悪魔への供物
計画性ってなんだろう
会議は思ったよりスムーズに進行した。
といっても大まかなプロジェクト内容と、それにあたり秘書として協力してほしいってだけの内容だけど。
何せ、まだこの世界について何も知らないわけだからね。
まずはベルの時のように、この世界について学んでもらわねば。
脳筋っぽい子や勉強が苦手そうな子がいるけど大丈夫だろうか?
「学習能力という面はおそらく問題ないですよ」
エスパーなのかな?
もはやベルさんは表情だけで俺の考えが読み取れるらしい。
「私たち上位悪魔は大体の事は瞬時に覚えられますから」
何それ?チート過ぎん?
ベルだけが特殊かと思っていたが、悪魔って狡い。
「勿論、個体差はありますよ」
ちゃっかりその中でも自分は優秀とアピってきた。
まぁ、それは否定しないけど。
「とりあえず、あの5人も数日中にはこの世界の常識を身につけられるって考えていいのかな?」
「そのように捉えてもらって問題ないかと。多少、個人差はあるでしょうが」
それで十分だ。
本来なら年単位がかかってもおかしくないしね。
「勿論、俺も協力するが大体の事はベルにお任せしてもいい?」
ぶっちゃけ、法律とか細かなハード面の話は俺も知識が乏しい。
最早、ベルのほうが詳しいくらいだ。
下手をすると日常生活の知識も俺より上かも...
「それは構いませんが、状況によっては多少手荒な躾をしても構いませんか?」
手荒?
まぁ、気性が荒い奴もいるしある程度は仕方ないか。
「構わないよ。但し、わかっているとは思うが周囲に影響が出ない範囲で頼むよ」
「勿論、しっかり結界は張っておきますよ」
え?そのレベルのお仕置きなの?
ちょっと不安になってきた...
だが、そんな心配しても仕方ないか。
俺は丸投げする立場だしね。
悪魔の事もそれ程詳しいわけではないから、ここは専門家にお任せするとしよう。
とりわけ、まずは住居の確保だな。
「せっかくだから、この絶壁の中を拡張して部屋を追加しようか」
ちょっと怪訝な表情を見せるベルさん。
「まぁ、ある程度それぞれの部屋は距離を取るし、結界も張るからさ」
「それにそれぞれの部屋を通路や扉で繋ぐわけではないし。各部屋に訪れる際は事前に連絡して自己召喚で移動って感じで」
「とりあえずはそれで構いませんよ。但し、プロジェクトの進行次第では新たな住居を所望します」
ちゃっかりしてるな。
実は結構、部屋の拘りとかあるから住居自体も拘りたいという事かな?
それにあくまで進捗次第という事だし、その頃には資金もある程度蓄えがあるはず。
最悪、場所さえ確保すれば魔法でなんとかなるしね。
ベルの要望通りに応えるのはちょっとしんどそうだけど...
とりえあえず、彼女らの住まいを急ぎ作らなくては。
そうなるとまた、庶民の味方「イトリ」さんにお世話にならなくては。
てか、懐事情がマジで厳しい。
情けない限りだが、協力者たちに報酬の引き上げを要請しないとマズイかも。
あとは、例の計画を少々前倒しにしないといけないな。
テュラム会長には悪いが、多分あの人ならある程度想定しているだろうし、どうせ遅かれ早かれの案件だ。
それに他の協力者も優秀な秘書をつけるというなら、報酬の引き上げも納得してくれるだろう。
勿論、法外な金額は要求しないし、むしろ予定通り彼女らがこちらの世界の知識を得たのならば、金額以上の働きをしてくれるはず。
ある意味、悪魔への供物のようなものだね。
その割にはだいぶ格安というか破格と言っていいほど安い供物だけど。
本来、金で悪魔から協力を得られるなんて不可能だからね。
ちなみに、彼女らには秘書兼護衛も務めてもらうつもりだ。
おそらく命を狙われる心配はないだろうが、念の為に。
実際、彼らはそれなりの身分なわけだし。
彼女らが護衛についたならば、拳銃どころか核兵器が降り注いでも生き延びられる。
異世界最強クラスの存在が、社員クラスの金額で護衛どころか秘書までこなしてくれるのだからむしろ贅沢というもの。
まぁ、常にそんな存在が横にいるなら逆に心中穏やかではいられないかもしれないが。
そこは彼らの胆力を信じたい。
さて、ちとしんどいが今から彼女らの部屋を作るとするか。
そして、明日はイトリで買い物した後に、回転寿司にでも連れて行ってみるとしよう。




