表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/19

ふりかけざくざく

日付ギリギリ間に合いましたぁぁぁ!!

危なかったァァ!!


ここで、お知らせです。

誠に勝手ながら、来週末に、私の推しの番組が28時間企画をやりますので、かぶりつきで観るために、週末の更新をお休みさせていただきます。

その代わりに、平日のうちに、二回更新をするつもりです。

ご理解のほど、よろしくお願いいたします。


それでは、本編をどうぞっ\(^o^)/


 「えーと、あるかなあるかなぁ~~、おっ、あった」

 「「もなかまちゃんふりかけ!」」


 「ん?」「はっ?」


 ここは、コンビニ。ロミリーマート。

 蟻さん退治やら報告書作成やらなんやらと、ハードな一日が終わって、仕事終わり。

 駅に向かう途中にある店舗に立ち寄って、いくつか買い物をしている最中だ。

 特に忘れてはならないのは、もなかまちゃんふりかけ!!

 お弁当には、これがないと、やっぱりだめだ。

 もちろん、スーパーとかでも売ってはいるが、なんと!なんと!!ロミマは、限定フレーバー入りなんだ!!そう!納豆味のふりかけは、ロミマ限定!!渋いぞ、ロミマ!!


 我が家の長女、みずきは、鯖が弁当に入っていないと、機嫌が悪くなる。同じように、もなかまちゃんふりかけが入っていないと、絶妙に機嫌が傾く。

 だがしかし!!

 もなかまちゃんふりかけの納豆味が入っていた日は、なんだか少しだけ優しくなる気がするんだ!!


 我が家は、もなかまちゃんふりかけが品切れ。今日は、忘れずにゲットして帰りたい!!そして、そこには最後の一つ、もなかまちゃんふりかけが、あったー!!

 んだけど、ほぼ同時に向かい側から女性も手を伸ばしてきた。


 もなかまちゃんふりかけは、商品棚に一つ。最後の一つ。

 相手も、ポカンとして、なんとなくお互いポカンと見つめあっている。


 女性は、新卒くらいの年齢だろうか。セミロングの髪をパッと後ろで結んでいて、あまり化粧っ気はないけど、かなり美形というか、普通に美人だな。気が強そうだけど。


 「えーと」

 ほんとにこんなテレビでありそうなシチュエーションが発現したことに軽く驚いてはいるが、いつまでも見つめあっている訳にもいかない。

 うーん。みずきの機嫌が心配だけど、新卒っぽい女の子からふりかけを奪うのも、気が引けるし、ここは譲るか。


 「あの、どうぞ」

 笑顔で譲る。なんて、気持ちいい!

 良いことをすると、気持ちいいものだな!


 「はっ?いや、あなたの方が先に手を伸ばしてたでしょ?あなたが買うべきよ」

 「んー、、ん?」

 えー、ちょっと落ち着こうか。今、何が起こった?びっくりし過ぎて、瞼が痙攣するところだったぞ。

 彼女は、一瞬驚いたような顔をした後に、急に怒った顔になって、まさにプンプンといった感じで、手を引っ込めてしまった。


 ここは、思考を加速させて、振り返ってみるとしよう。

 

 もなかまちゃんふりかけが、一つだけ棚にあった。

 それはいいだろう。


 それを取ろうとしたら、向かいからも一人の女性が手を伸ばしてきた。 

 それも、まだいいだろう。


 ここは、大人の対応で譲ろうとしたら、断られた。


 なぜ、そうなった?!おとなの余裕を返せ!!

 あー、いや、いかんぞ。いかん。ここは、大人としての威厳を見せる時だ。


 「えーと、いや、他のメーカーのだけど、うちにまだふりかけあるから、大丈夫ですよ?あの、どうぞ?もなかまちゃんふりかけ買いにきたんでしょ?」


 「はっ?もなかまちゃんふりかけ?知らないわね。そんなのがあるの?」


 「ん、え??いや、だって、さっき、もなかまちゃんふりかけ!って言ってましたよね?」


 「言ってない。言いがかりはやめてもらえる?なに、セクハラ?ストーカーなの?店員さん呼ぶわよ?」


 「んんんん?」

 なぜ、そうなる!?

 おっと!落ち着け、俺。

 こういう時こそ、クールに、クールに。

 そう。今日、俺は疲れている。

 ちょっと変わった子に遭遇してしまったのかもしれないな。

 よし、ここはシンプルに、撤退しよう!


