禁忌犯しました
第一印象って本当に大事
絶界x10&ソロモンの審判発動。
絶界は俺が使える結界術の最高クラスの魔法だ。
そしてソロモンの審判は悪魔の能力を著しく低下させる魔法陣。ベルを初めて召喚した際に予め仕掛けておいた魔法でもある。
魔法陣も仕掛けているし、絶界も本来なら1枚で事足りるかと思ったが、何せ神代級の悪魔を5人召喚するので念の為に10枚重ねにしておいた。
ベルも流石にやりすぎではと言わんばかりの表情で見つめている。
ちなみにここは拠点の近くの海の上。
絶界は周囲10kmを囲んでおり、地表が抉れる可能性を考慮した上での配慮だ。
「さて、そろそろ召喚しようか」
「神代悪魔召喚発動」
ソロモンの審判の魔法陣の下に、悪魔召喚の魔法陣を発動させる。
そして同時に神経を研ぎ澄ませると、複数の異常に禍々しい魂が俺の呼びかけに反応した。
数は5つ。
おそらくベルが教えてくれた5人の魂で間違いない。
てか、物凄い勢いでこちらに向かってくる...
ベルの時はもっと優雅な感じだったが...
5人同時だからだろうか?何やら競い合っているような...
まぁ、やる気があるようで結構。
「悪魔たちよ、俺の前に顕現せよ!!」
こんなセリフは必要ないが、なんとなく雰囲気で。
35歳でもまだまだ厨二病なのでご勘弁を。
そして5人の悪魔が先程とは打って変わって、ゆっくりとその姿を現す。
どうやら襲いかかってくる気配はないようだ。
そして目を見開き驚きを隠せないベル。
「5人同時に召喚!?何を考えてるんですか!!」
どうやらベルは1人ずつ召喚すると思っていたようだ。
そんな事したら、なんかカッコ悪いじゃん...
1人ずつ召喚する姿を彼女らに毎回見られるわけでしょ?
で、1人ずつ交渉する様子も見られるって、悪い意味でシュールな光景になりそうだし。
ましてや主人たる者、まとめて召喚して威厳も示しておきたいし。
そんな事を思っている間に結界が軽く震えている。
ソロモンの魔法陣で相当、彼女らに制限がかかっているはずなのだが、その禍々しいオーラだけで結界に異変をもたらしている。
だが、彼女らも互いに顔を合わせて少々困惑した様子だ。
早いところ場を収束させなくては。
「よく召喚に応じてくれたね。君たちを召喚したのは俺だ。名前は蔵田好喜。よろしくね」
ポカーンとした表情で5人の美女悪魔が俺を見つめる。
「ほら、そっちも自己紹介を頼むよ」
すると1人の悪魔が俺の呼びかけに応えてくれた。
「いや、勝手に話を進めるよ。なんで、5人も同時に神代級が召喚されてるワケ?」
第一声を挙げたのは艶やかなブラウンのポニーテールで、ジャケット、パンツスタイルの端正な顔の持ち主。
ベルの事前情報からして、こいつが「レヴィモス」だな。
5人の中でも特に好戦的で、足踏み一つで大陸全体を揺るがせる物騒な奴。
「こんな事は初めてですね。見た感じ人間のようですが、本当に人間なんですの?」
次に声を発したのが青髪のミディアムヘアーで黒のシンプルなワンピースを着た気だるげな美女。
こいつが「アラスリュケ」
見た目に反して物騒な思考の持ち主で、召喚主の王女を操って一国の男全員を根絶やしにした過去があるサイコな奴。
「人間かどうかなんてどうでもいいよ。召喚されたのは事実だし。てか、なんでベルレティがそっちにいるの?」
いかにも能天気そうだが、意外と合理的な性格の持ち主で銀髪のロングヘアーで白のコートに包まれた美女。
こいつが「ベルゼル」。
かつて疫病を撒き散らして、後は放置してじわじわと年月をかけて一国を滅ぼしたヤバい奴。
「私たちを召喚したのだからどんな老人賢者かと思いきや、意外と可愛い男の子じゃない」
いや、割と童顔ではあるが35歳のおっさんを男の子って...
真紅のショートヘアーに真っ赤なドレス。やたらと妖艶な目。間違いなくこいつは「リリエル」だ。
大陸全土の男を誑かし、ハーレムを築いて全世界の女性を敵に回した「逆ハーレム王」。
結果的にその時代の出生率を著しく低下させ、幾つもの国を滅ぼしたどうしようもない奴。
「自己紹介なんていいから、さっさと要件を言ってくれない?」
漆黒のロングのストレートヘアーで黒のドレスを纏い、どこかあどけなさが残る美少女。
こいつは「アシュロス」。
末っ子気質で狡賢く、割と短気。召喚された瞬間に一国を滅ぼした事がある超ワガママな奴。
ん〜取り敢えず襲ってくる様子がないのは助かるが、全員好き勝手発言しているな。
まぁ、事前にベルから全員の情報は聞いていたし、各々顔見知りだから自己紹介なんて必要ないのかもしれないが、なんという協調性のなさ。
5人同時に召喚したほうが色々と手っ取り早いと思ったのだが、逆効果だったのだろうか?
それに何やらなめられている気がする。
5人も神代級が揃っているから、なんとでもなると思ってるのかも...
それに、悪魔は割と合理的だからアシュロスの言うようにさっさと要件を伝えたほうがいいのかな?
「とりあえず、自己紹介はもういいや。聞いても無駄っぽいし」
するとピリついた雰囲気が辺りに漂う。
「じゃあ、先に要件を伝えるけど、町おこしするから手伝ってくんない?」
[[[[[はぁ?]]]]]
5人全員が揃って返事をしてくれた。
同じ返事でも怒りや呆れなど感情がそれぞれ違うが、ようやくこちらの質問に返事をしてくれて何より。
実は俺も大量の魔気を消費し、そこそこ空腹感のようなものに襲われ少々苛立っている。
結界や魔法陣も準備したしね。
それなりにリスクも負って召喚したのにこの有様。
悪魔って上下関係に煩いんじゃなかったの?
あ、俺の事を上と認識してないからこんなとっ散らかった状況になっているのか。
とはいえ、5人同時に召喚された以上、下とも断定できずにいると。
しかも俺の横にはベルもいるしね。
そんな事を思考している間に、末っ子気質の美少女が話しかけてきた。
「あのさ、そんな事の為に召喚したの?アタシ達を誰だと思ってるの?」
あぁ、完全に喧嘩腰ですわ。
俺のアプローチが雑過ぎたのかな?
でも、要件を伝えろと言ったのはこのワガママ悪魔だし。
ベルに目を向けると、もう好きにしてくれと言わんばかりの表情でこちらを見ている。
なら、好き勝手させてもらおうじゃないか。
「誰って、ただの悪魔だろ?」
瞬く間に禍々しい魔気が空間内を埋め尽くし、結界が1枚破壊される。
うん、末っ子悪魔だけでなく、全員から魔気が発せられてるね。
こちらとしては、こういう時だけ協調性が高いのも微妙に腹が立つ。
全員、臨戦態勢が整ったわけだ。
「オレ達を召喚できたのもベルレティが手を貸したからだろ。自分の力と過信して調子に乗らないほうが身の為だぞ?」
ポニーデールが先頭に立ち忠告してきた。
「ベルは見学させるから心配要らないよ。なんなら君らの力を制限している魔法陣も解除してあげようか?」
そう言い放った途端、俺は躊躇う事なく魔法陣を解除する。
すると、聞こえるはずのない「ブチっ」という効果音がハッキリ聞こえるのであった。




