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パラレル-魔人を滅ぼします  作者: 長瀬川
第一章
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入学編⑤

最近暑くなりましたね

「ご馳走様でした、と」


白哉はピンク色の容器に包まれた火那お手製の料理たちを完食した。今日も美味かった!


「なあそれ自分で作ってんのか?にしては弁当箱が可愛いくね?もしかして女子か?まあ白哉に限ってそりゃねぇか!がはははは」

「笑っちゃダメだよ仁。いくら白哉がバカだからって彼女ぐらいいてもおかしくはな…」

「おい、最後まで言いきれよ」


こいつらとは出会って1日しか経ってないはず何だが、既に俺の扱いが酷い。ぜってぇ後で締めてやる。つうかお前らも彼女いないだろうが!…知らんけど


「てかそんなんじゃねぇって、妹だよ妹。言ってなかったけど俺妹いんのよ」

「なんだ妹かよ。つか毎朝弁当作ってくれる妹とかこの世にいたんだな。うちの妹なんて家事すらやらないくせにいつも偉そうだぞ」

「ボクは姉がいるけど妹は居ないから2人が羨ましいな」


と2人は兄弟事情を話す。


割とみんな兄弟がいるんだな。


「でも俺の妹はキレるとやばいぞ、お前ら見えてたんだっけか?食堂で俺が女の子に顔面踏まれてたやつ」

「ああ、パンツは見えなかったけど金髪の子に踏まれてるところは見えてたぞ」

「あれ気持ちよさそうだったよねぇ」

「「ん?」」


ん?


「まあいいか。それでお前らが見たその金髪の子が紛れもない俺の妹の火那だ。キレると殺人を犯してくる殺人犯だぞ」

「いやあれはお前が悪いだろ、性犯罪者」

「でもあの子が妹ってことは同い歳になるよね?」

「俺は双子なんだよ。4組にいるから後で紹介するわ。あとちゃんと俺と違って真面目で常識人だぞ」

「常識ない事自覚してんのかよ」

「実際はどんな子なんだろうね〜」


などと会話をしていると、気付けば午後の授業が始まる時間へと近づいていた。クラスの生徒の何人かは訓練施設へと既に移動していた。白哉たちもそれに続くように授業へと向かった。



「よし!男子全員集まったな!午後はバルムの練習だ。これの効果は午前に説明したから省くぞ。これからお前らが扱うバルムはシルマに比べたら圧倒的に簡単だが、決して他人に魔法を向けない事。今日は戦闘訓練ではなく、扱いに慣れることが目的だからな。それじゃあこれからバルムを配布し、それを受け取った物から各自訓練を開始しろ!」


と高野が男子たちへとバルムを配布し始めた。やがて白哉にもバルムが配布され、高野から


「もし苦戦している生徒がいたら教えてやれよ?任せたぜ、問題児族族長さん」


と一言言い残し、下田秘書の方へと向かっていった高野を見ながら白哉はふと思った。


まあ俺はクラスの人より今は上手く扱えるし慣れてるから教える事ぐらい出来るけど、あの人は教官として今日1日生徒に教えるために、仕事しにきてんだなよな?


でもあの人いま男子を俺に任せて女子に手取り足取り教えてんぞ?え、あのボディタッチいる?あっちは下田秘書の仕事だよな?下田秘書めっちゃあんたの事睨んでるぞ?そういえば青春は学生の時しか出来ない云々って言ってたな。これはあれだな、女子高生にチヤホヤされたいが為にこの仕事引き受けたってわけだな?


白哉は悪い笑みを浮かべ、


「駅前での盗撮の仕返しじゃえろジジイ!」


とポケットから携帯を取りだし、女子生徒に必要以上なボディタッチをしている高野を盗撮した。それから白哉は普通に訓練へと戻り、端っこで魔法を連発していた仁と悠木の元へ向かった。



その後高野は満足したのか、こちらへ戻ってきて、男子全員がバルムをそれなりに扱えているかを確認した上でバルムを回収。今日の訓練は無事終了した。


訓練が終わり、制服に着替えてから教室へと戻る最中に、この後普通に授業が残っている事に気がづいた仁は


「なんで訓練の後に普通の授業があんだよ!」


とキレていた。


「そりゃ戦闘訓練を除けば普通の高校なんだから当たり前だろ」

「でも座学と訓練を逆にしてほしいよね〜」

「俺絶対寝る自信があるわ」

「俺は起こさねぇからな」

「流石に白哉は慣れてるだけあって余裕そうだね」

「まあそのうち2人やみんなも慣れるさ」

「くそ、スカしやがって!っこの!」


セリフと同時に仁は白哉に飛びかかった。そのせいでよろけた白哉は右隣にいた悠木の裾を反射的に強く握ってしまい、結果として道ずれという形になった。仁と白哉は廊下の床の上で取っ組み合いを始め、道ずれにされた悠木は床に強く頭をうち、少しの間意識が遠のいでいた。


