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異世界帰りの町おこし  作者: 残業200時間
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秘書の正体

引きこもりのせいで、同じく引きこもりの同志には滅多に遭遇しない件

 「町長の秘書は地主でした」




 そうなんだ〜


 本来ならもう少し驚くべき事なのかもしれないが、小さな町だしそういう事もあるだろう。


 「ちなみに年齢は25歳。そして町で最も広大な土地を所有する地主です」


 ま?


 20代半ばで町一番の大地主とな...


 なんとも羨ましい話である。


 「しかも、広大な土地だけではなく所有する土地の数においても最多ですね」


 もぉ働かなくてもいいじゃん...


 いや、立入禁止区域が多い今の現状じゃ宝の持ち腐れなのか?


 それにしたって、国が新しい施設を建設しているし、土地を売ればそれなりに暮らしていけると思うのだが...


 

 

 「なんでそんな人物が秘書をしてるの?てか25歳で町長の秘書になんてなれるの?」


 正直、わからない事だらけである。


 「土地自体は父親から引き継いだそうです。更にいうならば、彼の祖父が元々の大地主で例の大震災の際に亡くなり、その後は父親が引き継いだそうですが、その人物も一昨年に事故で亡くなっています」


 「なるほど。それであの若さで大地主となったわけね。けど、身内とかは口を出してこなかったの?」


 いかにもドロドロ展開になりそうな案件だし。


 「まず彼の身内として母親、そして姉がいますが彼女らは土地の相続に関与していません。そして親戚間では一悶着あったそうですが、父親の遺言書が決め手となり彼の相続が決定したそうです」


 「死因が事故なのに遺言書?」


 「用意周到な人物だったようです。先代から土地を相続した頃には遺書を用意しており、毎年内容を更新し遺書を銀行に保管していたそうです」


 あぁ、自分が突然土地を相続した経緯があったから、そこから教訓を得ていたのかもね。


 「で、遺書には土地の相続人として息子が指名されてたわけね」


 「その通りです。ちなみに秘書となったのは町長の推薦だそうです」


 町一番の地主を取り込んでおきたかったのかな?


 てか、この短時間でどうやったらここまでの情報を入手できるんだよ...


 この時点で世界一優秀なスパイなのでは?



 「彼の父親と町長は幼少期からの親友だったそうです。しかも彼は引ごもり気味だった事もあり、それを見かねた町長が役場で事務職を与え、昨年に秘書に就任したそうです」


 「だとしたら町長はなかなか人情派だね。ただ職権濫用についてはなんとも言えないけど」


 「富田会長はどう見る?」


 内容が内容だけに、現代の権力者の意見もぜひ聞いておきたい。


 「人情派なのかもしれないが、私のような立場の人間はどうしても地主というステータスが引っかかるかな」


 そりゃぁそうだ。


 「町長が大地主を懐に置いたとして、何のメリットがあると思う?」


 「やはり土地の転用による利益じゃないかな?国の支援金で施設も建設されているし、町長が間者となって彼を説得して国が土地の買取に成功すれば、いくらかお礼として支払いが行われるだろうしね」


 「確かにそれが一番ベタかな」


 「ベルはどう思う?」


 「その懸念は十分あり得そうですが、今回は可能性が低いと思われます」


 「なぜ?」


 「町長は既に何度か国からアプローチをされていますが、彼の土地の買収について全て拒否しております」


 「全て?つまり、彼が所有する土地を買収する動きが事実としてあったけど、町長が盾になって拒否したという事?」


 「そうです。実際に賄賂をチラつかせるような交渉を国側が持ちかけたそうですが、断固として拒否したそうです」


 ガチの人情派じゃん...



 「素朴な疑問だけど、何で拒否したのかな?この手の話ってよくある話じゃん」


 富田会長も小さく頷いている。


 「それも彼の父親が関係していますね。常々、もし自分の身に何かあれば息子を守り、できる限り彼の意見を尊重してほしいと町長と話していたそうです」


 それが本当ならお手本のような人格者だな。


 「という事は、彼が土地の買収を拒否して、町長はその意見を尊重したという事か」


 「そうなりますね。なぜ買収を拒否したかまでは調べられませんでしたが...」


 いや、ここまで調べ上げただけで十分過ぎます。


 会長も色々通り越して、やれやれといった表情を浮かべているし。


 


 となると、買収拒否の理由が肝になってきそうだな。


 おそらく、プロジェクトを進めるにあたり彼が所有する土地が関与してきそうだし。


 まずはそこの説得が最優先と言えるだろう。


 やはり今回は会談で済ませておいて正解だった。


 実は事前にベルから調査をすべきかと問われたが、俺がしなくてもいいと話していたからだ。


 だって、あくまで挨拶が今回の目的だったし。


 それに人数の制限はしたが、誰が出席するかまでは指定もしなかったし、事前に出席者の報告もしなくていいと命じたのも俺だ。


 あくまで富田会長との会談という情報だけで、町側がどのような人物を出席させるかに興味があった。


 あとは、会長が来るだけでもプレッシャーがかかっていただろうから、少しでもフランクな状況にしたかったし。


 で、秘書をわざわざ出席させた事により今回の件が発覚したのだから、収穫はまずまずと言えよう。



 

 次の課題も見つかったわけだが、対象が引きこもり気味だったという事は気になるな。

 

 あと、事務職採用で一年後には秘書に就任した点も地味に気になる。


 俺自ら動く必要があるかもしれない...



 

 

 

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