表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りの町おこし  作者: 残業200時間
73/96

俺はブラック企業の経営者じゃない!

本気で労う気があるなら、現金を支給してください

 色々とバランスがおかしい...




 リュケとの面談から翌日、今度はベルとの面談を実施する事になった。


 この会議室、そこそこ思い入れがあるが連日の使用はちょっと気が滅入る。


 「率直に聞くけど、ジョンソン会長の件、なぜ報告しなかったの?」


 いつも通り表情を崩さないベルさん。


 「お手を煩わせる程ではないかと思いまして」


 「いや、俺自身は動くつもりはないけど報告くらいはしてほしかったのだが...」


 わざわざ呼び出しておいてあれだが、仮に事前に報告されてたとしても俺は動くつもりはなかった。


 結果的にテュラム会長の時も実働したのはアシュだったしね。


 「失礼しました。この程度の事なら耳を汚さなくても良いかと判断してしまいました」


 ベルとは長年の付き合いだし、色々と考えてしまうな...


 最初から分かってはいたが、一連の行動は俺を気遣ってのことなんだよね。


 それにあちらの世界では今よりも更に自由に動いてもらっていたし。


 俺もベルの行動に目を瞑る事も多々あった。


 ただ、現代ではもう少しチューンナップしていかなくてはならない。


 あちらの世界でもベルの存在は規格外だが、現代程ではない。


 何せ、魔法という概念そのものがここにはないのだから。


 要するに価値観の違いが、多方面で支障をもたらすという事。



 俺たちには何でもない事でも、現代人からすれば大事だ。


 まぁ、ジョンソン会長も大概ではあるのだけれど、もう少し危機感をもってもらわねば。


 ある程度覚悟はしているけど、町に不要な争いは持ち込みたくないからね。


 「今後はこの手の報告もしてくれ。勿論、事後処理はベル達に任せるからさ」


 美人秘書がちょっと微笑む。


 「要するに聞くだけ聞いて、後は私たちに丸投げという事ですね」


 「そうだ。今後もそのつもりだから安心してくれ」


 案外、ベルは俺自身が動く事でバランスが崩れる事を心配していたのかもしれないな。


 身内に何かあったら、俺は相手に容赦しないだろうし。


 


 「では、早速ですが諸々の報告をさせてもらいましょうか」


 ん?


 隠していたのって、この一件だけじゃないの?


 いや、何となく他にもあるんだろうなくらい察してはいたけどさ。



 そして1時間後...



 「以上が協力者たちの身辺の状況です」


 「どうなさいますか?」


 どうって...


 まさかここまで彼らが各方面からマークされているとは思ってもいなかった。


 いくら世界でも有数の経営者たちとはいえ、物騒すぎるだろ...


 ただ、幸いにも今すぐ身に危険が及びそうな報告はなかった。


 基本的にはどの連中も監視がメイン。


 ただ、その情報を元に後々厄介な事をしそうな雰囲気はある。


 だが、それは彼らの本業に関わる件だ。


 俺自身、そこまでお節介を焼くつもりはないのだが、結局、そこで事が大きくなると巡り巡ってプロジェクトに支障をもたらす可能性は十分ある。


 何とも面倒な話だ。


 

 「とりあえず、今すぐどうこうする必要はないかな」


 「後は状況に応じて、臨機応変というか、各々の判断に任せる。と言っても、基本的にはベルが指揮する形で頼む」


 「本当に丸投げですね」


 少々呆れ顔のベルさん...


 「そこは信頼されていると言って欲しいものだな。俺は優秀な秘書を抱えられて本当に幸せだ」


 「本当にそう思っているなら、何かしら目に見える形で労ってもらいたいものですね」


 うぅ...


 それを言われると耳が痛い。


 だが、雇用主として社員を労うのは当然の事。


 ましてや、うちは少数精鋭でコスパ最強の集団だからね。


 それに彼女たちは悪魔なのだ。しかもその中でエリート中のエリート。


 その事実は絶対に忘れてはならない。


 本来、彼女らに依頼をしようものなら、人1人の命でも余裕で対価としては釣り合わない。


 それを月給数十万円程度で扱き使っているのだから、俺も大概である。


 とはいえ、ベルにはこの間、酒を紹介したばかりだし何がお気に召すだろうか...


 

 あ、そういえばまだアレは食べていないはず...


 

 「では、明日にでも寿司を食べに行こう」


 俺は異世界にいた時に寿司が食べたいと、たまにボヤいていたのだが、ベルもそれなりに関心を持っていた。


 向こうでは食べたくても、漁業が壊滅的だったし、ましてや生魚を扱える者が殆どいなかったからね。


 特に魚を生で食する事は自殺行為とも捉えられていた。


 あと、肝心なお酢も存在しなかったので俺もあっさり諦めて、ボヤく程度にとどまっていた。


 「寿司と言いますと、米の上に生魚を乗せた料理ですね。確かに興味はありますが...」


 あれ?


 悪魔でも生魚を食する事は抵抗があるのかな?


 「安心してくれ。味と安全は俺が保障する。それに寿司とビールがこれまた素晴らしい相性でな...」


 「なら行きます。明日と言わず今日にでも」


 冷静な秘書が酒をワードに出した途端、掌を返しやがった...


 喜んでくれるならそれでいいけどさ。


 「じゃあ本日の業務が終わったら行こう」


 「あ、初心者だからまずは回転寿司に連れて行ってあげよう。初めてなら食べるだけじゃなくて、あのシステムも面白いと思うし」


 「システムというのは気になりますね。すぐに業務を終わらせてくるので、少々お待ちを」


 すると目の前から一瞬で立ち去っていた。


 独自で色々勉強しているし、歩き回っているから内心、既に寿司を体験してるのではないかとヒヤヒヤしていた。


 幸いというか、意外にも日本人にとってメジャーな料理を未体験だったとは有り難い。


 てか、ここにきて回転寿司というのも雇用主としてどうかと思ったが、初めては回転寿司に限る。


 あれはあれで良さがあるし、あの機能美を知ってほしい。


 と言っても、カウンターの寿司屋なんて俺自身が行った事がないからというのもあるけど。




 今度、富田会長におねだりしてみようかな...


 


 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] カウンターのお寿司って、知らない人が最近は多いけど、普通の街のカウンターのお寿司屋だと、せいぜい予算数千円程度で1人前食べられますからね。 それでいて、機械でシャリ形成してネタ乗せるだけの回…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