ふりかけざくざく
日付ギリギリ間に合いましたぁぁぁ!!
危なかったァァ!!
ここで、お知らせです。
誠に勝手ながら、来週末に、私の推しの番組が28時間企画をやりますので、かぶりつきで観るために、週末の更新をお休みさせていただきます。
その代わりに、平日のうちに、二回更新をするつもりです。
ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
それでは、本編をどうぞっ\(^o^)/
「えーと、あるかなあるかなぁ~~、おっ、あった」
「「もなかまちゃんふりかけ!」」
「ん?」「はっ?」
ここは、コンビニ。ロミリーマート。
蟻さん退治やら報告書作成やらなんやらと、ハードな一日が終わって、仕事終わり。
駅に向かう途中にある店舗に立ち寄って、いくつか買い物をしている最中だ。
特に忘れてはならないのは、もなかまちゃんふりかけ!!
お弁当には、これがないと、やっぱりだめだ。
もちろん、スーパーとかでも売ってはいるが、なんと!なんと!!ロミマは、限定フレーバー入りなんだ!!そう!納豆味のふりかけは、ロミマ限定!!渋いぞ、ロミマ!!
我が家の長女、みずきは、鯖が弁当に入っていないと、機嫌が悪くなる。同じように、もなかまちゃんふりかけが入っていないと、絶妙に機嫌が傾く。
だがしかし!!
もなかまちゃんふりかけの納豆味が入っていた日は、なんだか少しだけ優しくなる気がするんだ!!
我が家は、もなかまちゃんふりかけが品切れ。今日は、忘れずにゲットして帰りたい!!そして、そこには最後の一つ、もなかまちゃんふりかけが、あったー!!
んだけど、ほぼ同時に向かい側から女性も手を伸ばしてきた。
もなかまちゃんふりかけは、商品棚に一つ。最後の一つ。
相手も、ポカンとして、なんとなくお互いポカンと見つめあっている。
女性は、新卒くらいの年齢だろうか。セミロングの髪をパッと後ろで結んでいて、あまり化粧っ気はないけど、かなり美形というか、普通に美人だな。気が強そうだけど。
「えーと」
ほんとにこんなテレビでありそうなシチュエーションが発現したことに軽く驚いてはいるが、いつまでも見つめあっている訳にもいかない。
うーん。みずきの機嫌が心配だけど、新卒っぽい女の子からふりかけを奪うのも、気が引けるし、ここは譲るか。
「あの、どうぞ」
笑顔で譲る。なんて、気持ちいい!
良いことをすると、気持ちいいものだな!
「はっ?いや、あなたの方が先に手を伸ばしてたでしょ?あなたが買うべきよ」
「んー、、ん?」
えー、ちょっと落ち着こうか。今、何が起こった?びっくりし過ぎて、瞼が痙攣するところだったぞ。
彼女は、一瞬驚いたような顔をした後に、急に怒った顔になって、まさにプンプンといった感じで、手を引っ込めてしまった。
ここは、思考を加速させて、振り返ってみるとしよう。
もなかまちゃんふりかけが、一つだけ棚にあった。
それはいいだろう。
それを取ろうとしたら、向かいからも一人の女性が手を伸ばしてきた。
それも、まだいいだろう。
ここは、大人の対応で譲ろうとしたら、断られた。
なぜ、そうなった?!おとなの余裕を返せ!!
あー、いや、いかんぞ。いかん。ここは、大人としての威厳を見せる時だ。
「えーと、いや、他のメーカーのだけど、うちにまだふりかけあるから、大丈夫ですよ?あの、どうぞ?もなかまちゃんふりかけ買いにきたんでしょ?」
「はっ?もなかまちゃんふりかけ?知らないわね。そんなのがあるの?」
「ん、え??いや、だって、さっき、もなかまちゃんふりかけ!って言ってましたよね?」
「言ってない。言いがかりはやめてもらえる?なに、セクハラ?ストーカーなの?店員さん呼ぶわよ?」
「んんんん?」
なぜ、そうなる!?
おっと!落ち着け、俺。
こういう時こそ、クールに、クールに。
そう。今日、俺は疲れている。
ちょっと変わった子に遭遇してしまったのかもしれないな。
よし、ここはシンプルに、撤退しよう!
