デズモンド公爵令嬢のお茶くみ体験
遅くなり申し訳ございません。よろしくお願いいたします。
追記:手直ししました。よろしくお願いいたします。
婚約者と上手く行っていない貴族は随分といる。貴族社会の結婚は政略結婚が当然だから、見たこともない婚約者といきなり結婚するなんてざらだ。
俺とて貴族のご令嬢だから、そんな当たり前の事は重々承知していた。ただ、このメルゼガリア帝国で一番、婚約者と上手くいっていなくて有名なのはクリスティナ・デズモンド公爵令嬢とウィリアム第二皇太子殿下だろう。
ウィリアム第二皇太子殿下が懇意にしているリリィ・ブラウン男爵令嬢が、デズモンド公爵令嬢によっていじめられているという疑惑は、ガアールベール学園でももっぱら噂になっていて、ウィリアム殿下とデズモンド公爵令嬢は(見た感じウィリアム殿下が一方的に)日々争い続けている。
そして、いち伯爵令嬢に過ぎない俺はその争いに関わり合いになる事はないと思っていた。
そんな思いも、デズモンド公爵令嬢が俺の喫茶同好会に入り浸っていると、ウィリアム殿下が知った時には儚く散った。
「クリスティナ!お前はまたあのお茶くみ令嬢の所に通っているのか!」
「そうですが、何か」
学園集会の時に生徒会副会長のウィリアム殿下が声を荒げなければ、俺は今頃ぼけーっと「今日の日替わりスイーツ何にしようかな」なんて吞気に考えていただろう。お茶くみ令嬢と呼ばれて会場の視線が突然俺に集まった時は、俺は何だかいたたまれなくなった。
ちなみに生徒会会長のアルベルト第一皇太子殿下は他校との交流だとかで外出しているため、暴走しがちなウィリアム第二皇太子殿下を止めるストッパーがこの日は不在だった。
「呆れたものだな!クリスティナ・デズモンドとあろうものがリリィの事を庶民の出だなんだと馬鹿にしていた癖に、庶民の真似事をしているあの馬鹿娘の下に通うとは!」
「彼女の腕前に惚れ込んだだけの事です。殿下に何かご迷惑をおかけしてますか?」
「何を言うか!婚約者のお前があんな娘の所に通えば、僕とリリィの名前に傷がつくだろう!」
「何故ブラウン男爵令嬢が関係あるのか分かりませんが……それは殿下の買い被りというものです。彼女にそんな影響力はありませんわ」
それからも軽々といなしていくデズモンド公爵令嬢に、ウィリアム第二皇太子殿下は徐々にヒートアップしていき、とうとう今回の発端となった発言をした。
「じゃあお前もお茶くみに従事しろ!あの同好会の部員なんだろう!」
「私がお茶くみを……?」
「そうとも!リリィだって貴族になる前は苦労したんだぞ!お前もその苦労を味わえばいい!」
「……」
「良いか!これは副会長命令だ!」
生徒会副会長にそんな権限あったっけ……。
俺がそんな事を考えていると、ウィリアム第二皇太子殿下のこの発言にスケフィントン侯爵令嬢を含む、デズモンド公爵令嬢の取り巻き達が黙っていなかった。
「殿下!デズモンド様を侮辱するのもいい加減にしてください!」
「そうですわ!デズモンド様を変人の仲間入りさせる気ですか?!」
「お茶くみならブラウン男爵令嬢にでもやらせたらいいじゃないですか!」
……なんか流れ弾がこっち来てんだけど、俺あんたらに何か悪いことした?