「バカ、お前、なにすんだ!この!」

「バカは、お前だ、っろうが!」

「つーかなんでお前、こんな力強えんだよ!」

「お前より背が高い、から、なあ!」


とお互いに力ずくで上乗りの体勢を取りに行こうと組み合う


「2センチだけだろ!お、おい悠木!いい加減こいつを止めてく…って気絶してる!?」

「しかも魂っぽいのが見えてないか!?」


白哉は悠木に仲裁して貰おうと声をかけたが、()()()気絶していることに気が付き、2人は一旦じゃれ合いを辞め、天へと向かおうとしていた悠木の魂を連れ戻そうと必死に身体を揺さぶり声をかけた


「悠木!!頼む!!戻ってこい!また3人でエロを探求しよう!」

「行くな悠木!俺はお前が本当にドMなのかをまだ知らないんだ!…ってなんか寒くね?」


ふと、仁は辺りがひんやりしてきた事に気が付いた。


「あ、ああ。確かに寒いな、てかこれ魔法によるものだわ」

「魔法?だとしたら一体誰の…」


白哉はこの冷気が魔法によるものだと気づき、それを聞いた仁は魔法の持ち主を探すために周囲を見回そうとしたその時、


「…君たち。」


「「ひゃい!」」


悠木は目を覚まし、いつもより低く冷たい声色で2人に声をかけた。雰囲気と声色から悠木が怒っていることに瞬時に気が付いた2人は、つい変な返事をしてしまった。


「気絶してた人間の身体を強く揺さぶり、その上よくもボクの事をドMだといってくれたねぇ」


「ドMと言ったのは仁です」

「ちょ、おまっ!?」

「事実だろ!!大人しく非を認めろ!」


と人を売る白哉だったが、次なるヘイトは白哉へ向いた


「ねぇ白哉、ボクはなんで気絶してたとおもう?」


悠木は質問した。


「なんで悠木は気絶してたんだ?…それに大体いつ気絶したのかすらも分から…」


あれ、もしかして、俺が倒れる時に右手で何か掴んだような気がしたけど…それが実は悠木の制服を掴んでて、巻き込まれた悠木はそのまま床に激突し気絶。な、無くはないな、いやてか悠木が名指しで俺に質問してきてる時点で間違いなくそれだわ…


突然言い淀む白哉に仁は察し、悠木は再び疑問を呈した


「白哉?突然言い淀んでどうしたの?」

「す、すいませんでした。俺が原因でした!」


自分が原因だと理解したので、即効謝った。


「そう、分かればいいよ。あと、仁?」

「な、なんでしょう!」

「そもそも仁が白哉に飛びかからなきゃこんな事にはならなかったんだよ?」

「は、はい。申し訳ありませんでした」

「ほんとに、2人とも気をつけてね?」

「「申し訳ありませんでした!!」」


と2人は悠木に叱られ、美しいフォームで土下座して謝り、深く反省した。


「わかった、もう許すよ」


と悠木からのお許しを頂き、2人は顔をあげようとした時


「なんて言うと思った?」

「「…え?」」


突然の裏切りの様な言葉を聞き、パッと顔をあげた仁と白哉の視界には2人へ飛びかかろうと、既に宙にいる悠木の姿を捉らえていた。 やがて2人へと着地した悠木は床に倒れている2人の頭を掴もうとするが、仁と白哉はその腕をギリギリのところで押さえることに成功した。


3人の腕は筋肉を目いっぱい使っているせいか、細かく震え、均衡していた。


「な、なあ悠木?これはどういう」

「あ、あぶないぜ?こういうの。」

「はあ?どの口が言ってんの、こっちは頭打って気絶までしてるっつの!君ら2人も頭を強くうつべきでは!?」


いつよりかなり荒れた口調の悠木に一瞬戸惑った2人だが、頭は打ちたくないので必死に抵抗し、仁と白哉は悠木の腕を拘束したが悠木は氷魔法を匠に使い、自分の両腕を抑えている2人の腕を凍らせようとした。だが仁と白哉はそれに反応し、なんとか凍らされずにすんだ。そして魔法まで使ってくる悠木に2人は危機を感じ、走って逃げる事にした


