東風(こち)吹かば こころのころも ふわり揚げ (1)
すいません、遅くなりました!
週末からずっとバタバタしてたもので、やっと書けました!
次回は、土曜日の更新です!
それでは、本編をどうぞっ\(^o^)/
☆☆☆☆☆
すいません!
8割方は書けたんですが、土曜日の内に間に合わなかったので、日曜日の夕方に更新にさせていただきます!
申し訳ないです!
☆☆☆☆☆
「篠宮さ~ん、お疲れ様でーす」
何をするにしても、まずは予定どおりにラボピットへ廣瀬さんを案内してから、篠宮さんを紹介しないと話が始まらない。
「あっ、お疲れ様です、白玉さん!そして、廣瀬さん、ですよね?初めまして!ラボピットで七班の担当をしています、篠宮です。よろしくお願いします。バギーや装備関係で何かあれば、遠慮なく言ってくださいね」
他の班のバギーの調整をしていたツナギ姿の篠宮さんが、手を止めて、歩き寄ってきてくれた。
バギー調整中は、いろいろ部品や工具があって、あまり近づかない方がいいかと思ったので、ありがたい。
「こちらこそ、お世話になります!新しく配属になった廣瀬です!よろしくお願いします!、、あの、以前どこかでお会いしたことがありましたでしょうか?」
深くお辞儀をした後、廣瀬さんが不思議そうに質問をしている。
「いえ、初めてだと思いますけど?あっ、名前ですか?」
篠宮さんも、一瞬訝しげに首を傾げていたのが、パッと明るい顔になった。
「はい、私の名前をご存知だったようですので、以前お会いしたことがあったのかと」
「いえ、間違いなく、初めましてですよ。実はシノブが先に、白玉さんと廣瀬さんがラボに来るって教えてくれていたんです。それで、お名前だけ先に知る形になってしまったんですけど、あれ?シノブはどこに行ったかな?さっきまで、そこにいたんだけどなぁ」
篠宮さんが、キョロキョロとシノブを探している。確かに、シノブの姿がない。
というか、それが普通なはずなんだが。
普通、サポートロボは、任務以外の時間は待機しているはずなのに、シノブは割りと自由にラボピットを歩き回っている。篠宮さんも、放任主義なのか、それが当たり前みたいになっているんだが、いいのだろうか?
「シノブさんですか?確か、サポートロボの?」
「そうなんですけどねぇ。おーい、シノブ~、どこ行ったー?白玉さん達が来たぞー」
三人でキョロキョロするけど、やっぱりシノブの姿がない。このタイミングで、待機しに戻ったのか?あのシノブが?
ビービー(警告音)
ん?ラボピットの壁沿いにあるバギー格納庫の一つで、突然ライトが点灯して、警告音を発し始めた。これは、シャッターが開く合図なんだが、誰も操作してないのに、なんでだ?、って、まさか?!
『ご注意ください。シノブ参ります』
ラボピットのスピーカー越しに、シノブの声が聞こえてきた。
あぁー、やっぱりきたかー。
佐倉博士の教えが炸裂するパターンだわ、これ。
グルグルグルグル(巻き上げ式シャッターが上がる音)
シャッターが上がりきり、件の格納庫内がパッと明るくなる。そこには、バギーが、、あれ?なんだ、あのバギー?初めて見るタイプだぞ?
普通のバギーよりも、シャープな見た目のバギーがそこにあった。フロントは、おそらく電子処理されたマジックミラーが発動していて、中は見えなくなっている。
バギーのエンジンが始動して、ゆっくり動き出した。
ちょっとエンジン音も違うな??新型か??