俺がそんな事を思っていたその時だった。
「……分かりました。やりましょう」
白熱し始めた周りをよそに、デズモンド公爵令嬢が突如口を開いた。その突然の発言に周りの人間たちはポカンとしていた。聞いていて俺も啞然としていた。
「クリスティナ様……!?」
取り巻き達が止めようとしている中で、デズモンド公爵令嬢はその静止を振り払うように言った。
「国の未来を担う殿下がやれ、というなら仕方ありません。彼女と一緒にお茶くみに従事しますわ」
そして、会場を見渡すと「コルネリア・ローリングは何処にいますの?」と俺を探し始めた。
「は、はい……ここにおります」
俺はおずおずと席を立ってデズモンド公爵令嬢の下に行った。呆気にとられるウィリアム第二皇太子殿下と、ぎろりと睨むデズモンド公爵令嬢の取り巻き達に囲まれてブルブルと震える俺の様は、さながら蛇に睨まれた蛙と言った所だろう。
「というわけでウィリアム殿下からのお言葉で、次の営業日に貴女と同じお茶くみをする事になったから、どうぞよろしく」
デズモンド公爵令嬢がそう言うと、ウィリアム第二皇太子殿下は「ふん、ざまぁ見ろ」というような表情でニマニマと笑っていた。
そうして、デズモンド公爵令嬢はウィリアム第二皇太子殿下の命令で、俺と同じようにエプロンを付けてお茶くみをする事になったのだった。
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「ああ!違いますよ!もっと蒸らすんです!」
「……」
「そんな入れ方じゃ香りが逃げちまって不味くなっちまいますよぅ!やり直しですぅ……!」
学園集会から数日後、あくる日の営業日にて俺とデズモンド公爵令嬢は喫茶同好会でお茶入れの練習をしていた。お茶入れに慣れている俺とは違って、デズモンド公爵令嬢はぶっつけ本番でお客さんに出せるような紅茶の腕前を持っていなかった。
俺はあれやこれやとデズモンド公爵令嬢の入れる紅茶に文句を付けては、やり直しを指示していた。
「……何で教えている貴女が半泣きなのかしら」
「だってぇ……飲むの俺なんですもの!ああ、今度は茶葉入れすぎです!」
ちょいと目を離すと茶葉を多めに入れるデズモンド公爵令嬢の入れた失敗作は、全て俺が飲み干す事になっているため俺は今日だけでも五回はトイレに行った。
試行錯誤を重ねた後、デズモンド公爵令嬢の腕前がやっと飲める味に到達した時には営業時間の半分が過ぎていた。
「しかし、意外ですなぁ。デズモンド様って結構何でもかんでも器用にこなせるタイプかと思ってましたが、やっぱりお嬢様育ちなんですなぁ」
「むしろ貴女のようにお茶くみをマスターしてるご令嬢の方がおかしいのよ」
そんな冗談を交わしていた頃、ようやく喫茶同好会にお客がやってきた。
「クリスティナ様……大丈夫ですか?」
入ってきたのはデズモンド公爵令嬢の一の友人関係にあると言っても良い、フランシス・スケフィントン侯爵令嬢だった。
「あら、フランシス」
「ややっ、スケフィントン様ですか。ご覧の通り四苦八苦しながらお茶の練習をしております」
俺がそう言うと、デズモンド公爵令嬢にべしんと頭を軽くはたかれた。なんでやねん。
「やってみたは良いけど中々難しくて、マスターからはボロクソに言われてるわ」
「ローリング、貴女ねぇ……!」
「しょうがないでしょうがよぅ……」
スケフィントン侯爵令嬢はぎろりと俺を睨んだ後、再びデズモンド公爵令嬢を見た。
「クリスティナ様、もう無理にお茶くみに従事されなくても良いのでは?クリスティナ様にあんな態度を取って謝らない殿下にだって問題がありますわ」
しかも殿下ったら今日だってまた懲りずにブラウン男爵令嬢を侍らせてましたのよ、とスケフィントン侯爵令嬢は言った。どうやらウィリアム第二皇太子殿下は以前にも兄のアルベルト第一皇太子殿下から、ブラウン男爵令嬢についておしかりを受けたらしい。その際、兄上には関係ありませんと言って更に激怒させたのだとか。
「仕方ありませんわ、殿下はいつもああですもの。それよりもフランシス……」
デズモンド公爵令嬢はスケフィントン侯爵令嬢にニコリと微笑んだ。
「一杯飲んでいかないかしら?ようやく飲める味になりましたの」
「ええ!是非とも頂きますわ!」
デズモンド公爵令嬢がそう言うと、スケフィントン侯爵令嬢は笑顔で応えた。
そしてデズモンド公爵令嬢が入れた紅茶を飲んだ瞬間、苦笑いをした。
「あ、アハハ……とても独特な味わいですわ」
「そう?もう一杯いかがかしら?」
「い、いえ。私もう別のお茶会に出席して沢山紅茶を頂きましたので……」
香ってくる失敗作の匂いを感じ取ったのか、スケフィントン侯爵令嬢は「とにかく!クリスティナ様を頼みましたわよ、ミセス・ローリング!」と言ってお代を払って出て行ってしまった。
