事故物件...?
困ったらチャレンジ&エラーというワードを使いがちな風潮
崖の拠点もかっこいいけど、ちょっと不便なわけで...
実は拠点の崖の上に古い一軒家がある。
立地が悪く、建物の築年数は50年を超えている。
唯一の救いは海が一望できる事。
所謂、オーシャンビューというやつだ。
ちょっと気になる物件なので、秘書兼大地主である熊田氏に相談したところ、なんと土地も建物も彼の所有物だった。
話を聞いてみると、所有しているのは土地だけではなく、建物や施設もいくつか所有していいるとの事。
だが、過疎化や震災の影響もあって、大半は持て余している状態らしい。
そこでダメ元で相談したところ、なんと無償で崖の上の一軒家を土地ごと譲ってもらえる事になった。
しかも、この付近は居住禁止区域からは外れており、すぐにでも居住する事が可能!
但し、電気も水も通ってはいないが...
だが、問題はそれだけではない。
老朽化プラス、空き家だった事もあり家の劣化が激しい。
周囲もちょっとしたジャングル化をしているが、移動手段は自己召喚で直接家の中に転移するので、当面は問題なし。
というわけで、この日はベルと一緒に物件の視察に来たわけで...
「今にも崩れそうですね」
「確かに...てか、なんでこんな古家屋が震災の時に倒壊しなかったのか不思議でならない」
「しかも無駄に大きいですね」
一体、どんな人物が住んでいたのやら...
建物だけで見れば、あちらの世界の住居よりも確実に大きい。
「リフォームしようかと考えていたが、それは難しそうだな」
「ですね。解体して新築したほうが効率的だと思います」
ただ、なんか引っかかるんだよなぁ...
なんとなくだけど、解体してはならないような気がする...
ちなみに熊田氏に聞いたところ、以前の持ち主については詳細不明との事。
わかっている事は、彼の祖父が本来の持ち主から譲り受けたという事実だけ。
「そういえば、軽く周囲を確認したけど、道らしい道なんてなかったよね?」
「この辺り一体は完全に草木に侵食されていますからね。元々は道があったけど、今は草木で覆い隠されているだけなのでは?」
「確かにその可能性は高いけど、それでも不審な点がいくつからあるんだよね...」
「不審?」
「例えば、そもそも崖の上に家屋を建ててる事」
「基本的にこんな場所に建物を建てる事自体が珍しい」
「崖が崩壊しないとも限らないしね」
「それだけ、海を一望できる景色を気に入っていただけでは?」
「勿論、その可能性もある。ただ、まだ不審な点はある」
「実は本来の持ち主はこの家に1年も住んでいなかったらしいんだよ」
「これだけ大きな家屋を1年もしなうちに放棄、というか他人に譲り渡すなんておかしくない?」
「それは確かに...ですが、単純に金銭に余裕があって住んでみたら、不便で引っ越したという線も考えられます」
「まぁね...しかも売却せずに譲り渡しわけだし」
「ただ、最も引っかかるのは熊田氏が所有する数ある物件の中で、ここだけが持ち主の情報が不明という点なんだよ」
「確か、父親も祖父も相当几帳面な方だったらしいですからね。それはちょっと引っかかりますね」
「だろ?しかも持ち主の性別や年齢すらも不明なんだと」
「それはおかしな話ですね。そういう時代だったと言えばそれまでですが、この物件だけという事は同じ時期の他の物件等は情報が残っているという事ですよね?」
「その通り。50年前とは思えない程、しっかりと詳細が記帳されていたらしいよ」
ただ、そうなるとこの物件に関して一つの疑惑が浮上してくるわけで...
「もしかして事故物件というやつでは?」
「今更だけど、よくそんな事知っていたね。まぁ、情報がない=事故物件っていうわけではないんだけど、その延長線上ではあるかも」
「いずれにせよ、わざわざこの物件に拘る必要はないのでは?」
「熊田氏ならもっと優良な物件を所有しているでしょうし」
「ん〜確かにそうなんだけど、なんか気になるというか惹かれるというか...」
「ヨシの直感って、妙なところで的中する傾向があるので、あまり不用意な発言はしてほしくないのですが...」
どうやらベルさんは乗り気ではないようだ。
それとも、考えにくいけどビビってるとか?
すると何かを察したのか、ベルから鋭い視線が突き刺さる...
「実は最近、心霊系の動画にハマってましてね。ただ、軽率な行動は縁起が良くないと思っただけですよ...」
悪魔が心霊動画にハマるって...
本当にビビってるんじゃなかろうか?
だが...
「やっぱり、ここに決めた!俺は俺の直感を信じる!」
呆れた様子のベルさんの顔を見るのは、これで何度目だろうか...
「そう言って、昨日入ったラーメン屋の新作に手を出して失敗したばかりのくせに...」
ラーメンで失敗なんてない。
ただ、味噌ラーメンが味が薄い味噌汁風味だっただけである...




