と隣り合わせの異世界ではないし、多少の甘さはご愛嬌というもの。
「いや〜色々と便宜を図ってもらってるし、この家や土地もそうだけど、秘書たちの件でもかなりお世話になったからね」
「あ〜なるほど。確かにあの件は流石に町長に依頼をするのに苦労しましたからね」
「一応、富田会長からも話は通してもらいましたけど、かなり疑ってましたし」
だよね〜。
実は熊田氏を通してベルたちの戸籍を作成してもらったのだ。
普通に法的にもアウトだろうし。
で、その書類やデータ等の事務作業は彼が担当した。
これは大きな借りだ。
「本当にその件に関しては申し訳ないし感謝している。勿論、だからってわけではないんだけどね」
「まぁ、過程は気にしていないですよ。無理強いさせられたわけでもないですし、自己判断ですから」
「そういってもらえると助かるよ。勿論、何かあったとしてらこちらで何とかするし」
「頼りにしてますよ。もしもの時は養ってもらうつもりですから」
こういう太々しいところも俺が気に入っているところだ。
色々経験して、吹っ切れたというか割り切っているというか。
「で、何かやりたい事はないかい?」
「う〜ん...正直、突然言われてもというのはありますが、パッと思い浮かんだのはゲームとキャンプですね」
「ほぉ〜今時っちゃ今時だね。ちなみにゲームというのは?」
「最先端のゲームセンターの出店と、eスポーツの専門学校の設立とその卒業生でプロチームができたらと」
「なるほどね。現在じゃプロもいてそれで生計を立ててるもんね」
「それを全面的にバックアップできたらなと。専門学校も既にありますけど、歴史は浅いですしまだまだ介入できる余地があるかと」
「それに、プロジェクトが上手くいけば国内きってのグローバルラウンになるじゃないですか?」
「海外からもゲーマーを集めて身近で切磋琢磨できたら面白いんじゃないかって」
「それは確かに面白いかもね。通常のスポーツだってクラブでは外国人が所属しているのは珍しくもないし、彼らから学ぶ点も多そうだ」
「ですよね!それに日本のeスポーツの団体は外国人が介入しづらいと思うんですよ。別に業界に詳しくはないんですけど、他国のプロ集団はそうでないと思いますし」
「あ〜言語の問題だね。翻訳機も競技レベルで使用できる程、速さもないし正確でもないからね」
「そうなんですよね。それだと外国勢に遅れをとってしまうというか。通常のスポーツだって助っ人外国人が活躍しているわけですし、eスポーツだってその流れがくると思うんですよ」
「まぁ、eスポーツはフィジカル差が出にくいから、全く同じ流れにはならないかもしれないけど、その流れがトレンドになる日は時間の問題かもしれないね」
「なので、もしその先駆けになれたら面白いかと。そして、この田舎から世界一のゲーマー集団が誕生すればもっと面白いかなって」
ふむふむ。それは確かに面白い。ただ、プロジェクトが成功すればここは田舎とは言えない場所にはなるから語弊があるかもしれないが。
「じゃあ、それ採用で」
「えっ...?本当にいいんですか?」
「そんなあっさり...」
「時には勢いが大事なんだよ。俺も勢いでここまできたようなもんだし」
「それに、ちょっとジャンルが違うが最近、そっち方面の関係者とパイプができたからね」
「この件に関しては、彼らに相談に乗ってもらいながら進めていく事にしよう」
これもまた巡り合わせというやつだ。
元々、俺のプロジェクトともマッチする部分があるしね。
「もう少し一服してもいいですか?あまりに急展開で頭の中が整理できなくて」
それもそうだろう。
大地主で尚且つ、町長の秘書でもあるけど、他の協力者の中でも最も一般人に近いからね。
早々に順応できている彼らが異常なのだ。
そんなわけで、夜はまだ長い。