 「あー。なんでそうなるのかは、わからないけど、なんか勘違いされてるみたいだし。俺は、ふりかけいらないから。お好きにどうぞ。」

 こういう時は、あまり深く関わらないことだ。うん。撤退撤退。


 「はっ?逃げるの?もなかまちゃんふりかけ買いなさいよっ!わざわざ買いにきたんでしょ!」


 えぇええぇぇぇぇ!?

 「え、いや、本当にいらないから」

 よくわからないけど、これはマジで撤退案件だぞ!

 そそくさと振り返って、レジに行こうとすると、パッと手を捕まれた。

 「あぁぁもう!!違うの!あの、、私こそ、言いがかりをつけてしまって。いい年して、もなかまちゃんふりかけ買おうとしてるなんて思われるのが、恥ずかしくて、、つい、嘘をついちゃったの!あのっ、でも、本当に私は大丈夫だから。ちょっと久しぶりに、食べてみたくなっただけだから。もういいの。ごめんなさい」

 そう言ってから、そっと手を離しつつ、振り返って立ち去ろうとする彼女の姿を見て、思わず、「あ、ちょっと待って!」と、勢いで止めてしまったけど、どうすればぁぁ!?

 「あー、えっとー」

 最後のもなかまちゃんふりかけ、、8パック入り、偶数、、

 「じゃ、じゃあ、二人ではんぶんこしましょうか?」

 なんか、思い付いたまんまに喋ってしまった!

 

 「はんぶんこ?」

 彼女の頭にも、?が浮かんでいるのが見えるけど、俺の頭にも?が浮かんでいる。けど、ここは勢いで押しきる!押して参る!!

 「そ、そう!はんぶんこ!とりあえず、俺が買うから、はんぶんこ!えーと、8パック入りだから、4つずつにしよう!他にも、ふりかけがあるのに、もなかまちゃんふりかけを買おうとしたんだから、何か思い入れがあるんでしょ?好きな味持っていっていいから!」

 もなかまちゃんふりかけが好き!変わった子かと思ったけど、まぁ照れ屋さんなんだな、たぶん。

 うん!ここは、はんぶんこするしかないな!

 でも、納豆以外、納豆以外、納豆以外、納豆以外、納豆以外で頼むぅ!!


 「いいの?」

 「もちろん!」

 納豆以外!!

 「じゃあ、タマゴと明太子を、、ください。あのっ、私もちゃんとお金出しますから!」

 「え?いや、いいよ。これくらい」

 「はんぶんこでしょ!お金も、はんぶんこ!半額出しますから!」

 「わ、わかった、わかったから。しぃぃ!ちょっと声抑えて、じゃあ、お金もはんぶんこでいいから。」

 納豆以外で、よかったー!!!!


 「ここじゃあ、あれだから、レジ終わったら、外で待ち合わせにしようか?」

 「それで、お願いします」

 最初は、なんか大変なことになるかと思ったけど、意外といい子だな。

 とりあえず、棚から最後のもなかまちゃんふりかけを取って、カゴに入れた。


☆☆☆☆☆


 「じゃあ、タマゴと明太子と、あと2つ、どれか適当に取ってくれる?あっ、納豆以外で、お願いしてもいいかな。それ、ロミマ限定の味なんだけど、それが欲しくて買いに来たからさ、できれば、それ以外でお願いするよ」


 「納豆味、美味しいの?食べたことないわね。」

 「娘が好きなんだよね。納豆味。俺も、そういえば食べたことないなぁ」

 「娘さんがいるの?小さいお子さんにしては、納豆味が好きなんて、変わってるのね」

 「小さい?いや、もう高校生だよ、うちの娘は。長女が高校生で、次女が中学なんだけどさ。長女が、もなかまちゃんふりかけの納豆味がないと機嫌が悪くてさぁ。、、、えーと、どうかしました?」

 急に彼女がフリーズしてしまったけど、どうしたんだろ?


