第一章―Ⅲ― 「力、そして説明?」
夜が明け、アルスとラル。そして長老、村人は再び神風の祠へ向かった。
「ふむ、アルス! 一歩前へ」
「はい?」
アルスが前へ進み出るとパアアッ! と、鳳凰玉が光り出した。
みんな、目をつぶる。
そして、再び目を開くとそこには鳳凰がいた。
【おはよう、アルス。さて、今日は力を与えるんでしたね。しかし、その前にこれから何をすればいいかを説明します】
「頼むよ!」
アルスが鳳凰になんとも軽く言った。
【まず、あなたには魔の根源『リゾル』を倒してもらいます】
「……いきなりだね」
【もちろん。そのために、私が力を与えるんじゃないですか】
いきなり正論ごもっともである。
「で、リゾル? は、どこにいるのさ?」
【異世界です】
「ああー! 異世界ね、異世界……って、はぁ?」
ノリツッコミなのか?
それは、ノリツッコミなのかぁ!
【言ったとおりです。リゾルは異世界にある『ペルセ・アーツ』と言う所に居ます。が、そこには大きな門があり、その門を開けるカギが必要です】
「カギ? どうやって手に入れるの?」
ラルがもっともな質問をする。
【カギは、異世界のあらゆる所にある八つの宝玉です。ちなみに、鳳凰玉はその内の一つですよ】
「どうやって集める?」
【まず、私が祠にゲートを作ります。そこからいろんな世界に飛び、宝玉を集めるのです。あ、命の保証はないですよ】
要するに、危険らしい。
「分かった、で、力は?」
【今から授けますが、あなたの中にある『風』を引き起こすにすぎません。あとは自分で力を磨いてください】
「分かった!」
【ちなみに、最初に覚えられる技は(授ける技は)二つ。あなたの属性も関係します】
「属性って?」
【あなたの体質ですよ。例えばせっかちな人に力を与えたら、『風雷光』とかね】
なんともテキトーな説明だが、これ以上は作者が無理だそうなので。
……上の文は、忘れてくれ……。
「あい分かった。さあ、力を」
【目を、閉じてください】
アルスが目を閉じると、きゅうに身体が光りはじめた。
【ピーーーーーー!】
大きな鳥の鳴き声を発する鳳凰。
そして……。
「……! 変わった……なんか、違う……」
【おめでとう。あなたは、『真空波』と……。!? 『風魔斬』? を覚えました】
「ねえ、魔……って?」
ラルが質問をした。
【さあ、アルスには、風と闇の素質があるみたいです。さて、では披露してみて、アルス】
「分かった」
アルスは集中した。
手を翳す。
すると、
パシュ!
と、手のひらより二周りほど大きい風の渦ができた。
「わわわ! で、できた!」
【さあ、放って!】
コクンと頷くとアルスは言った。
「真空波!」
ヒュゥゥ!
凄まじい衝撃波が野原に放たれた。
伸びきっていた草は切り刻まれてしまった。
「……! ス、スゴイ威力……」
「わあ……スゴイ、アルス……」
【さあ、明日にでも出発します。用意を。あ、これはプレゼントです】
鳳凰玉の中から、1.5メートル程の剣が出てきた。
【『風の刃』です。使ってください】
「ありがとう!」
明日に迫った異世界への旅。
不安だが、アルスは多少のワクワクを感じていた。
そして、眠りについた。