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異世界帰りの町おこし  作者: 残業200時間
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お水とクソニート卒業報告の問題

他人の問題にはすぐ結論が出せるのに、自分の問題はすぐに解決できないってあるあるだよね

 放射線についてはゼルに丸投げできたが、問題はまだ山程ある。




 「さて、ベルさんや引き継ぎの進捗具合はどうだい?」


 「概ね完了しましたよ。急ぎ足にはなりましたが、テュラム会長の協力もあり問題なく完了しました」


 「同時に町長と秘書の熊田氏にも話は済ませております」


 本当に有能で何より。


 これで町に新たな水道局関連の施設を建設する下地が整った。


 「ようやく軌道に乗ったな。放射線のほうも目処が立ったし、プロジェクトの現実味がより一層増してきたと感じるよ」


 「何を今更。あの面々の協力を得られただけで、十分現実味はあると思いますがね」


 「世界でも屈指の経営者に加え、神大級の悪魔の5人の説得にも成功したわけですし」


 確かに、今振り返ってもそこは特に苦労した。


 全て短期間で交渉を成功させたとはいえ、あまりに濃密な期間だった。


 特に悪魔に至っては普通、召喚する事自体不可能だし。


 それに一歩って程ではないけど、何歩か間違えれば彼女らに○されていたし...


 「仕事してないようで、俺も意外と仕事をしてたんだな」


 「そうですね。勿論、この先も仕事は続きますが」


 それを聞くとちょっと憂鬱になるなぁ。




 「せめて顧問くらいは引き受けてほしかったですね」


 ん〜耳が痛い...


 「まぁ、適任が私しかいなかったのも事実ですが」


 「その通り!俺が顧問になったところで大した事はできないし、俺には濾過装置の開発もあるからね」


 そう、顧問と開発者が同一人物というのは厄介極まりない。


 何せ、開発者が最も装置のシステムを把握しているのだから、その上顧問なんかになったら説明を求める声が後を絶たないだろう。


 あくまで開発者は匿名という事でテュラム会長とは約束を交わしている。


 だが、情報はどこで漏れるかわからないのだ。


 ましてや俺本人がボロを出さないとも限らないし。


 突然やってきた顧問が実は開発者でしたっ、て笑えない話だ。


 「少しくらいは表舞台に名を残してもいいとは思いますがね」


 「そのほうが両親も喜ぶのでは?」


 痛いところを突いてくるね。


 それはそうかもしれないが、それは勘弁してほしい。


 面倒事に巻き込まれたくないのが第一前提だが、万が一両親を取り囲む環境が過度に変化する事態は避けたいのだ。


 「多分、親はそこまで望んでいないよ。何せ彼らには未だにクソニートとして通しているからね」


 そう、まだ両親には何も話していない。


 相変わらず1日の大半を部屋で過ごしているという事にしているのだ。


 つまり、両親からの「働け」という小言も尽きないわけで...


 「それに俺と違って、堅実な2人だから突然大企業の顧問になりましたって話しても逆に心配させるだけさ」


 「ですが、起業して既に社長という立場ではありますからね。バレるのも時間の問題では?」


 「そこだよね。何せ今の立場はまだ父親の扶養に入っているわけだから、そっちから足がつくのも時間の問題だ」


 「起業に関しては、テキトーに話を作って両親に報告をする必要がある」


 「安心させられそうで良かったですね。話を聞く限り散々な生活をこちらでは送っていたようですし」


 「まぁね。それでもクソニートが何の前触れもなく起業して社長に就任したって事実も、なかなか非現実的で心配させそうだが」


 「遅かれ早かれですよ。その気になればいくらでも誤魔化す事はできますが、そこまではしたくないんでしょ?」


 「そうなると富田会長にも迷惑がかかってしまいそうだしね。まぁ、ベルなら上手くやってくれそうだが不安の種を自ら撒く必要もないし」


 「色々大雑把なのに、そういうところは妙に心配性というか慎重ですよね」


 「普段からそれくらい私にも配慮してもらえると嬉しいのですが」


 今日は耳が痛い話ばかりだ...


 これでも気を遣っている方なのだが、確かにベルには無茶振りの連続だからなぁ...


 何かご褒美を考えておかねば...


 


 「ところで、肝心な濾過装置の開発は進んでいるのですか?」


 俺の様子を察したのか、話題を変えてもらえて助かります。


 「あぁ、こちらは問題ないよ。完成率は9割といったところかな」


 「9割?残りの1割は問題ないのですか?」


 「残りの1割は耐久性なんだよ。まだ完成して間もないからね」


 「なるほど。では、これから何年か稼働経過を見るという事ですね」


 「その通り。ちなみに、ある程度目処が立てばこちらもゼルに任せるつもり」


 「全く、よくも悪魔をここまでコキ使えますね」


 「まぁ、ゼルは秘書業務を放棄した分、それくらいはやってもらわないと困りますが」


 「そうそう。勿論、何か不具合が出たりゼルから相談があれば乗るだけどね」


 それに、これからの事を考えると意外と俺にも外せない役割は多いのだ。


 ある程度は余裕を確保しておきたい。


 サラリーマンの頃はその余裕がなくて失敗したからね。


 


 「とりあえず、装置の開発が順調で何よりです」


 「ところで、完成後の装置とそれを設置する施設の人員についてですが...」


 ...


 「その件に関してはテュラム会長と相談して慎重に決めないとね」


 「そうですね。なので、ヨシにもその打ち合わせに参加を...」


 そして俺は話を遮る。


 「ところでベルさん、そろそろ俺がかねてより話していたラーメンを食べたいと言っていたよね?」


 「今から食べに行かない?」


 「ハァ....」

 

 どうやら全てを察してくれたようだ。


 本当に俺の事を理解してくれていて助かります。

  

 その分、極上のラーメンを提供する事を約束しよう。

 

 

 

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