第二章―Ⅲ― 「風魔斬のチカラ」
「ハアッ……ハアッ」
アルスが息を切らす。
この暑い火山の中、体力消耗は激しい。
一方相手は魔物。
まだまだ余裕だ。
「クソッ! こんなとこで負けるかぁ!」
『キハハハ。 ユク……ゾッ!』
サイガはアルス目掛けて走り出す。
爪をクロスし、構える。
そして、
『双劣爪!』
また技を繰り出す。
「くそ、うっとうしい! 真空波!」
また、アルスも応戦。
死闘を極める。
「今度は、こっちから!」
アルスはサイガの後ろに回り、剣を振るう。
パッっと避けるサイガ。
それを追跡し斬る。
『チイィ!』
逃げるが、アルスは追いつく。
『ハァァッ!』
ザシュ!
爪がアルスを捉えた。
が、
「こっちだぁ!」
風の力をフルに活用し、風のスピードで、背後へ。
「風魔斬!」
ズバァ!
確実に捉えた。
舞う鮮血。
『ギャアア!』
素早く距離を置く。
『ユルサ、ナイ……! カクゴ! シロ!』
爪を天に掲げ、力を集中。
『クラエ! 双魔波閃!』
闇色の閃光がアルスを襲う!
「ふ、風魔斬!」
すかさず対抗すると、なんと、剣が闇の力を吸いとり始めた!
「なな、なんだ?」
そして、剣は闇色一色。
闇色の風が剣を覆う!
「よし、喰らえ! 轟風魔斬!」
『ギギギ……双劣爪!』
キィィィン!
爪と剣がぶつかる。
ザシュ……!
『ク……ソォ……リゾル……サマ……!』
サイガは倒れ、ラーゼとなった。
「ハアッハアッ。今のは……」
【……闇か……】
ぼそっと呟く鳳凰。
「え?」
アルスも聞き返す。
【いえ、なんでも。先を急ごう】
「……? 分かったよ」
初勝利。
そして、闇。
風魔斬の、魔。
謎は、絶えない。