「あの、班長、あれもバギーなんでしょうか?研修で見たものと違うようなのですが?」
「いやー、俺も初めてみるタイプだ。なんですか、あれ?篠宮さん」
「あれは、新型のプロトタイプですよ。開発部からテスト用に回ってきたんです。にしても、シノブも、抜け目ないなぁ」
三人で話していると、新型のバギーが、俺たちの前に横付けした。
すると、バギーのボディがふわっと浮いて、斜め後ろにゆっくり羽上がっていった。
『二度目まして、かつ、リアルでは初めまして、廣瀬さん。七班専属サポートAIロボットのシノブです。以後お見知りおきを』
メイド服を着たシノブが、運転席から顔だけこちらに向けて、少しキザな雰囲気を出しつつ、廣瀬さんへハンドサインを送った。バイカーさん気分なのか、シノブ?
新型は、ハンドルがバイクタイプらしい。
そして、肝心の廣瀬さんは、理解が追い付いてないのか、ポカンとシノブを見ている。
まぁ、確かに、サポートロボが運転席からキザな挨拶してくるなんて、普通じゃないもんなぁ。
『おかしいですね。反応が予測と違います。班長。博士からは、ファーストインプレッション命だと教わっていたのですが、まだインパクトが足りなかったのでしょうか?』
「いやー、そうじゃないと思うぞ、シノブ。ねぇ、廣瀬さん?廣瀬さーん」
最初反応がなかったので、廣瀬さんの目の前で腕をフリフリしてみた。
「、、なんで、」
「ん?」
「なんで、メイド服なんですかっ!?サポートロボが、メイド服着てますよ、班長!?」
廣瀬さんが再起動したけど、驚くの、そこっ!?
あっ、いや、驚く方が普通なのか?
あれ、普通って、なんだっけ??
「えーと、一応、言っておくけど、俺の趣味じゃないからね?」
「もちろん私の趣味でもないですよ?でも、メイド服はマシな方じゃないですか?」
「確かに」
「確かになんですか!?」
「だって、一個前はチャイナ服だったし」
「アオザイ着てた時期もありましたよねぇ」
「あ、アオザイ、、チャイナ服、、サポートロボって、それが普通なんですか?」
やばい、廣瀬さんがひいている。
『いえ、コスチュームが変わるのはシノブだけの特権です。佐倉博士に選んでいただいた物を着ていますが、現在、出張されていますので、帰ってこられるまではメイド服が、シノブの正装です』
廣瀬さんが、再びポカンとシノブを見ている。
処理落ちした?もしかして?
「まぁ、そういうことなんだよね。開発者の佐倉博士の趣味で、なぜかうちのシノブだけ、コスチューム変わってくんだよね」
『博士からは、メイド服は立派な戦闘服だと聞いております。』
「シノブ、とりあえず降りておいで」
とりあえず、慣れって、こわいなと思った。うん。
『アクセプト。少々お待ちください』
シノブが、新型プロトタイプから降りる準備を始めた。
廣瀬さんは、隣でうーんうんと呻いているので、ちょっとの間、そっとしておこう。
にしても、新型か。
コンセプトからして、かなり違うな。
「新型は、三輪なんですか?」
「ええ、そのようですね。元々は、二輪を開発していたらしいんですが、やはりダンジョン内での安定性が問題になったようで、次点で三輪を採用する形になったらしいですよ」
「二輪から三輪ですか。てことは、見た目的にも、小回りやスピード重視のコンセプトってことですかね」
「そうですね。現行の四輪タイプと比べると、装備や汎用性の面では劣りますけど、その分加速や小回りなどの足周り特化をコンセプトにした設計です。あっ、そうだ。ちょうど相談しようと思っていたんですが、七班でテスト使用をお願いしても大丈夫ですか?」
「それは、もちろん、大丈夫ですけど、、ちなみに、あの屋根というのか、ドアというか、あれも何かの意味があるんですか?カッコいいのは、カッコいいんですけど」
「あぁ、キャノピードアのことですね。あれは、おそらくロマンですね!」
「、、はい?」
「開発部のロマンが詰まったキャノピードアです!おそらく、開発担当者のこだわりでしょう!意義は、私にはわかりかねます!」
篠宮さんが、ニコッと誤魔化してきた。
ここの特区は、佐倉博士しかり、開発部しかり、ちょっとズレてるタイプ多くない!?
いや、キャノピードア、カッコいいけどもっ!