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異世界帰りの町おこし  作者: 残業200時間
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目が覚めたら塵になっていた件

スマホを支給する会社で働きたくない

 やっぱり、共同生活って大変。




 

 本日は新居で過ごしているのだが、絶賛爆睡中にもかかわらず突如目が覚めた。


 なぜなら、とても嫌な予感がしたから。


 異世界では寝込みを襲われる事も珍しくなかったので、就寝中は周囲に結界を張っているし、寝ていても探知スキルは常時発動しているので、危険が迫ればすぐに目覚めるられるように脳が仕上がっていた。


 だが、現代に帰還してからは結界も張っていないし探知スキルもオフにしている。


 にもかかわらず目覚めてしまった。


 これは直感だ。


 何かが迫っていると俺の本能が訴えている。


 そして、ベッドから起き上がると同時に部屋の扉が勢いよくぶち開けられる。


 

 「お館様!!...私を褒めて!!」


 「は?」


 人の部屋にノックもせずに突入しといて、何を言っているんだこいつは...


 「とりあえず、今は叱りたい気分なのだが...何があったの?」


 そこにはハッとした様子の銀髪悪魔が佇んでいた。


 「私とした事がつい取り乱してしまった。今のは忘れてほしい」


 「忘れる努力はするけど、これから報告する内容次第では当面忘れないぞ?」


 そう、俺は根深いのだ。


 特に自分の時間を邪魔されるような事柄は特にね。


 「なら大丈夫だと思う。遂にアレが完成したんだよ!」


 ゼル絡みで完成と聞くと、だいぶ物が限定されてくる。もしや...


 

 

 「もしかして、放射線絡みで開発しているアレかい?」


 「イエス!放射線の変換装置が完成したんだよ!」


 よっしゃ!!!!


 と雄叫びを上げそうになったが、何とかグッと堪える。


 但し、既に拳は握ってしまった状態だ。


 まだ実物を見ていないし、一応、深夜だからね。


 他の連中の眠りを妨げてしまったら、後が怖い。


 なので、興奮を抑えつつも俺は冷静に振る舞う事を選択した。


 「やったじゃないか。依頼してからまだ大して時間も経っていないのに」


 「秘書業務を放棄した分、頑張った!」


 可愛い奴め。


 その事に関して多少なりとも負い目は感じていたんだな。


 「偉いぞ。早速、実物を見たいんだが、完成品は研究室?」


 すると銀髪悪魔が頭を掻き始める。


 「え〜っと、確かに研究室にはあったんだけど...」


 「随分と歯切れが悪いな。とりあえず、続きは研究室で話そうか」


 バツの悪そうな悪魔が研究室に俺を誘導しようとするが、よく見ると着衣している白衣の端が黒ずんでいる。


 まさか...



 「お館様、申し訳ない。研究の尊い犠牲が出てしまった」


 そこにはあるべきはずの建物が存在せず、ドラム缶のような物だけが佇んでいる。


 「ゼルさんや、これはどういう事だい?」


 「完成品を起動させたら、爆発した」


 「もっとわかりやすい説明を求む」


 「えっと...これを起動させて放射線を収束させたら、爆発した」


 うん、わかったようでわからない。


 話をまとめると、確かに上記の通りではある。ただ、補足すると放射線を集めたまではよかったが、このドラム缶みたいな物体に瞬く間に放射線が集まり、そこから魔気に変換されたのだが、放射線の収束と変換の時間が合わなかったらしい。


 要は収束が早すぎて、変換がそれに追いつかなかったって話。


 その結果、不具合が生じて爆発が起きたと。


 細かい理屈はわからないが、まとめるとこんなかんじ。


 てか、完成してないじゃん!


 報告の際に冷静に振る舞って正解でしたわ。



 「ほぼ完成したが正解だったね。反省」


 素直に非を認めるのは素晴らしい。

 

 だが、内容が内容だけに今後はもう少し正確に報告してほしいものだ。


 何より建築したばかりの研究室が跡形もなくなっているからね。


 まぁ、魔法使ってるから作り直すのもそこまで苦ではないが。


 


 「それにしても、研究室がこんな状態だったのに、よくこれは無事だったね。それに爆発音も聞こえなかったし」


 そう、形状やサイズはまるでドラム缶で、表面はメタリックシルバーなのだが、パッと見、傷一つついていない。


 「強度に関しては自信があったからね。正直なところ、この魔道具自体に魔法をかけて強化してある。あと、爆発音が聞こえなかったのは結界を張っていたから。だから音も震動もそちらには伝わらなかったはず」


 「念の為に結界を張っていたんだな。殊勝な事だ。その心遣いは素晴らしい」


 だが、裏を返せばそういう心配が最初からあったはず。ただ、結界を張らないより遥かにマシなのでそれは許そう。強いて言うならば、建物全体を結界で覆うのではなく、このドラム缶の周囲だけ結界を張れば、建物が崩壊しなかったのではと思わなくはないが...


 


 おそらく、俺の嫌な予感はこれらの事を指していたのだろう。


 俺が目覚めた時刻と爆発の時刻が概ね一致しているし。


 とはいえ、研究は確実に進んでいるといえる。


 ゼル曰く、収束と変換の時間調整は何とかなるらしい。


 もう少しだけ調整に時間がかかるが、正にそれも時間の問題との事。


 だが、本当の問題は安全性にある。


 調整が完了すれば今回のように爆発しないらしいが、万が一の際はちょっとした建物を塵にするくらいの爆発が起きる。


 この変換装置の管理を一般人に任せるつもりはないが、これは今後の課題だな。


 


 「せっかく、研究室作ってくれたのに申し訳ない」


 反省はしているようだし、それよりも装置をここまで作り上げた功績は素晴らしい。


 ならば、雇用主として労わなくてはなるまい。


 「こんな時間まで研究に没頭して腹減っただろ?」


 「ラーメンでも食いに行くか。勿論、俺の奢りで」


 シュンとした様相から一瞬で目を輝かせた悪魔がそこにはいた。


 「お館様は神」


 「ラーメンを食べに行く神なんていないさ。たぶん」


 「ちなみに、ベルや他の皆には内緒ね」


 「合点承知!」


 一体、どこでそんな言葉を覚えてきたんだか。

 


 

 という訳で、深夜2時に豚骨系の某チェーン店のラーメンを俺たちは堪能した。


 

 


 

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