「おい!魔法まで使ってきてんぞあいつ!」

「しかもあいついつもとキャラが全然ちげぇって!」


焦る2人は悠木が追ってきているかを確認するために後ろを向いた。もちろん追ってきていた。それも2人との距離は縮まる一方


「あいつ足早すぎだろ!やばい、このままだと追いつかれる!!」

「どうすんだよ!!今のあいつに捕まったら絶対気絶させられるぞ!?」

「この先に 俺らのクラスがあるから取り敢えずそこへ向うぞ!多分何とかなる!!」

「なんだよ何とかって!」


悠木が徐々に距離を詰めて来ている事に更に焦る2人はよく分からないが自身のクラスへと向かおうと、必死に廊下を走った。すると目の前の教室から中年の男の教師がバン!!と勢いよく扉を開き、「止まれ!!!」と大声で叫び廊下へ出てきた。2人は先生の前で緊急停止をしたが、慣性が働いたせいで、先生を少し追い越す形となり、止まることが出来た


無事止まった仁と白哉は思い出したかのように急いで後ろを確認すると、しっかりと悠木も止まっていて、かつ悠木は先生の怒鳴り声のお陰かまるで我に返るかのようにハッと顔を上げた。その顔の表情を見た2人はいつもの悠木だと見極め、安堵した。


が、次の瞬間3人の耳に大きな声が鳴り響く。


「ここに並べぇ!お前ら今授業中なのに何廊下でぎゃーぎゃー騒いでんだよ!!ああ!?お前らどこのクラスだぁ!?」

「「「…」」」


と教室のドアの前にドアと先生を挟むよう形で並ばされ、3人は怒鳴られた。


2組は高野がチャイムを待たずに訓練の授業を早く終わらせたため、他のクラスはまだ授業中であった。その事を思い出した3人は、心の中で「忘れてた…」「そういやそうだった」…と呟いた。そして仁は怒鳴っている先生の顔を見ようと、目線を少し上にあげた時にあるものが視界に入った。


先生を挟むが、ドア前に立っている事もあり、目の前の教室の中を少し見ことが出来る。そしてその少し見えたクラスの中に食堂で白哉の顔面を踏みつけていた美少女が目に入った。


「どこのクラスの生徒だって聞いてんだよ!!黙ってちゃわかんねぇだろ?その顔についてる口はなんのために着いてんだ!ああ!?何とか言ってみろやぁ!」


とチンピラみたいなことを言う先生は黙りこむ3人を見て苛立ち、右手を丸くし上に挙げた。その拳となった右手から1番距離の近い所にいた白哉へと振り下ろそうとした。が


「あれ白哉の妹じゃね?」


不意な仁の発言によってその拳は止まった。そして白哉は瞬間的にクラスが見える位置へ移動し、ドアからクラスを覗くように見渡した。


「おい!!お前らふざけてんの---「火那はどこだ?お、割と前の方にいんのな。よく見ろお前ら!あれが可愛いうちの火那だ!」」


いつの間にかドアと自分で白哉を挟む形となっていた事に気付いた先生は怒鳴ろうとするが、ガン無視してクラスを覗き、後ろの2人と会話を始めた白哉よって遮られてしまった。再び試みるも


「おい!いいかげんに---「白哉、お前が邪魔でみえねぇっつの。」」


「ああ、悪い悪い。ほれ」

「双子って言ってたけど全然似てねぇな!」


「おい---「先生ちょっとどいて。んーと、あれかあ!たしかに似てはないけどかなり可愛いね」」


同様に失敗した。そしてあろう事か金髪の男子生徒は自分にどけといい2人の後を追ったのだ。彼らの横暴に耐えきれなくなり、


「分かってくれて嬉しいよ俺!おーい火那〜弁当美味かった痛っ!!!」


ついに堪忍袋の緒かブチブチに切れた先生は3人の頭にゲンコツを落とし、教室の中へ向けて


「少し外す!その間お前らは自習だ!騒ぐなよ!?」


と指示してから3人を生徒指導室へと無理やり連れていった。


傍から見える先生のその姿は、まさに脱獄した囚人を捕え、再度牢へぶち込もうとする監修のそれであった




そして、生徒指導室へ連れていかれた3人は自分たちのクラスは2組だと話し、その後担任と学年主任も加わっての指導が始まった。


結果は頭を冷やせという事で、反省文の提出と一日の謹慎と言うものだった。





楽しめていただけたら幸いです




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