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異世界帰りの町おこし  作者: 残業200時間
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アメリカに浮かれるな!

アメリカって、雰囲気のゴリ押しが強いと感じるのは気のせい?

 やって参りましたアメリカ、サンフランシスコ。


 

 これまでフランス、サウジアラビアなどに訪れたが、ここもまた日本人からすると独特の雰囲気がある街並みだ。


 非常に抽象的だが、ザ・海外って感じ。


 やはり日本とアメリカの関係性や、日常的にTVで流される海外のロケ番組がアメリカ撮影が多いせいか、来たことがないのに、これぞ海外っていう妙な説得力を感じる。


 あとは映画とかの影響だろうか?


 街並みから妙な迫力も感じるのだけれど、不思議とこれぞアメリカ!と妙に納得してしまう自分がいる。


 かつて社員旅行でハワイに行ったことがあったが、それとはまた別物だ。


 あそこはもっと開放感があり、生活感がまるで感じられないザ・観光地って感じだったし。


 若い頃はちゃんと社会人してたんだなぁと思い出すが、同時にその旅行で素っ裸にされて裸踊りをさせられた記憶も思い出してしまった。


 その場にいる連中は昼間から酒を呑んで、全員酔っていたが俺は足りなくなった酒の買い出しに駆り出されたり雑用もこなしていたので、完全なシラフだった。


 今思うと、その場で最も奔走していた人物にその様な仕打ちをするとは中々の鬼畜である。


 ブラック企業許すまじ。


  

 


 さて、異世界から帰還してせっかく海外に来たにも関わらず、金がないせいでここまで現地では何も購入していない。


 まぁ、不法入国だし観光はそれなりに楽しんだけど。


 やはり、現地の名物を食し、何か形に残る物を購入したいという意欲は絶え間なくあった。


 もし異世界帰りでちょっとヤバめの奴なら、とっくに窃盗に走っていたも不思議ではない。


 うん、俺偉い。


 思わず、不要なスキルを何度も発動したい衝動に襲われたしね。


 異世界でもその辺の自制心はしっかりと維持していたし、それが現在も役立っているようだ。


 どんな世界でも倫理観の尊重は大事だね。


 それさえ守っていれば犯罪なんて大幅に減少するのだけれど、現代だろうが異世界だろうが所詮は環境次第で人はどうにでも変化し対応する。


 環境適応能力が高い点が人間の強みだけれど、良くも悪くもだ。



 さて、話は戻すが遂にアメリカ本土へ上陸!


 ここでのお目当ての人物は2人。


 まずはサンフランシスコに本社がある、とある人物に目をつけたわけだが、今回の相手は骨が折れそうだ。


 経営者としてもやり手だが、これまで交渉した人物よりもある種、タレント色が強い一面がある。


 王子もある意味そういった要素がある人物だったが、自身の存在を積極的にアピールするタイプでなかった点は今回のお目当ての人物とは大きく異なる。


 お目当ての人物は自らを商品というか、マスコットとして積極的に利用している節がある。


 それ自体は悪くないのだが、こちらが秘匿しておきたい内容をベラベラ喋ったり、SNSで発信しないか不安でもある。


 今回の尾行と観察はこれまで以上に要注意だ。


 さて、早速本人の居場所を探し当てないといけないわけだが、今回はその作業が非常に楽だ。


 てか、既に発見している。


 ここまでスムーズなのは富田会長以来だ。


 なんせ、イベントの参加を自ら告知していたからね。


 後は尾行して追跡スキルでマーキングすれば問題なし。



 今はお目当ての人物の演説を見聞きしているわけだが、ザ・アメリカ人って感じ。


 感情の抑揚が凄いな。


 興奮気味に話していたかたと思えば、急に声のトーンを落として冷静に説明し始めるし、かと思えばまた情熱的に訴えるかの様な口調で話し出す。


 まるで役者ですね。


 富田会長の演説も聞きやすかったが、それとは全くベクトルが違う。


 こちらはインパクトが強く内容を伝えるのが上手いが、同時にその人物の情報もガンガン押し付けられるような感じだ。


 聴衆のモチベーションを意図的に高めている印象。


 多分、熱狂的なファンというか信者も多いんだろうなぁ。


 先程は役者と言ったが、アメリカだけにエンターテイナーと称したほうがしっくりくる。


 個人的は騒がしいのはそれ程好きではないが、ここまで振り切ってくるとある意味興味を惹かれる。


 俺には欠如している能力だからね。


 もしくは日本人の価値観と大きく異なるから逆に惹かれるのかも。



 いずれにしても、そういった能力は貴重だ。



 SNSの登場で誰でも気軽に情報を世界中に発信できる様になったが、いざ人前に立ち、必要な情報を的確に届けられる人物は意外と少ない。


 人の能力や向き不向きは十人十色だが、俺のプロジェクトに参加する5人の主力には実務能力は勿論、人間力や個の強さを求めている。


 個の強さというと曖昧だが、ここでの強さは仮に今から無一文になり一人きりなったとしても、またのし上がれる力、更に言えば突然、異世界に放り出されても逞しく生き残れる強さを指している。


 0の状況でも1を生み出せる人間は強い。


 厳しい様だが、どこまで上り詰めようが一度転げ落ちたらもうお終いという人物は今回、対象外だ。


 俺が計画しているのは長期プロジェクトだ。


 どんな大企業であろうが、その間にそれなりの逆境やダメージを負う可能性はある。


 だが、それで簡単にコケて再起不能になられては困るのだ。


 

 その点においてはこの人物も相当タフで、しぶとい印象だ。


 他のメンバーよりコケそうなリスクを多く抱えていそうではあるが...


 それでもこの発信能力は秀逸だ。


 あとは本業の実務能力(ある意味この演説も本業ではあるが)と人格が気になるところ。


 

 演説は興味深いものではあったが、抑揚が激しい分こちらも気疲れした。


 狙っていたのかは知らないが、相手の精神を消耗させ、そこで一気に畳み掛けるという交渉術もあるので

 やはり侮れない人物だと再認識した。


 

 この日は演説後に尾行してマーキングを施し、本社の自室と自宅も確認。


 これで次からは「自己召喚」で楽に移動できる。


 

 それにしても本社は意外とクラッシックな外観なのに、自室は派手だった。


 そして自宅も。


 正にアメリカンドリームって感じ。



 これまで交渉してきた3人よりも遥かに要キャ感が強い。


 王子もその要素がないわけでないが、ここまで自己主張が強いタイプでない。


 

 ハッキリ言って、苦手なタイプだ。


 

 だが、こういう人物に限って誰よりも腹黒かったり強かな一面を持っていたりする。


 今回は最悪の事態を想定した準備が必要になるかも...



 まぁそうなったらそうなったで臨むところだけどね。


 異世界帰りはタフなのだ。


 そして帰宅してから一服してコーラをがぶ飲みし、寝る頃にはそんな憂鬱は忘れていた。


 

 忘れる事も大事な技術だと某テニス漫画でも語られてたが、全くもってその通りだ。

 

 

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