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異世界帰りの町おこし  作者: 残業200時間
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町への初アプローチ

ステップアップもいいけど、ジャンプアップしたっていいじゃない。

 協力者たちとの初対面より緊張する...




 遂に富田会長とベル、町の有力者たちとの会談が始まった。


 勿論、俺は隠密を発動して見学しているのだが、流石に町の方々は緊張した様子。


 そりゃあ、国内トップクラスの企業である富田自動車の会長がわざわざ出向いて来たのだから仕方ない。


 そして横には絶世の美女。


 パンツスタイルのスーツ姿が妙に神々しい。


 皆さん、チラ見の回数が半端ない。


 ちなみに今日は挨拶と交流がメインで、プロジェクトについては触り程度で反応を窺う予定。


 それに町の状況についても地元の方から直接声を聞きたいしね。


 それにしても、やはり富田会長は相当場慣れしているね。


 今更だけど、あらためて感心してしまう。


 そしてベルさんも実に手慣れた様子。


 この世界での経験値は圧倒的に低いのだが、元々異世界で俺の代理で公の場でスピーチをしたり交渉もしていたからね。


 なんなら、王族たちとも対等というかそれ以上の迫力で渡り合っていたし。


 だが、今は威圧する様子もなく実に落ち着いた雰囲気を醸し出している。


 その辺の使い分けというか、振れ幅については富田会長より上だと思う。


 


 そして町の代表者たちは、町長を始めその側近や、地元の有力者の計7名。


 出席したいという者たちは他にも何名もいたが、話がまとまりにくいと判断したので絞らせてもらった。


 で、挨拶が一通り終わりここからはヒアリングタイム。


 富田会長が実にスムーズに流れをつくってくれた。


 で、町の状況について話を聞いたのだが、どうやら町の復興は難航しているらしい。


 実際には少しずつではあるが、確実に歩みを進めている。


 だが、その歩みはかなり鈍い。


 現在の町の人口は約1000人程。


 まだ居住禁止区域が多く、一度外へ避難した人たちの帰還率も高くない。


 まぁ、元々住んでた家が禁止区域にされていたら早々戻れないよね。


 しかも補助金も支給され、外で新居を購入した人も多いと。


 

 率直な感想としては、その人たちはもう帰ってこないだろう。

 

 既に新たな居住地域で住まいも構え、仕事や生活の基盤も確立されているだろうし。


 仕事や生活、収入に余裕があれば帰ってくるかもしれないが、それは少数派であろう。


 で、町としては新たな町民を得る為に新たな居住者を募り、補助金も支給していると。


 そして、既に転居してきた若者が飲食店の出店や酒造り、モノ作り等々を始めている。


 それ自体、確実に歩みを進めている何よりの証拠だ。


 これからプロジェクトを進める立場からしても、朗報といえる。


 しかし、既存店の売上や新規出店の数字については芳しくないらしい。


 いくらネット社会の全盛とはいえ、そもそもの人口が少ないからね...


 他にも役場の人間や転居してきた若者たちが他県でイベントの開催や、出席もしているがその成果は中々数字に反映しにくいとの事。


 なるほどなるほど。


 やる事はやっているけど、リターンが少ないと。


 そして復興へ向けて少しずつ歩んでいるが、ゴールが見えないし決め手が欠ける状況というわけですな。


 


 予めわかっていた事ではあるが、居住するにあたり、生活環境が悪条件過ぎる。


 ただでさえ、地震の恐怖や体調への不安も危惧されているし、インフラも追いついていない。


 元々、震災が発生する前ですら人口は減少の傾向にあった。


 そこへきて未曾有の大災害が押し寄せてしまったのだから、人々が離れるには十分すぎる条件が揃ってしまったわけだ。


 現在は確実に復興に向けて歩んでいるし、現地での起業や求人募集も増えてはいるが、自分たちが生きている間にどこまでそれが進行するかというと、それは未知数だ。


 それに町民の年齢層は高齢者が多い。


 このままでは生存しているうちに、震災前の町の姿、ましてやそれ以上に発展する姿はその目で拝めないだろう。


 

 個人的にはそこを懸念している。


 あれだけの災害の被害を被ったのだから、そこから復活どころか、その先を見る権利が彼らにはあってもいいじゃないか。


 後世に繋げ託す事も大事だが、やはり生きている以上、自分がメインで楽しんでもいいじゃないか。


 あの大震災を経験したのは自分たちなのだから、生きているうちに何かを取り戻す事が悪いわけがない。


 まぁ、異世界転移前の俺ならば、進んではいるし存命中にどうなるかわからないという現実を仕方ないと割り切ったかもしれないが、今は違う。


 人生の主役はあくまで自分なのだ。

 

 生きているうちに望んだ未来を手にしたい。


 勿論、限度はあるのだろうが限界まで足掻きたい。


 それが異世界で学んだ教訓の一つだ。


 死んだら何もできないのだから...



 

 富田会長も沈痛な様子で話を聞いているが、ベルに関しては何を考えているかわからない。


 そりゃあ、人間が滅ぶ様を何度も見ているからね。


 ドライに感じるかもしれないが、中にはこれくらい客観的に見れる者が必要だ。


 プロジェクトや震災に関しては俺も主観的に考えてしまう傾向があるしね。


 そして富田会長が実にタイミング良く話を切り出してくれた。


 自分たちも復興の手伝いがしたいと。


 有力者たちの反応も悪くない。


 



 だが彼らはこの後、富田会長の一言に驚愕する事をまだ知らない...


 

 


 

 

この作品の執筆を継続しつつも、新作を手がけるかお悩み中。

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