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異世界帰りの町おこし  作者: 残業200時間
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想定外

報連相はやっぱり大事

 交渉の場に向かう為、青○でスーツを購入した。



 

 本来なら寸法を合わせる為に裾直し等が必要だったが、時間がなかったので陳列されていた商品をそのまま購入。


 そしてベルが俺の体型に合わせてあっという間に、手直ししてくれた。


 勿論、魔法で。


 彼女曰く、素材さえあれば自由自在に形状変化が可能との事。


 だったらもっと安上がりにもと思ったが、逆に素材だけを探す時間もなかったので仕方ない。


 

 「この世界では安価な部類と話していましたが、こちらの素材も素晴らしいですね」


 確かにその様な説明はしたが、内心では2万円の出費も現状はなかなかに厳しい。


 今は無収入でないだけ、まだマシなほうだが今後も出費がそれなりに嵩みそうだしね...


 ちなみに別途でドレスシューズとシャツ、ネクタイ、靴下、ハンカチも新調したのでトータルで4万円の出費となった。


 サラリーマン時代に使用していたこれらは、会社を辞めるのと同時に処分してしまったので、結局全身丸々買い直す事になってしまったのだ。


 数年前の俺、どんだけ病んでたんだよ...



 で、今は交渉に向かう直前で例の拠点に転移してきたところなのだが、コーヒーを優雅に啜るベルさんから衝撃の事実が告げられる。


 

 「間も無く交渉が終了するので、もう少々お待ちください。あ、これあなたの分です」


 何もない空間からコーヒーカップが顕れ、香ばしい匂いが漂っている。


 

 って、それよりも間も無く終了って!


 しかも、交渉しているはずの本人がなんでここにいるんだよ...


 まぁ、警戒しているというのは理解しているけどさ...


 にしても、交渉している様子を間近で見学すると思っていたから、拍子抜けだ。


 

 「早く飲まないと冷めてしまいますよ。それにあと1分後にはあちらへ移動しますし」


 いくらなんでも急展開すぎるだろ!


 確かに、最後は俺が立ち会うとは話してたけどさ、普通見学込みだと思うじゃん。


 直前の話を全く聞かずに、最後だけ登場ってどこのお偉いさんだよ!


 サラリーマン時代にそういう役割をこなす上司もいたけどさ。


 心の準備が全くできてないわ!



 「別に心配しなくとも大丈夫ですよ。いつも通り軽い挨拶と横で相槌を打つ程度で大丈夫ですから」


 ホントに?


 いや、確かにあちらの世界でもそれだけで大体事足りてたような...


 俺って本当にベルに丸投げしっ放しだったんだなぁ。


 最初の頃はけっこう自分で頑張ってた様な気がするんだけど、ベルと行動を共にしてからは色々と堕落し始めてたかも...


 

 内心ちょっと落ち着かないので、とりあえず淹れたてと思われるコーヒーを一口啜る。


 あぁ...落ち着く...


 そういえば、異世界でもこんな一連のやり取りしてたっけ。


 


 「さて、交渉がまとまりました。移動しますよ」


 うん、こんな節操ないやり取りをしてた、してた。


 異世界でもここまでセットで何回かあたふたしてたわ。



 そしてベルと共にシアトルにあるスカイネット社の本社へ転移する。


 

 「ワォ...!本当に一瞬で現れた!」


 目の前の紳士が若干、テンション高めでリアクションしてくれた。


 

 「初めまして、エイブラハム・ジョンソン会長。ベルレティの雇い主のヨシキ・クラタです」


 「あらためまして、スカイネット社会長のエイブラハム・ジョンソンです。失礼ながら、これ程優秀な方の上司と聞いていたので、私と近い年齢の方を予想していたのですが、想定よりもずっとお若い方で驚いていますよ」


 とりあえずニコニコしながら握手を交わす。


 これ程優秀な方?


 まぁ、確かにベルは優秀だけど、現代社会で世界の5本指に数えられるような会長がそこまで言うとは...


 一体、どんな交渉をしたんだよ...


 後でしっかりここまでの経緯を問い質さなくては。


 

 ちなみに、ベルはこの世界でも本名を名乗っている。


 異世界人の様な存在を警戒しつつも、もしこの名前に釣られる人物が現れたならば、即座に交渉するか始末しようと考えているらしい。


 俺と違って、即座にに手を打つあたり実にベルらしいというか、悪魔らしいというか...


 

 「えぇ、非常に優秀な部下で私も刺激を受ける事が多いですよ」


 何様だよって発言だが、この場ではこれが正しい。


 ベルの立場が俺の部下である事を明確にしつつ、彼女の優秀さを際立たせなくてはならない。


 これも異世界で行っていた、お決まりのやり取りだ。



 「私も刺激を受けている1人ですよ。彼女の手腕もですが、あなた方のような存在がこの世に存在するなんてつい先程までは想定すらしていませんでした。」


 「あなた方の日常を密着取材するだけで、歴史をひっくり返すような映画が作れてしまいそうですよ」



 そうかもね。


 仮にそんなオファーがきても絶対に断るけど。



 「余談はこの辺にして、そろそろ本題に移りましょうか」


 スカイネット社の会長に対し、凄まじいカットインだな。



 「そうでしたね。お話は彼女からお伺い致しましたが、非常に驚愕する事ばかりでした」


 だから、何を話したんだよ...


 「ぜひ、我が社としても、個人としても全面的に協力をさせて頂きたい」


 本当にトントン拍子過ぎるんだが...


 なんでスカイネット社の会長がこんなに乗り気なんだよ...



 

 「ありがとうございます。私のプロジェクトには御社の協力が絶対不可欠でしたので」


 「まだお会いして間もないですし、これからより良い関係を築いていきましょう」


 そして先程よりも強めの握手を再び交わす。

 

 


 丸投げはしたけど、本当にこれでいいのか俺...


 まぁ、異世界ではこれが当たり前だったけど、現代だと妙に違和感があるなぁ...


 

 「あなたのプロジェクト、楽しみにしてますよ。私も早く大型ドローンでの配達や専用の飛行場の開発に取り組みたいですから」


 ん?


 一体、なんの話だ?


 ドローンはなんとなくわかるが、専用の飛行場?


 なんか話が大きくなり過ぎてませんか!?



 「え、えぇ、プロジェクトの実現の為に互いに最善を尽くしましょう」



 


 そしてふと視線を横に移すと、そこにはドヤ顔で微笑む悪魔が存在していた。


 



 


 

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