「あー。なんでそうなるのかは、わからないけど、なんか勘違いされてるみたいだし。俺は、ふりかけいらないから。お好きにどうぞ。」
こういう時は、あまり深く関わらないことだ。うん。撤退撤退。
「はっ?逃げるの?もなかまちゃんふりかけ買いなさいよっ!わざわざ買いにきたんでしょ!」
えぇええぇぇぇぇ!?
「え、いや、本当にいらないから」
よくわからないけど、これはマジで撤退案件だぞ!
そそくさと振り返って、レジに行こうとすると、パッと手を捕まれた。
「あぁぁもう!!違うの!あの、、私こそ、言いがかりをつけてしまって。いい年して、もなかまちゃんふりかけ買おうとしてるなんて思われるのが、恥ずかしくて、、つい、嘘をついちゃったの!あのっ、でも、本当に私は大丈夫だから。ちょっと久しぶりに、食べてみたくなっただけだから。もういいの。ごめんなさい」
そう言ってから、そっと手を離しつつ、振り返って立ち去ろうとする彼女の姿を見て、思わず、「あ、ちょっと待って!」と、勢いで止めてしまったけど、どうすればぁぁ!?
「あー、えっとー」
最後のもなかまちゃんふりかけ、、8パック入り、偶数、、
「じゃ、じゃあ、二人ではんぶんこしましょうか?」
なんか、思い付いたまんまに喋ってしまった!
「はんぶんこ?」
彼女の頭にも、?が浮かんでいるのが見えるけど、俺の頭にも?が浮かんでいる。けど、ここは勢いで押しきる!押して参る!!
「そ、そう!はんぶんこ!とりあえず、俺が買うから、はんぶんこ!えーと、8パック入りだから、4つずつにしよう!他にも、ふりかけがあるのに、もなかまちゃんふりかけを買おうとしたんだから、何か思い入れがあるんでしょ?好きな味持っていっていいから!」
もなかまちゃんふりかけが好き!変わった子かと思ったけど、まぁ照れ屋さんなんだな、たぶん。
うん!ここは、はんぶんこするしかないな!
でも、納豆以外、納豆以外、納豆以外、納豆以外、納豆以外で頼むぅ!!
「いいの?」
「もちろん!」
納豆以外!!
「じゃあ、タマゴと明太子を、、ください。あのっ、私もちゃんとお金出しますから!」
「え?いや、いいよ。これくらい」
「はんぶんこでしょ!お金も、はんぶんこ!半額出しますから!」
「わ、わかった、わかったから。しぃぃ!ちょっと声抑えて、じゃあ、お金もはんぶんこでいいから。」
納豆以外で、よかったー!!!!
「ここじゃあ、あれだから、レジ終わったら、外で待ち合わせにしようか?」
「それで、お願いします」
最初は、なんか大変なことになるかと思ったけど、意外といい子だな。
とりあえず、棚から最後のもなかまちゃんふりかけを取って、カゴに入れた。
☆☆☆☆☆
「じゃあ、タマゴと明太子と、あと2つ、どれか適当に取ってくれる?あっ、納豆以外で、お願いしてもいいかな。それ、ロミマ限定の味なんだけど、それが欲しくて買いに来たからさ、できれば、それ以外でお願いするよ」
「納豆味、美味しいの?食べたことないわね。」
「娘が好きなんだよね。納豆味。俺も、そういえば食べたことないなぁ」
「娘さんがいるの?小さいお子さんにしては、納豆味が好きなんて、変わってるのね」
「小さい?いや、もう高校生だよ、うちの娘は。長女が高校生で、次女が中学なんだけどさ。長女が、もなかまちゃんふりかけの納豆味がないと機嫌が悪くてさぁ。、、、えーと、どうかしました?」
急に彼女がフリーズしてしまったけど、どうしたんだろ?
