翔ぶが如く!翔ぶが如く!翔ぶが如く!
仕事ができる美少女が部下になったら、どんな心境だろう...
仕事が早過ぎるのも如何なものか...
アシュの魔気を辿って現場に到着したのだが、どうやらここは連中の拠点っぽい。
連中は既に縄で拘束され、綺麗に並列に並べられている。
「お疲れ様。まず確認だけど、こいつらは会長の息子を襲撃した一味で間違いない?」
「勿論。それにちゃんと人道的な手段で依頼主の人物も確認がとれたよ」
まじですか?
てか、本当に人道的?
ここまで早いと疑わざるを得ないのだが...
「捕縛する際に魔法は使ってないから安心してよ。勿論、こっちの姿形は偽装したし」
実は今後の事もあるので、アシュには正体を隠すように指示していた。
連中にアシュがどのように見えていたかはわからないが、既に気絶しながらも悪夢にうなされているような悲壮な様子が見受けられるので、余程恐ろしい者に襲われたのだろう。
「よくやった。で、胴元は誰だった?」
「N社のキリアム・アモロって人。主の予想通りだったね」
やはり前社長にスパイを送り込んだ人物か...
こいつがN社の汚れ役を一任しているのかな?
普通は更に間者を何人か挟むものだけど、お粗末過ぎやしないか?
まぁ、お陰で捜査するこちらは楽だけど。
「ちなみに、こいつの居場所は把握してる?」
正直、ここまでだいぶショートカットしているが、特定の人物を探すのは少々めんどい。
せっかくだし、それもアシュに任せてしもうかな...
「居場所っていうか、もうすぐここに到着するよ」
ファ!?
いくらなんでも都合が良過ぎでは?
「こいつらのリーダー格に尋問したら、息子の確認と引き渡しをする予定だったんだって」
「で、こいつに嘘の報告をさせたからもうすぐ姿を見せるはずだよ」
末っ子悪魔が優秀過ぎるんだが...
まじで俺、何もしてない...
しかもそうこう考えている間に、外から車の排気音が...
「手を貸そうかと思っていたが、どうやら必要なさそうだね」
「アシュ、このまま最後までイケる?」
そして美少女が邪悪に微笑む...
「もち!あたしが優秀だという事を証明してあげるよ」
既に十分優秀です。
「期待してる。あとは頼むよ」
そう言い残し、俺は隠密で姿を消す。
同時にスキンヘッドのインテリ眼鏡でいかにもという奴が、部屋に入室してきた。
そしてそこからのアシュとアモロのやり取りは電光石火の如く早々に終了した。
アシュが何に化けて交渉したのかは知らないが、アモロの様子は終始焦燥していた。
あっさりとこれまでの犯行を自供し、更に黒幕はN社の社長である事も言質がとれた。
だがアシュの仕事はこれで終わらない。
なんとその場でアモロに社長に連絡するように指示し、襲撃が成功したと虚偽の報告をさせこれから今後の打ち合わせをしようとアポイントの獲得にも成功。
で、N社の本社に移動し今まさに目の前でアモロが社長に報告をしているのだが、当然この様子は録画させてもらっている。
当然、アシュと2人で隠密を発動させ観察しているのだが、聞くに堪えない内容だった。
本当に救いようのない人物だ。
なぜこんな時代錯誤な人物が社長を務めているのか謎だが、案外現代でもそういう権力者は未だに多いのかもしれない。
ここまで接してきた協力者たちが優秀なだけで、どうしようもない奴はどこまでもどうしようもないのだ。
アシュに至っては実につまらなさそうな様子。
多分、こういうの見慣れ過ぎてるんだろうなぁ...
何はともあれ、これだけ証拠が確保できれば十分だ。
しかも、こちらから告発するような真似はしない。
後ほど、アモロを警察に出頭させ証拠映像を持参させた上で、自供してもらうのだ。
ちなみにこれらは全てアシュから提示されたプランだ。
「まだこの世界に来て間もないのに、よくこんなプラン思いついたな」
「ん〜人間がいる世界なら、法律というものがあって犯罪者と呼ばれる連中を取り締まる機関があると思っていたからね」
「だから、主に穏便にと言われた時点で落とし所はこれかなって♪」
あまりに察しが良過ぎるんだが...
ぶっちゃけ、俺が直接動いていたらもっと感情的に行動していたと思う。
しかも何だかんだ、他に魔法も使っていたかも...
魔法は専売特許と言わんばかりの悪魔に、ここまでスマートに事件を解決されてしまうとは...
当初は何かしでかすのではと不安だったが、むしろ俺の主人として資質に問題はないのかと不安になる。
結局、アシュに来てもらってから現在まで2時間程度しか経過していない。
こんな美少女がマフィアのような連中を一網打尽にし、巨大企業が倒産しかねないスキャンダルの証拠を確保したのだから、ギャップがエグい。
「正直、ここまで出来るとは思ってもいなかったよ。しかもこんな短時間で大したものだ」
思わず、末っ子悪魔の頭の上に手を乗せて撫で撫でしてしまう。
「子供扱いしないでくんない?」
思わず背筋が凍るような、鋭い視線を向けられてしまった。
見た目が美少女なだけに、このギャップはなかなか迫力がある。
「ス、スマン、スマン...!...こ、これはこの世界でいう感謝の証みたいなものなんだよ」
我ながら悪魔を相手に何を言ってるんだか...
てか、普通に現代人にこんな事をしたらセクハラ案件になりかねない。
流石に気をつけなくては...
「ふ〜ん...そういう事なら別に構わないけど」
な、なんとベタなツンデレ!!
けど、威力は半端ないんだが....
正直、ツンデレにこんな破壊力があるとは思ってもいなかった...
勿論、相手にもよるんだろうけどこれは反則だ。
それにちょっと生意気な姪っ子という感じが、父性?というかなんとも親心のようなものが燻られる。
独身だけど、兄弟の子供達の面倒を見て満たされるっていう感情がわかった気がする。
そして、流石にやり過ぎかと思ったが予め用意していたペロペロキャンディーを手渡す。
怒られるかもと思ったが、実に美味しそうにキャンディーを舐める姿に思わずほっこりしてしまう。
てか、ペロペロキャンディーの存在も知らないのだから、怒られるわけもなかった。
難しいだろうが、今後もペロペロキャンディーの対象年齢を知らずに過ごしてもらいたいものだ。




