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異世界帰りの町おこし  作者: 残業200時間
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お爺ちゃんと孫

見た目の相性も重要だよね

 「アシュ、今空いてる?」



 

 通信リングで早速、確認。

 

 てなわけで、テュラム会長の秘書はアシュロスで決定。


 なぜ選出したかと言われれば、ただの勘。


 見た目が美少女ということもあり、お爺ちゃんと孫みたいでおさまりが良さそうだったから。


 それに多少の失礼があっても、会長なら温かい目で見守ってくれそうだし。


 協力者の中で最も包容力がありそうだからね。


 

 そんなこんなで末っ子悪魔を早速迎えに行って、即座に帰還。


 「アシュ、こちらが協力者の1人、テュラム会長だ。ご挨拶しなさい」


 少しムッとした表情をしているが、今となっては実に可愛らしい。


 「なんか子供扱いしてない?これでもだいぶ年上なんだけど」


 なぜバレた...


 「そ、そんな事はないよ。じゃなきゃ早速、仕事を任せたりしないだろ?」


 「ふ〜ん。やっぱり仕事なんだ」


 「まぁ、5人の中で最初にお声が掛かったって事でとりあえず良しとするか」


 後でベルに聞いた話だが、真っ先にアシュが呼ばれた事で5人の中で少々、揉め事が発生したらしい。


 本当に少々かは疑問だが、労働意欲が高くて何よりだ。



 「初めまして。主の秘書でこれからあなたの秘書も兼任するアシュロスです。よろしく」


 言葉遣いがかなり怪しいが、現代に召喚されて2日程度と考えれば御の字だろうか?


 元々、敬語を使うタイプでもないしね。


 だが、さすがのテュラム会長も表情には出さないが少々不安そうだ。


 「今、猛スピードで諸々学習中だから、多少の事には目を瞑ってもらえると助かる」


 「それに何かあれば、遠慮なく俺に連絡してくれて構わない」


 流石にこれくらいのフォローはしないとね。


 それに、協力者たちが悪魔に支配されるような状況は避けたいので、その辺のケアというかチェックは綿密に行っていくつもりだ。


 「君が信頼している人物なら私も信頼するよ。それに急な呼び出しに即座に応えてくれて感謝しているくらいだ」


 「そう言ってもらえると助かるよ」


 ここで空気が読めない奴なら、アシュの事をお嬢ちゃんと呼んだり、不安を想起させるような言葉を発していたかもしれないが、流石はテュラム会長。


 見事に不安を押し殺して空気を読んだ。


 アシュも満更でもなさそうだし。


 ぜひ、このまま彼女の逆鱗に触れることはなく関係を構築してもらえると助かる。



 「ところで仕事の内容は?たぶん急ぎなんでしょ?」


 自ら切り出してくれるとはありがたい。


 俺の中でアシュの評価がちょい上がった。


 そして事の経緯を一通り説明し、早速行動に移ってもらう事にした。


 「要は、息子さんにちょっかいを出す連中を捕縛して、その胴元を見つければいいんだね」


 「その通り。連中がすぐに姿を表すとも限らないから、場合によっては数日がかりになるけど大丈夫?」


 「その程度なら問題ないよ。逆に状況次第では今日中に依頼を済ませてもいいの?」


 流石にそんな都合良くはいかないだろうが、可能性はゼロではない。

 

 「あくまで状況次第だね。あまり事を荒立てないでくれよ?」


 「任せといてよ。こういうのは得意だから」


 正直、不安だ...


 とりあえず、現場に向かわせるが俺も後から合流しよう。


 

 そして、会長の息子さんの顔写真も見せて勤務先と自宅の住所も伝えた。


 ちなみにアシュにはベルのスマホを貸与している。


 その場で地図アプリやカメラ機能などの基本的な操作をレクチャーしたが、すぐに覚えてくれた。


 たぶんだけど、今のやり取りだけでコツというか、スマホの要領を掴んでいる気がする。


 フリック操作も即座に覚えたし、唐突に通話や通信機能についても質問してきた。


 もしかすると、既にベルから軽いレクチャーを受けたのかもしれないが、それにしたって悪魔の学習能力の高さは反則だ。


 一教えて十覚えるタイプ。というか、それ以上。


 まぁ、味方でいる限り実に頼もしい。


 

 

 「いきなり、こんな荒事を押し付けてしまい申し訳ない。くれぐれも息子の事をよろしくお願いします」


 大企業の会長が美少女に深々と頭を下げる姿は、なんとも不思議な光景だ。


 こんな状況だから面白がってはいけないのだけど、やはりこのペアは悪くないのではと思ってしまう。


 「任せておいてよ。初任務とはいえ、失敗する気はさらさらないからね」


 「お菓子でも食べながらのんびり待機しててよ」


 見事なまでのビッグマウス。


 変なフラグが立たないといいのだが...


 「じゃあ主、行ってくるね!」


 すると隠密を発動し目の前から美少女が消え去った。


 初めて訪れた世界で大した自信だ。


 その辺の概念がやはりぶっ壊れているよね。


 俺が異世界に転移したばかりの頃は、不安と恐怖でメンタル崩壊しそうだったけど、悪魔にはそういった概念が存在しないのだろうか?


 あぁ見えて合理的な思考を持ち合わせる種族だし、割り切るというか切り替えの早さが異常なんだよな。


 人間は割り切るまでに葛藤とか、思考する時間によってある程度のラグが発生するが、彼女たちにはそれが殆どない。


 長命でダラダラ生きてる奴が殆どなのに、こういうところは恐ろしく早い不思議な生き物だ。


 そして、小一時間程会長と話し合い、今後の方針が固まった頃に俺の通信リングに連絡が入る...



 

 「終わったよ」


 何が?


 末っ子悪魔の唐突な一言に思わず心の中でツッコンでしまう。


 「ちょうど、現場に着いた頃に息子さんが襲われそうだったから、そいつらを捕まえてついでにそいつらの上司?みたいな奴の所に案内してもらって、その場にいた全員を一網打尽にした」


 Oh...


 早過ぎるというのもあるが、そいつらも運がない。


 襲うタイミングを悪魔に見つかってしまうとは...


 あとワンテンポ早く行動していれば、俺やアシュに会長が相談する前に息子さんを拉致できただろうに。


 まぁ、拉致したところですぐに奪還可能だから、あまり意味はないのかもしれないが。



 「わかった。色々とツッコミたい事はあるが、とりあえず今からそっちに向かうよ」


 本当はすぐにでも褒めてあげたかったが、やはりこの目で確認するまでは保留する事にした。


 だって、事を荒立てるなと言ったのにこの短時間で諸々済ませたという事は、荒立てた可能性が高いし。



 「どうしました?アシュロス殿から道に迷ったとでも連絡が?」


 会長、まだまだ認識が甘いようだな。


 「アシュが息子さんにちょっかいを出してた連中を一網打尽にしたって...」


 「え?」


 その場の空気というか、時間が止まった。


 「い、いや、アシュロス殿が去ってからまだ1時間も経過していませんよ!?」


 「説明は難しいんだけど、本当にそういう事ができる子なんですよ」


 唖然としている会長。


 「すぐにでも確認したいから俺も今から現場に行ってくるよ。とりあえず会長はここで待機しててくれ」


 会長自身も転移を体験したり目撃もしているのに、あまりの急展開にまだ頭が追いついていないようだ。


 てか、俺もちょっと面を食らったし。


 


 「じゃあ、ちょっと行ってくるわ」


 そしてアシュの魔気を辿って俺も現場に急行したのだった。

 


 


 


 

 




 

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