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異世界帰りの町おこし  作者: 残業200時間
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旨い話だけで終わるはずがない

等価交換の法則って破れないのかな...

 フランスからこんにちは。




 テュラム会長とはすぐに連絡がとれた。


 あの会議の後、これまでこちらから一方通行でしか繋げない通信リングの改良版を手渡しており、現在は互いに好きな時に連絡を取る事ができる。


 で、連絡をした翌日にはこうして会う事ができた。


 

 「申し訳ないね。急遽、押しかけちゃってさ」


 ここはヴォルテクス社本社の会長室。


 俺にとってはお馴染みの部屋だ。


 「いえいえ、ちょうど空いていましたから。それに前回はアポなしで突然目の前に現れたでしょ。それに比べれば全然マシですよ」


 それを言われると耳が痛いね。


 不法侵入ってただの犯罪だからね。


 まぁ、この話を気さくに話せるくらい、親しくなっているということで。


 「今回はお土産も持ってきたので、どうかご勘弁を」


 お土産は悪魔たちをも懐柔した例の地元の和菓子。


 個人的にはお茶でも紅茶でもコーヒーでも合うと思っている。


 試した事はないが案外、酒のツマミとしてもいけるかもしれない。


 「君がお土産とは興味深い。どれどれ...」


 

 早速、袋を開けてその場で口にしてくれたのだが、案の定大好評だった。


 「実に不思議な食感だね。だが、これがクセになりそうだ。それに甘さも丁度いい」


 「日本人は薄めの味付けを好むものだと思っていたが、これは中々パンチがあるね」


 そんなイメージ持たれてたんだ。


 確かに日本人からすると、海外のお菓子や料理って味が濃いイメージあるしね。


 欧州人がそういうイメージを日本人に持っていても不思議ではないか。


 「見た目もヒトデでような不思議な形だが、それも相まってインパクトがあって面白い」


 そういえば、なんでそんな形をしているのだろう?


 物心がついた頃から食べていたせいか、全く疑問を抱いていなかった。


 今度、調べてみるか。



 「帰ったらワインとも合わせてみるとしよう。ところで、今日はどういった用件かな?」


 お、ズバリ切り込んできたね。


 自分から切り出すのちょっと億劫だったから助かります。


 「実は例の日本支社の件なんだけど...」

 

 「引取りたいという話かな?」


 !!!!!!


 すごいな...


 まじで察してたよこの人...


 「話が早くて助かるよ。正確にはベルレティを日本支社の顧問、相談役として雇って頂きたい」


 「てっきり、支社長に就任させてほしいという依頼かと思っていましたよ」


 「それも考えたけど、それだと色々支障が出るんだよね」


 「それは確かにごもっとも。会議の時の言い振りですと、相当なタスクを彼女に委ねるという話でしたしね」


 「そういう事。こちらに都合のいい話で申し訳ないけど勿論、相談役としての仕事はしっかりこなすからさ」


 テュラム会長も概ね、納得したような表情だ。


 「わかりました。それならばこちらとしても構いませんよ。それに、既にあなたには大きな借りがある」


 「あの発掘した水源がこれからもたらす利益を鑑みれば、これくらいお安いご用ですよ」


 話がスムーズで助かる。


 普通はここから腹の探り合いというか、交換条件で少しでも自分が有利な展開に持っていきがちだからね。


 そういった意味では新たな水源のプレゼントは正解だったと言えよう。


 

 「ところで、報酬はどの程度をお望みかな?」


 おじいちゃん大好き。


 みんな、これくらい懐が大きければ不要な争いなんて起きないのになぁ...


 「とりあえずは、キリよく日本円で100万円。あと、別件でプラス100万円かな」


 「別件とは?」


 もう少し先の話かと思ったけど、せっかくの機会だからね。何度も報酬の話をしたくないし。


 「新たに秘書兼ボディーガードを雇わない?」


 一瞬、戸惑いを見せるテュラム会長。


 「もしかして、その人物とはベルレティ殿のことかな?」


 話の流れ的にそう推察しても不思議ではないか。


 「おしい。だが、あながち不正解でもないんだよね。ある意味、ベルに近い存在だから...」


 うん、頑張って表情は繕っているが明らかに戸惑っているね。


 きっと、察してしまったんだろう。


 「所謂、ベルレティ殿と同族といった方なのかな?」


 同族って...


 まぁ、当たってはいるんだけど...


 もしかしてベルの正体もあながちこの人は見当がついているのかもね。


 「ご明察通り。勿論、仕事の能力というか有能さは俺が保証する」


 まだ召喚して3日目だけど、派遣するのはもう少し先だし何とかなるだろう。


 「わざわざ、秘書をつけてくれるという事は、例のプロジェクトの件で大いに頼ってもいいという事かな?」


 切り替えが早くて助かります。


 「そうだね。ただそこはテュラム会長に任せるよ」


 「例のプロジェクトの他にも、あの会議で他にも立ち上げられそうな企画があったでしょ?」


 「他にも、社長が退任して本業のほうも相当多忙を極めると思うし」


 「俺としては、プロジェクトが円滑に進行できれば問題ない。だから新しい秘書の業務内容はそれさえ守ってもらえれば、自由にしてもらって構わない」


 「そこまで断言するという事は、相当自信があるようですね」


 「そうね、正直現時点でそちらの本業については無知だが、異常に物覚えがいいからね」


 「そこは遠慮なく、高い要求をしても構わない」


 普通は俺もこんなブラックな発言はしないのだが、何せ悪魔ですから。


 彼女らにとっては苦行どころか物足りなさを感じるかもしれないからね。


 それに、俺の配下に対してそこまで理不尽な要求はしないだろうという信頼もある。


 

 「わかりました。そういう事でしたらしっかりこき使わせてもらいますよ」


 「それに社長が退任した事で、少々私の周りも物騒でしたからね」

 

 ん?

 

 もしかして、元社長が復讐的な事を企てているのかな?


 流石に反省している様子だったはずだけど...



 すると会長が重々しく口を開き、意外な形で依頼を受けることになった...

 

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