 「え、あなた何歳?二十歳くらいじゃないの?、、じゃないんですか?」

 「・・・・・・はぁっ!?いやいやいやいや、もう三十代半ばだよっ?さすがに、二十歳には見えないでしょ!」

 「・・・嘘?じゃ、なくて?」

 「嘘ついて、どうするんですか。本当です」

 「あ、あぁぁぁもう!!ほんっ!とうに、ごめんなさい!同い年くらいだと思って、言葉も選ばずに、変なこと言ったりして、申し訳ありませんでした!」

 「え?えぇぇ?いや、だ、大丈夫だよ。そんなに謝らなくていいから!まぁ、確かに、鍛えてるせいか、少し若く見られることが多いし。でも、二十歳はさすがに、ね。ビックリしたけど。もなかまちゃんふりかけに免じて、許します!なんてね。」

 「ありがとう、ございます。じゃ、じゃあ、ふりかけもらいますね!えと、タマゴと明太子と、、唐揚げと、あとタコス味もらっていいですか?」

 「もちろん!いいよ。」


 美人だけど、変わった子だなぁ。けど、いい子だ。

 ふりかけを嬉しそうに選び取っている姿をみて、なんだか微笑ましく思えてきた。それこそ、同い年くらいなら、この出会いにキラキラと胸が踊るんだろうけど、たぶん、俺よりみずきの方が年齢近い女の子には、さすがにな。うん。

 

 「あのぉ、本当に、はんぶんこしていただいて、ありがとうございます!普段は、買わないんですけど、昔好きで食べてて、急にまた食べたくなって。実は、最近上手くいかないことが多くて、今日も嫌なことがあって、それで、、あっ、ごめんなさい!つい!関係ないことまで、あのっ!本当にありがとうございました!それでは、失礼します!」


 「え、あっ」

 行ってしまった。

 そんな中途半端に悩みを聞くほうが、こっちとしては、なんか落ち着かないんだが。

 んー!どうせなら、ちゃんと話を聞いてあげたかったけど、、それじゃあ、ナンパしてるみたいだな。

 でも、駅じゃなくて、特区の方に向かって走って行ったなぁ。

 姿勢も綺麗だったし、たぶん、それなりに鍛えてる雰囲気もあったから、もしかしたら特区の関係者なのかもしれないな。

 特区には、寮もあって、特に新人の人達がそこでお世話になることが多い。


 それなら、また会うかもしれない。

 その時は、ふりかけの話をもう少ししてもいいかもな。


 さっ!もなかまちゃんふりかけもゲットできたし、気を取りなおして、帰ろう!

 茜が、ご飯を作ってくれているはずだ!


☆☆☆☆☆


 「ただいまぁ~。おっ、めっちゃいい匂いするじゃん!」

 「おかえり~。遅かったねぇ、今日。お疲れパパだ~」

 家に帰りついて、玄関を開けると、すご~く食欲をそそる匂いが俺を襲ってきた。幸せな強襲だなぁ~。

 キッチンに部屋着にエプロンの茜が立って、ちょうど料理をしてくれていた。

 茜も、部活があったはずだけど、ありがたやぁぁ。


 「う~ん。報告書とか追加で作ってたら、遅くなっちゃったよぉ。夕飯、手伝えなくて、ごめんなっ」

 「いいよぉ~。もう少しでできるから、着替えておいで~。」

 「あいよ~。」


 手を洗ってから、部屋に入って、楽な部屋着に着替えていく。

 リラックスできる格好になったら、ダイニングに行って、いつもの行事だ。


 「沙弥(さや)、ただいま。」

 仏壇に、線香をあげて、手を合わせる。

 「今日も無事に帰ってこれたよ。いろいろあった1日だけど、最後に変な子に会ってさ。なんか、面白い1日になった気がするよ。そうそう!お弁当も、ちゃんと持っていったし、美味しかったなぁ。ちょっと片寄っちゃったけどさ。味は、変わらないからな!うん。まぁ、今日も乗り切れたよ。ありがとう。」

 

 「ママに挨拶したっ?」

 「うん。今したよ~。」

 「じゃあ、ご飯にしまーす。今日は、ソーメンチャンプルだよ~。キノコサラダとトマトスープを添えて!召し上がれ~。」

 「おぉぉぉ~。茜のソーメンチャンプル好きなんだわ~」


 みずきは、まだバイトで帰ってこないけど、娘二人と暮らすこの時間が好きだ。

 ダンジョンキーパーの仕事は、大変だけど、この時間があるから、癒される。


 「さっ、食べよう!」

 「「いただきま~す!」」

 「うぉぉぉ!うめぇ!茜、また腕を上げましたなぁ~」

 「それほどでもあるよ~」


 こっちは、幸せにやってるよ、沙弥。

 だから、安心してくれよな。


 「ご飯おかわり~!」

 「私もおかわり~!」


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