「……駄目だったってわけね」
「仕方ありませんよ、まだ始めて日が浅いんですから」
珍しくしょげる様子を見せたデズモンド公爵令嬢を俺は思わず励ました。
それからもデズモンド公爵令嬢がお茶くみをやっているという事への好奇心目的でやって来たお客に、デズモンド公爵令嬢は奇異の目を向けられながらお茶くみをしたが、評価は散々だった。曰く、香りがついてないだの、味が濃すぎるだの、入れ直してみたら今度は味が薄すぎるだの言われていた。
そして何故か非難の矛先は俺に向けられた。
何でも『上手く教えていないお茶くみ令嬢が悪い』のだとか。まぁ恐らくデズモンド公爵令嬢に面と向かって『不味い』とは言えないから、俺に矛先が向いたのだろうな。
そうして、散々の結果のまま営業時間も終わりを迎えようとしていた頃だった。俺はふとウィリアム第二皇太子殿下の事を思い出した。
「そう言えばウィリアム殿下来ませんね。あの人ならデズモンド様を笑いに来そうですけど」
「貴女の発想も中々嫌ね」
デズモンド公爵令嬢はそう言いながらハァとため息をついた。
「殿下は二人きりの時は私に強く言えないの。人が周りにいる時だけ強く出れる性質なのよ」
「あらまぁ……そういう男性っていらっしゃいますよねぇ」
ウィリアム第二皇太子殿下がそういうタイプだと知っているのは婚約者だからこそだろうか。
その時、俺はふとある考えが頭をよぎった。
「呼んできましょうか?ウィリアム殿下」
「はい?」
俺がそう言うと、デズモンド公爵令嬢は露骨に嫌そうな顔をした。
「だってぇ、言いだしっぺの殿下が来なかったら変じゃないですか。一緒にデズモンド様が入れたお茶飲んだら何か変わりますよ」
「何かって何?」
「そりゃあ分かりませんけど……」
デズモンド公爵令嬢は再びハァとため息をついて「好きになさい」と言ってくれた。
「それじゃ!呼んできますね!」
俺はそう言って喫茶同好会を飛び出した。
「ウィリアム殿下、いらっしゃいますか?」
「あ♪お茶くみ令嬢ちゃん~♪」
「むっ……お前は」
ガアールベール学園の生徒会室にたどり着き、ドアをノックして入ると生徒会長の代わりに執務をしているウィリアム第二皇太子殿下と、雑務をしているニューウェル侯爵子息が俺に目を向けた。ニューウェル侯爵子息は、他校との交流に出かけているアルベルト第一皇太子殿下とは一緒に行かなかったらしい。
「なんだお茶くみ令嬢か……」
「はい、お茶くみ令嬢でございます」
ウィリアム第二皇太子殿下は俺を見るなり、ホッとした表情で一息ついた。恐らく兄上が帰ってきたのかと思ったのかもしれない。
「それで?何の用だ。僕は忙しいのだが」
「……」
そうして真剣な表情に戻ると言った。こうしてジッと見つめられると正しくその様は皇太子にあるべき姿で、俺もキュッと身を引き締められた。俺は恐る恐るそう口を開いた。
「いえその、クリスティナ様が喫茶同好会でお待ちでございます。是非とも来て欲しくて」
「はん!それで僕の気を引くつもりか。ざまぁないな」
ウィリアム第二皇太子殿下はそう言うと、ウィリアム第二皇太子殿下は兄のアルベルト第一皇太子殿下がいないことを良い事に俺の前でゲラゲラと笑い始めた。
「いつだったかリリィが僕のためにお茶を入れてくれた事があってな。リリィが入れた紅茶はとてもとても美味しいお茶だったのに、入れてくれたお茶を横取りして飲んで、『不味い』とケチをつけたんだ。どうしても僕とリリィを引き裂きたかったのだろうな。そんなクリスティナがお茶くみをするとはな!いい気味だ!女狐め!」
女狐って……一応婚約者だろうに。よっぽどデズモンド公爵令嬢の事を嫌っているのか、それともここまで来たら憎んでいるのかもしれない。アルベルト第一皇太子殿下の友人であるニューウェル侯爵子息は口元は笑みを浮かべながらも、目は嫌そうにしていた。
「却下だ。あの女が入れる紅茶などリリィが入れてくれる紅茶に比べれば不味くて飲める味ではないだろう。僕はそんな不味い紅茶に時間を割くつもりはない」
俺がそんな事を考えていると、ウィリアム第二皇太子殿下はニマニマと憎らしい表情で言った。そこに口を挟んだのはニューウェル侯爵子息だった。
「殿下もう一区切りついたでしょう~?お茶一杯飲むぐらい行って来たらいいじゃないですか~」
「……黙れニューウェル」
アルベルト第一皇太子殿下ぐらいしか呼び捨てにしてないのに、ウィリアム第二皇太子殿下は平然とニューウェル侯爵子息を呼び捨てにした。その事に腹を立てないのかとも思ったが、こちらに後頭部を向けているニューウェル侯爵子息の顔が見えないのが怖かった。
「大丈夫ですよ~。今日の執務は後は僕だけでも出来ますから~♪」