「え、あなた何歳?二十歳くらいじゃないの?、、じゃないんですか?」
「・・・・・・はぁっ!?いやいやいやいや、もう三十代半ばだよっ?さすがに、二十歳には見えないでしょ!」
「・・・嘘?じゃ、なくて?」
「嘘ついて、どうするんですか。本当です」
「あ、あぁぁぁもう!!ほんっ!とうに、ごめんなさい!同い年くらいだと思って、言葉も選ばずに、変なこと言ったりして、申し訳ありませんでした!」
「え?えぇぇ?いや、だ、大丈夫だよ。そんなに謝らなくていいから!まぁ、確かに、鍛えてるせいか、少し若く見られることが多いし。でも、二十歳はさすがに、ね。ビックリしたけど。もなかまちゃんふりかけに免じて、許します!なんてね。」
「ありがとう、ございます。じゃ、じゃあ、ふりかけもらいますね!えと、タマゴと明太子と、、唐揚げと、あとタコス味もらっていいですか?」
「もちろん!いいよ。」
美人だけど、変わった子だなぁ。けど、いい子だ。
ふりかけを嬉しそうに選び取っている姿をみて、なんだか微笑ましく思えてきた。それこそ、同い年くらいなら、この出会いにキラキラと胸が踊るんだろうけど、たぶん、俺よりみずきの方が年齢近い女の子には、さすがにな。うん。
「あのぉ、本当に、はんぶんこしていただいて、ありがとうございます!普段は、買わないんですけど、昔好きで食べてて、急にまた食べたくなって。実は、最近上手くいかないことが多くて、今日も嫌なことがあって、それで、、あっ、ごめんなさい!つい!関係ないことまで、あのっ!本当にありがとうございました!それでは、失礼します!」
「え、あっ」
行ってしまった。
そんな中途半端に悩みを聞くほうが、こっちとしては、なんか落ち着かないんだが。
んー!どうせなら、ちゃんと話を聞いてあげたかったけど、、それじゃあ、ナンパしてるみたいだな。
でも、駅じゃなくて、特区の方に向かって走って行ったなぁ。
姿勢も綺麗だったし、たぶん、それなりに鍛えてる雰囲気もあったから、もしかしたら特区の関係者なのかもしれないな。
特区には、寮もあって、特に新人の人達がそこでお世話になることが多い。
それなら、また会うかもしれない。
その時は、ふりかけの話をもう少ししてもいいかもな。
さっ!もなかまちゃんふりかけもゲットできたし、気を取りなおして、帰ろう!
茜が、ご飯を作ってくれているはずだ!
☆☆☆☆☆
「ただいまぁ~。おっ、めっちゃいい匂いするじゃん!」
「おかえり~。遅かったねぇ、今日。お疲れパパだ~」
家に帰りついて、玄関を開けると、すご~く食欲をそそる匂いが俺を襲ってきた。幸せな強襲だなぁ~。
キッチンに部屋着にエプロンの茜が立って、ちょうど料理をしてくれていた。
茜も、部活があったはずだけど、ありがたやぁぁ。
「う~ん。報告書とか追加で作ってたら、遅くなっちゃったよぉ。夕飯、手伝えなくて、ごめんなっ」
「いいよぉ~。もう少しでできるから、着替えておいで~。」
「あいよ~。」
手を洗ってから、部屋に入って、楽な部屋着に着替えていく。
リラックスできる格好になったら、ダイニングに行って、いつもの行事だ。
「沙弥、ただいま。」
仏壇に、線香をあげて、手を合わせる。
「今日も無事に帰ってこれたよ。いろいろあった1日だけど、最後に変な子に会ってさ。なんか、面白い1日になった気がするよ。そうそう!お弁当も、ちゃんと持っていったし、美味しかったなぁ。ちょっと片寄っちゃったけどさ。味は、変わらないからな!うん。まぁ、今日も乗り切れたよ。ありがとう。」
「ママに挨拶したっ?」
「うん。今したよ~。」
「じゃあ、ご飯にしまーす。今日は、ソーメンチャンプルだよ~。キノコサラダとトマトスープを添えて!召し上がれ~。」
「おぉぉぉ~。茜のソーメンチャンプル好きなんだわ~」
みずきは、まだバイトで帰ってこないけど、娘二人と暮らすこの時間が好きだ。
ダンジョンキーパーの仕事は、大変だけど、この時間があるから、癒される。
「さっ、食べよう!」
「「いただきま~す!」」
「うぉぉぉ!うめぇ!茜、また腕を上げましたなぁ~」
「それほどでもあるよ~」
こっちは、幸せにやってるよ、沙弥。
だから、安心してくれよな。
「ご飯おかわり~!」
「私もおかわり~!」