王子からのお知らせ
趣味の延長で仕事ができたら...と思う今日この頃
「実はね、既に動いているんだよ」
何が?
特に報告とかも受けてないし、王子のこういう発言は妙にドキドキしてしまうのだが...
「もしかして、テュラム会長との水の件ですか?」
この件は町のプロジェクトより前に動いていてもおかしくないからね。
ただ、そこで動きがあったらベルから一報がありそうなものだが...
「そっちじゃない。その件に関しては勿論進めているが、まだこちら側で意見をまとめている段階でね」
「具体的な進捗報告に至らないレベルかな」
まぁ、その段階なら報告はいらないかな。
もし、不具合が発生したら報告は欲しいけど。
となると...
「フットボールクラブのアカデミーを立ち上げたんだよ」
おぉ...!!
それは実に喜ばしい事だ!
だが、レヴィモスから報告は...
「報告が少し遅れた件については、許してくれ。どうしても直に伝えたくてね。レヴィモスには黙っているように俺が指示したんだ」
またか!
事故の件もそうだが、ちょっと不安になってくるなぁ...
だが、それよりも気になるのが、レヴィにそういった指示をしてちゃんと実行させた点だ。
悪魔娘たちの中でも一番の問題児がここまで手懐けられているとは...
しかも名前の呼び方も妙に親しげだし。
俺は直接武力行使で彼女らを納得させたわけだが、それをなしでこの関係性を築いたわけでしょ?
一体、どんな手段を使ったんだ?
それとも、王子の器や人間性か?
いずれにしても、驚きというか王子も化け物じみていると改めて実感した。
「非常に喜ばしい事だが、動きが早すぎない??」
「まぁ、多少強引な手段は使ったが、プロジェクトの件を考慮すると遅くなる事はあっても、早すぎるという事はないと思ってね」
俺はもっと悠長に構えていただけあった、不意に頭をぶん殴られたような衝撃だ。
「あの町にアカデミーを設立する前に、ある程度データと実績が必要かと思ってね」
「できるだけ、本番は円滑に事を進めたいし、私としても失敗は絶対に許されない」
おぉ...そこまで真剣に考えていてくれてたとは...
つくづく自分の甘さを実感してしまうよ...
けど、そこまで気負わなくてもいいとは思うのだが...
「私としても趣味と実益を兼ねた一世一代のプロジェクトだからね」
「まさかそこまで真剣に考えてくれていたとは驚きだよ」
「正直、お互いの趣味の割合が大きい案件だし」
「だからこそだよ。趣味は全力でやるものだ。それに将来的には巨額の利益が生まれる可能性もあるからね」
趣味は全力か...実にいい響きだ。
趣味や遊びは生きていく上でバカにできないものだ。
それが生きる活力になっている事は間違いないし、ある意味本能だからね。
「ところで、どこまで話は進んでいるの?」
「既にアカデミーの登記は済ませた。現在は周辺諸国も含めて、アカデミー生となる有望な人材のスカウト、募集をしている段階さ」
「なるほどね。ただ、集まったところで肝心な施設やスタッフの手配とかは大丈夫?」
あまりに話が急すぎるからね。
少なくとも日本でこんな事をしようものなら、何年も協議やら資金集め、人材、土地の確保など気が遠くなるようなプロジェクトになる事は間違いない。
俺のプロジェクトではもっと迅速に済ませる予定ではあるが...
「問題ない。施設も人材も私が国内で所有しているプロクラブを運用するからね」
あ、欧州だけでなく国内にも所有していたのね...
これは完全に俺の勉強不足だ。
何せ、俺が関心があるのは欧州の一部のリーグと代表戦くらいのもの。
アジアは完全に範囲外。
これからはそちらにも目を向けていかなくては...
「それならば、思ったよりもコストも抑えられるしスムーズに事が運びそうだね」
「まぁな。プロの試合は基本的に週末だし、平日も午前中には練習が終わってしまう」
「ならば、その空いた時間は有効に使わねば」
「とはいえ、スタッフも施設も足りていないのは確かだ」
「なので、当面は既存のスタッフに協力してもらいつつ、早い段階で新しい人材を投入する。その為のスカウトや募集も今のところ順調だ。施設に関しても当面は近所のホテルを利用してもらう事になるが、勿論費用はこちらが負担するし、まだ着工には至ってはいないが急ピッチで寮の新設にも取り組んでいるよ」
決断と行動が早すぎる!!
流石に急だとは思うが、日本の政府や経営者も見習って欲しいものだ。
慎重になるのは当然だし大事だが、協議を重ねれば重ねる程、時間も労力も消費し金だってかかるのだ。
勿論、時間がかかった分、協賛するスポンサーが増えて投入資金が増額する可能性もあるのだが...
だが、最初からある程度資金が揃っているのならば、その限りではない。
「ちなみにそのアカデミーって、日本人の子でも加入可能なの?」
「当然可能さ。ただ、アカデミーに関しては日本のクラブのほうが遥かに先を進んでいるからね」
「実際、スカウトや募集をしたところで関心を持つ子は少ないかもな」
確かにそれはそうだ。
ただ、アカデミーの内容次第ではもしかすると...って思ってるんだよね。
そんなわけで、もう少しだけ王子との話は続きます。




