悪いお話
協力者にも聞かせられない話
呼ぶしかないよね悪魔♪
いやー、今の俺とベルにアテがある人材って悪魔しかいないんだよね。
本当は異世界の仲間に協力を要請したいけど、彼らを現代に召喚する事ができない。
そもそも、彼らにもあちらでの生活があるから召喚可能でもそれに応じてくれるとは限らないしね。
一方で、なぜか悪魔は召喚が可能。
なぜ召喚できるかは未だに謎だが、ベルの召喚には成功したし奴らの世界は時間軸とか次元とかとは関係ない立ち位置なのかもしれない。
もしかすると現代に残っている、悪魔に関する書物や情報は過去に誰かが召喚したからなのかも。
それに未だにエクソシストという存在もいるわけだし。
流石に現代で悪魔召喚に成功している奴がいるとは考えにくいが、そういう意味では警戒は必要かもね。
但し、現代で悪魔を従えたという事実は俺が知る限り確認できていない。
まぁ、仮にできていたとしてもその情報が表に出る可能性は低いんだろうけど。
「実際に人間社会で支障なく活動できる悪魔っているの?」
拠点で優雅にコーヒーを啜る伝説級の悪魔に問いかける。
「見込みがある者は存在しますが、実際に支障なく活動できるかは正直、賭けですね」
やっぱりそうなんだ...
そもそもベルみたいに人間社会に馴染める存在って稀らしい。
むしろ、まだ賭けになる程度には可能性がある事が判明したのは僥倖と言えるだろう。
「召喚したら戦闘になると思う?」
「間違いなくそうなります」
うわっ...なんて嬉しくない断言。
ベルの時もそうだったけど、悪魔ってなんでこう、血気盛んなんだろう...
「それって悪魔にとって常識なの?」
「常識といえば常識ですね。人間界に顕現できる千載一遇のチャンスですから。しかも上位の存在である程その思想が顕著です。」
「なんで?」
「奴らはそれだけ自分の力に自信があるからです。逆に下位の者程、慎重になる傾向があります。悪魔を召喚する人間ともなれば、それなりに力を持っている者が大半ですからね。まずは大人しく従うフリをして、隙あらば寝首を刈るという手法が浸透しています」
意外だなぁ...
むしろ上位のほうが慎重で下位が脳筋タイプかと思ってた。
実際にベルには召喚直後に襲われたし、その常識は間違いなさそうだね。
すると何かを察したのか、ベルの冷たい視線が突き刺さる。
「何も上位存在が考えなしに襲いかかるというわけではありませんよ」
そうなの?
「中には召喚直後に、こちらの動きを制限するような仕掛けを施す者たちがいます。そもそも私のような上位の悪魔を召喚するなど、それだけで歴史的な大事件です。だからこそ、召喚できる者は限られているし、こちらもそれなりに警戒をしているわけです」
なるほどね。だから襲われたのか。
「まさか召喚されたと同時に罠にかかるとは思いませんでしたがね」
またしても冷ややかな視線がこちらに送られる。
「いや、むしろそれが当然じゃないの?自分を遥かに上回る存在が顕現するかもしれないのに、召喚直後に魔法を発動させるとか、悠長が過ぎるでしょ」
すると今度はやれやれ、という表情で呆れられてしまう。
「本来であればそんな事は不可能なんですよ。そんな魔法はそれまで確認されていませんでしたから」
そういえば、俺もあたふたしていたからよく覚えていないが、召喚直後のベルは妙に動揺していたかも。
「あの魔法はヨシのオリジナルですか?」
「だね。普通に召喚しようと思ったけど直前で、もしかしたらと思って急遽あり合わせの知識で構築した気がする」
「まさか殆ど準備期間もない即席の魔法で力を封じられるとは...なんか腹が立ってきました」
禍々しいオーラ出すのやめて...
できちゃったんだからしょうがないじゃん。
「まぁ、私もまだまだ未熟だったという事です。実際、召喚さえされればどうにでもなると思っていましたし」
だよね。
動揺していた割には躊躇なく襲われたし。
「逆に言えば、召喚自体は問題ないと思います。あの時と同じ魔法を使えばヨシに害が及ぶ事はないでしょ」
随分、自信満々に言うね。
「本当に大丈夫?」
「私以上の者は存在しません」
やっぱり気にしていたのね。
だが、そこまで言うなら問題ないのだろう。それに今回は俺だけではなく、ベルもいるしね。
俺自身も当時より魔気の量も使用できる魔法の種類も増えている。
こちらの意向にそぐなわない存在ならば、その場で元の世界に送り返せば済む話だし。
「一人一人召喚するのも面倒だし、まとめて召喚しても大丈夫だよね?」
すると、先程以上に伝説級の悪魔が呆れた表情を見せるのであった。




