表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りの町おこし  作者: 残業200時間
22/96

悪魔とショッピング

お買い物は計画的に

 庶民の味方、「イトリ」に参上。


 


 もちろん横にはベルもいる。


 服装はコンビニでファッション雑誌を購入してそれらしい服装に合わせてもらった。


 召喚時にドレスを着ていたが、当然のように服を変化させる事が可能なのだ。


 にもかかわらず、結局はデニムと黒のパーカーに落ち着いたので、雑誌購入代を返してほしい。


 どうやら、俺の服装を参考にしたらしいが、服装が色違いなだけでペアルックぽいので地味に恥ずかしい。


 ちなみに、今回訪れた店舗は地元ではなくお隣の県の店舗。


 万が一にも知人に目撃されるとややこしいからね。


 

 なにせ、同じ服装なのにベルは異様に目立つ。


 美しい艶やかな黒髪にモデル顔負けの美脚とスタイル。


 念の為にキャップとマスクを装着させているが、それでも目立つ。


 芸能人かよ。


 

 本当は隠密スキルを使用して、会話はテレパシーみたいに声を出さずに脳内で行うつもりだったのだが拒否された。


 「今後、表舞台で仕事をするのだから慣れないとダメでしょ?」とのこと。


 確かにごもっとも。


 変に慎重になりすぎた。


 とはいえ、控えめに言ってもこの悪魔は美女だ。


 異世界でも当初は周囲のざわめきに慣れたなかった。


 だが最終的には雑音も気にならなくなったので、現代でも大丈夫かと思ったがそうでもなかった。


 同じ状況のはずなのに何故だろうか?


 まぁ、そのうち慣れるだろうけど。



 

 そんな経緯がありつつも、ようやく入店にまで辿り着いたのだがベルの様子がおかしい。


 そわそわしているというか、しきりに久保○英ばりに首を振っている。



 「どうした?」


 「視線や雑音が気になる?」


 するとベルは明確に首を横に振る。


 「違います。そんなものは散々経験しているので慣れています。ただ...」


 「ただ?」


 「なんですかこの明るさは!?それに視界に収まらない程の商品の数々!この広さ!」


 

 あぁ...そういう事。


 確かに異世界には照明なんてないし、どこの店舗に入ってもここまで品数は多くない。スペースもコンビニと同じくらいかそれ以下の店舗が殆どだったし。


 やはり連れてきて正解だったな。慣れは大事。


 

 「まぁまぁ、落ち着きなさいベルさんや」


 「これがこの世界では通常の店舗なんだよ」


 「明るいのは照明という器具を使用していて、魔気ではなく電気というエネルギーで稼働している。品数が多いのはそれだけ利用者が多く、値段もお手頃でこの世界の生活では必要な物が多いから。広いのはそれだけこの会社が経営に成功しているからだね」


 ざっくりとした説明にはなるが、あながち間違ってはいないはず。


 

 「どうやらあちらの世界とは色々と規模が異なるようですね」


 「電気というものも気になりますが、この食器類はどうなっているのですか」


 ん?...あぁそういう事ね。


 「どれも洗練されており、光沢感があって軽い。なぜこのような上物が大量に並べられているのですか!?」


 「こんなもの、貴族御用達の高級店でも見た事がない!」


 実は素材的には異世界のものも現代では相当な価値があるのだが、現代の食器より重いし割れやすいし品数も豊富ではないからね。驚くのも無理はない。


 「これがこの世界の庶民が日常的に使用している食器だよ」


 「あちらの世界と違って、機械で大量生産しているから数も多いし精工な造りになってる。素材もこの世界ではありふれているものを使用しているから、上物というわけではないんだよ」


 一瞬、疑いの眼差しを向けられたが、値段を見て納得はしてくれたようだ。


 金額というか、こちらの貨幣や通貨、一般人の月収や年収については事前に教えていたからね。



 「聞いていたとはいえ、目を疑いましたよ。こんな精巧な品、あちらでは貴族ですら所持していませんから」


 

 あの人たちが使用している食器だって、価値としては相当高価な物なんだけどね。


 但し、現代の一般的な食器よりも使い勝手が悪いのは確かだ。


 無駄に装飾が施してあったり、見栄えばかり気にした商品が多いからね。


 重いし、携帯には不向きだし洗うだけでもちょっと緊張する。



 「それをこんな安価な値段で購入できるなんて...正直、この世界を舐めてました」


 悪魔にそこまで言わせるとは、現代文明恐るべし!


 なんだか誇らしいね。


 

 「けど、購入は程々にね。一応、今回のお目当ては照明と寝具類だし」


 実は遂に富田会長から報酬が支払われた。


 本当は取り決めした通常の額を振り込んでもらうはずだったのだが、今回の件もあり初回は手取りで100万円程と事前に交渉したのだ。


 あれだけ啖呵を切った手前、恥ずかしい。


 だが、家具だけではなく二人分というか、ベルにかかる経費を考慮すると100万でも足りなくなるのではないかと不安が過ったのだ。


 なので、この悪魔の機嫌を損ねるくらいなら、一時の恥を受け入れたほうがマシと判断した。


 

 だがそんな事はつゆ知らず、カゴの中には次々と食器や料理器具がぶち込まれていく。


 これ以上は危険と判断し、寝具コーナーへベルを連れていく。


 そして周囲の目が向いていないのを確認してから、ベッドにダイブする悪魔。


 

 「何ですか、このフカフカのベッドは!?それに羽のような心地が良いこの布団!」


 そのリアクションは予想してたけど、ちゃんと周囲の目を確認してダイブしたのは何より。


 「こんな上物まで大量生産しているのですか!?」


 そうですよ。イトリさんではこれがどの店舗でも陳列されてます。


 

 

 「どうやら私はとんでもない世界に召喚されたようですね」


 その言葉とは裏腹に目がキラキラしてる。


 かなりお気に召してくれたようだ。


 そんなに喜んでくれるなら、ぜひプレゼントしようじゃないか!

 

 

 だが、ベッドの値段を見て軽くフリーズする。



 じゅ、10万...!?


 ダブルサイズだし、跳ね上げ式で収納スペースがあり、照明、コンセント、小物が置けるヘッドボードも備えられた優れ物だが、先の事を考えるとこの出費は...


 ちなみに俺自身の寝床は数千円のスノコ板の上に1万円のマットレスといった、正に金のない独身男の典型。


 だが今回のメインはベッド。


 今後のベルの働きを考慮すれば安い物だろう。


 主人として情けない姿は見せられない。



 「よし、このベッドに備えられている物一式購入しよう」


 ちなみに、10万というのはベッドフレームだけの金額だ。


 この他にマットレス、布団、毛布、シーツ、枕、各種カバー類も上乗せされる。


 

 「本当にいいのですか?一般人の月収を超えそうな金額ですが...」


 まさか悪魔に遠慮されるとは。


 異世界ではショッピングになると遠慮なく購入を迫られたものだが、状況を鑑みた上でおねだりされていたようだ。


 確かにあちらの世界では貴族も顔負けの収入があったしね。


 現在はようやく収入源を確保したとはいえ、まだクソニートのままだが...


 

 だが、現代でも主人の威厳を示さなくては。


 

 「気にする事はないよ。ベルにもこれから働いてもらうし、あちらの世界での借りもまだまだ残ってるしね」


 「気にする事なく、ショッピングを楽しもうじゃないか!」



 

 そして俺は2時間後、後悔する事になる。


 この日の会計が50万を超えたのだから... 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