悪魔だからって、容赦ないわけじゃないんだからね!
反省して次に改善できていれば良し。できていなければ、割り切って諦めるも良し。みたいな事を某芸人さんが言ってたような...
全員死にかけている。
急いで「宵闇の晩餐」を解除し、「得体の知れないモノ」が回収した魂を彼女らに返還した。
すると、半透明になっていた肉体に生気が帯びていくのが確認できた。
とりあえず、これで命の心配はないだろう。
まぁ、精神的にはどうなるかわからないが...
「流石にやり過ぎましたね。本気で彼女らを消滅させるつもりなのかと思いましたよ」
「いやいや、突然召喚しておいてその場で消滅させるなんて鬼畜過ぎるでしょ」
「鬼畜なのかと思いましたけどね。実際、あと数秒遅れていれば完全消滅されていたでしょうし」
ベルさんは中々、辛辣だ。
とはいえ、自分でも流石にやり過ぎた感はある。
本当はもっと穏便に済ませようと考えていたのだが、予想以上に彼女らの力が強大であった。
神代級だろうが、ベル程ではないと見越していたので、完全に俺の油断が招いた結果だ。
実際、彼女らの全ての力を確認したわけではないが俺の見立てでは全員、ベルに一歩及ばない程度の実力の持ち主であると思われる。
「彼女らを侮り過ぎましたね」
てか、ベルさんも自分には遠く及ばないとか、散々言ってたじゃん。
完全にそれを前提に動いてしまったよ。
「自分だって見栄を張ったじゃないか」
「そんな事はありませんよ。まぁ、強いて言えば私が知っている彼女たちよりも少々強くなっていたのは事実ですが」
往生際が悪いというか、負けず嫌いだなぁ...
「てか、最後にあいつらの力を確認したのっていつ?」
「数百年前でしょうか?あまり覚えていませんね」
いい加減だなぁ...
まぁ、そこの確認を怠った俺も大概だが...
それよりもちょっと気になる事がある。
「数百年前より強くなってるって事はさ、神代級でもまだ成長するの?」
するとベルがあっさりとした表情で...
「私たち悪魔に天井なんてありませんよ。現に、私もこちらにきて早々、自己召喚を進化させたじゃないですか」
そういえばそうだ...
晩年、戦闘する機会が減って気づかなかったが、異世界でベルの成長を俺は間近で見てきた。
何せ、魔法を教えろと言われて教えれば大概、その場ですぐに習得してみせた。
勿論、習得不可のものもあったけど。
だが、宮廷魔術師が数十年かけて習得するレベルの魔法をこいつは一瞬で習得していた。
つまり、彼女らもそういう類の人種というか、悪魔である可能性が高い。
「私たち悪魔は興味がある事にはとことん、関心が高いですが、そうでない事にはとことん関心がありません」
「そして私が知っている頃の彼女らは既に戦闘に飽きている節がありました。にも関わらず、ここまで戦闘力が上がっているという事は、この数百年の間に彼女らが戦闘に再び興味を持ったか、又は戦闘を繰り返してきたという事かと」
「物騒な話だね。興味はあるけど、正直何があったかは聞きたくないな」
なんか、面倒な話になりそうだし。
触らぬ神に祟りなしだ。
そんな事を話している間に、ようやく意識を取り戻したようだ。
思ったより回復が早い。
流石は神代級といったところか。
「あんたの実力はよくわかったよ。悪魔よりも悪魔らしいな」
失礼な。
もう少し教育してやろうか?
「ホントそう。悪魔に恐怖を与えるって発想自体があり得ない」
末っ子悪魔が不貞腐れた表情でぶつくさ文句を言っている
実に可愛らしいが、俺は騙されないぞ。
その言い振りからして、俺の意図に気づいてるっぽいしね。
「私も流石に驚きましたわ。ある意味、貴重な体験でしたけど二度とごめんですわ」
身に沁みてくれて何より。
本当はこんな脳筋プレイはしたくないしね。
「実に興味深い魔法だったね。長年生きているがあんなもの見た事も聞いた事もない。今度、あの魔法の原理とか出自を教えてよ」
絶対に教えない!!
おそらく習得不可能の類だとは思うが、万が一という事もある。ましてや、習得して俺に向けられでもしたらシャレにならない...
「なかなか過激だったけど、第一印象よりだいぶ印象が良くなったわよ♪私たちに協力を願うならこれくらいの実力がないとね♪」
こんな状況でも相変わらず妖艶な表情で余裕たっぷり。
さっきまで死にかけていたくせに。
だが、思いの外元気そうで何より。
流石に精神的ダメージがある程度残る事も覚悟していたが、その心配は不要だったようだ。
やはり神代級とあって、実に逞しい。
「ちょっとやり過ぎてしまったが、これで俺の実力は理解してくれたと思う。」
「で、ここからは話の続きをしたいんだけど、いいかな?ちなみにまだ不服があるなら話は聞くけど...」
全力で首を横に振る5人。
どうやら、ようやくまともな話ができそうだ。
こんな海上で話すのもアレだし、この間使用した会議室で話の続きをしよう。
流石にこれ以上、暴れるとは思えないし。
もし、あそこで暴れた時は流石にキレるかもしれん。
記念すべき始まりの場所でもあるしね。
ふとベルに視線を向けると、既に察していると言わんばかりに頷いてくれた。
彼女らもここまでとは言わないが、ある程度気遣いができる人材だと嬉しいんだけどなぁ...
その為にも、まずはしっかりと友好関係を築かないとね。
「ところで君たち、お菓子は好きかな?」
先程頷いてくれたベルさんが、呆れた表情を俺に向けていた...