ニューウェル侯爵子息はそう言うと、「さっ♪いってらっしゃ~い」と言ってウィリアム第二皇太子殿下の背中を押すようにして生徒会室の外へ連れ出した。
「ちっ、ニューウェルめ。僕は第二皇太子だぞ。兄上の友人だとしてもいつか不敬罪でしょっぴいてやる……」
ウィリアム第二皇太子殿下はしばらくぶつくさ言っていたが、ハァとため息をついて俺に「連れてけ」と一言言った。
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「はん、お似合いだな。お茶くみ令嬢」
喫茶同好会に着いたウィリアム第二皇太子殿下はカウンターの椅子に座って待っているデズモンド公爵令嬢を見て一言こう言った。
「来ていただけて光栄ですわ、ウィリアム殿下」
デズモンド公爵令嬢はそれには反応せず、ペコリと優雅に頭を下げた。
「ふん、さっさとお前の不味い茶を寄越せ。僕はあまり時間がないからな」
ウィリアム第二皇太子殿下は露骨に嫌そうな顔をしながら、デズモンド公爵令嬢に顔も向けずにお茶を入れるよう促した。デズモンド公爵令嬢はそれに文句を付けずに紅茶を入れ始めた。
沸かしたお湯で器を温め、お湯を捨てたら茶葉を入れて再びお湯を入れて蒸し、時間が経ったら紅茶の出来上がり。
そうして入れた紅茶をウィリアム第二皇太子殿下の前に差し出した。立ち昇る紅茶の湯気がウィリアム第二皇太子殿下の顔にかかった。
「……香りは良いな」
「それは光栄ですわ」
「香りが良いのは当たり前だ。紅茶は香りが良くなければスタート地点にも立てない」
ウィリアム第二皇太子殿下はぶつくさ言いながらも紅茶から目を離さなかった。そして嫌そうな顔を崩さずに恐る恐る紅茶をズズッと啜った。
そうして、しばらくの時間が過ぎたのち、
「美味しい……」
と、ウィリアム第二皇太子殿下がポツリと言った。その顔には並々ならぬ感動が含まれていた。
「何て素晴らしい紅茶だ……香りも深みも全然違う。こんな身も心も温まる味は今まで……」
「お気に召していただけましたか?」
俺がそう言うと、ウィリアム皇太子殿下はしばらく考えたのちにこう言った。
「そうだ!リリィが入れた紅茶と同じなんだ!まさかクリスティナ、お前が彼女に入れさせたのか!?」
「……」
俺はその不可思議な問いに答えなかった。目の前でデズモンド公爵令嬢が入れてただろうが、とは言わずに代わりにニコニコとウィリアム第二皇太子殿下に微笑んだ。
「良かったですねぇ、クリスティナ様。初めてお褒めの言葉を、しかもウィリアム殿下より頂いて」
「……!?」
俺がそう言うと、デズモンド公爵令嬢は「恐縮ですわ」と頭を下げた。それを見て事態を理解したウィリアム第二皇太子殿下は一瞬で顔をリンゴ以上に赤らめた。
「何!お前が入れたのか?この紅茶を?!」
「はい、間違いなく私が入れた紅茶でございます」
デズモンド公爵令嬢がそう言うと、ウィリアム皇太子殿下は「有り得ない……有り得ない……クリスティナはもっと不器用なはずだ……なのにリリィと同じ味を作れるはずがない」と何やらぶつくさ言い始めたが少ししてリンゴみたいに真っ赤になった顔を上げると、
「お、お茶を僕好みに入れられた程度で図に乗るなよ!こんな事でリリィにした仕打ちが消えた訳ではないからな!」
と言って席を立った。
「あのぅ……殿下?一旦落ち着いては……」
「五月蠅い!ほっといてくれ!」
ウィリアム皇太子殿下は顔を赤くしたまま席を勢い良く立つと、デズモンド公爵令嬢が入れた紅茶を大分残して、子供のようなセリフを吐き捨てながら喫茶同好会を逃げるようにして去っていった。
「入れ方……変えてませんよね?」
俺はしばらくポカンとしながらその後ろ姿を見送った後、ポツリと言った。
俺のその問いにデズモンド公爵令嬢は「いつも通りに入れただけよ」と言ったので、試しにウィリアム第二皇太子殿下が残した紅茶を一啜りしてみた。
「……やっぱり不味いです」
「あら残念」
香りは良いけど味はぐっちゃぐちゃだった。とにかく味が濃すぎて飲めたものではなかった。
リリィが入れた紅茶と同じ味。そうウィリアム第二皇太子殿下は言っていた。
という事は……。
「……ブラウン男爵令嬢もそんなに紅茶の腕は良くないって事なんですかね?」
「知らぬが仏って東洋の諺があるわ」
そう言うデズモンド公爵令嬢の顔を見ると何とも言えない苦笑いを浮かべていた。
それからウィリアム第二皇太子殿下は激怒したアルベルト第一皇太子殿下に、デズモンド公爵令嬢にお茶くみの命令を取り下げさせられたのだが、その際アルベルト第一皇太子殿下はボソッと「クリスティナが入れた紅茶か……飲んでみたいものだな」と言っていたらしい。
……これもまた知らぬが仏ってヤツなのかな。
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