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パラレル-魔人を滅ぼします  作者: 長瀬川
第一章
4/11

入学編④

少し長いです

4月10日 何気ない朝


白哉はいつも通りの時間におきベッドの中でくだらないネット記事を読んでから起き上がり、制服に着替えながらさっき記事について思い出す。


今日読んだ記事の内容は高尾にある明厳神社みょうごんじんじゃにいる巫女さんついてだった。全国の中でも規模が大きく、神族と呼ばれる3つの家系によって代々支えられてきた神社で、遊佐ゆさ家、水上みなかみ家、天上院てんじょういん家からなる神族の娘は正式な巫女としてその神社に使えているらしい。


どうやらアルバイトも募集しているらしく、巫女服に興味がある人には人気の仕事らしい。そしてその神社へ行けば巫女服をきた女性に会えることから、巫女服の聖地として1部の界隈では有名なのだとか。


記事の製作者は大の巫女好きだったらしく、好きな理由をとんでもない文字数で綴っていた。


「巫女さんかぁ、アニメや漫画でしか見た事ないけど実際に存在するんだな。…しかし遊佐かあ。どっかで聞いたような名前してんでよなぁ」


巫女に興味を持ちつつ、遊佐という名前にどこか聞き覚えがあったが思い出すことができず、そのままリビングへと向かった。


「おはよ、火那」


リビングでエプロンを外そうとしていた火那に軽く挨拶をした。


「おはよう白哉。ご飯できてるから食べちゃお」

「おう、さんきゅ!ではいただきます」

「いただきます」


と2人は一緒に食事をとった。食べ終わったあとは白哉が食器を洗い、一通り朝の家事を終えた白哉と火那は学校へ出発するために家を出た。


外は春だってのに日差しが強く、スズメやら名前を知らない鳥たちの鳴き声がうるさいぐらいによく聞こえた。


「父さんはまた研究所籠り?」

「そうね、あの人1度気になることがあると寝る間も惜しんで集中しちゃうからね〜」

「研究バカって言葉は父さんのために作られた言葉なのかもな」

「かもしれないわね」



「それと白哉、はいこれ。今日から授業始まるし」

「ん?もしかして弁当か?」

「そ、作っといたから食べてね。残したら殺すから」

「残すわけないだろ。弁当箱だって残さねぇよ」

「それは残しなさい。」



などと会話をしながら少し歩き、横断歩道にて信号待ちをしていた時に「火那〜〜!火那〜〜!」という声が渡ろうとしている横断歩道の先から聞こえてきた。よく見ると昨日軽く挨拶をした藩間裕香まがきまゆうかがぴょんぴょんとジャンプしながら火那へと手を振り、名前を連呼していた。


なにあれ可愛い。俺にもやってくんないかな


そして信号が青になったので横断歩道渡り、裕香の元へと向かった。


「おはよ〜火那!それとお兄さん!!」

「あんた大声で名前呼ぶのやめてよ!恥ずかしいから!」

「あれ、もしかして名前忘れてね?」

「白哉だよね?ちゃんと覚えてるよ!あれ、火那?また胸大きくなったんじゃない?」

「や、やめなさいよ!それに一日でそんな変わるわけ無いでしょ!ちょ、ほんと、やめっ」


名前忘れてね?なんて早とちりしてしまった。それに俺の横で女子二人が百合世界エデンを展開してるし…なにやら興味深い話もしている。火那の胸がどうたらこうたら


だが!俺はたまには紳士である!妹の身体事情を兄が聞いてしまうのは、妹からすれば恥ずかしくて死ぬレベルだろう。パンツでさえ俺の記憶が消されそうになったレベルだし


そう考え白哉は先に行く事にした


「わり、俺先いくわ!んじゃな〜」


「…白哉?ちょ、ちょっと!助けなさいよ!」

「行っちゃったね」


突然走り去っていく白哉を見て2人は困惑した。




学校へ到着した白哉は自分のクラスへと向い、既に登校していた仁と悠木を見つけ声をかけた。


「2人ともおはよう。いい朝だね」


とクールに挨拶をしたのだが


「ん?おう白哉!お前頭は平気か?」

「おはよー白哉。頭は大丈夫?」


頭の心配をされた。こいつら嫌い!!


「なんだとお前ら!朝から人をバカにしやがって!」

「違う違う、昨日頭痛いとか言ってただろ!」

「そうだよ!記憶も曖昧だっていってたでしょ!」


そっちの心配ね。なんだ優しいじゃんこいつら。好きになっちゃった


もう元気いっぱいになったから平気だと伝え、その後少し会話を交わせばすぐにチャイムがなり、教室に先生が入ってきた。


「皆さんおはようございます〜。これから身体測定を行うために男女別々の教室へ移動してから、そこで体操着に着替え順番に測定を開始する予定です。測定が終わっていない前のクラスの生徒が何人か残っているはずですが、そのまま後ろに並んじゃって構いませんからね〜。それじゃあこれから向かいますので言うことを聞いてしっかりと着いてきてくださいね〜。特に後ろの3人〜?昨日は教室や食堂で大暴れしてたって話を色々な先生方から聞きましたよ〜。咲藤さとうくんと一ノ瀬くんも先生はマークしましたからね!」


「「「マーク!?」」」

「もうそれいいですから!!それになんで崇宮くんも反応してるんですか!」

「えへへ」

「褒めてません〜〜!!!」


先生に叱られ大人しく身体測定を行う教室へと向い、中へと入った。ちらほらと1組の生徒が残っているのが見えた。



自分の番が終わり、全ての結果が出たその紙をまじまじと見ていた。


「んー、172cmか、卒業までに190cmぐらいは欲しいよなあ。」


高身長はモテるらしいからな!!


「俺は174だったぜ。高1にしては高い方なんじゃね?俺ら」

「ボク168cmだったよ。男はやっぱり170は欲しいよね」


と2人も終えたらしくそれぞれ自身の身長を語った。


「ところでおふた方は「女子の身体測定」という言葉は素晴らしいと思わないか?」


突然切り出した白哉に2人は返事をした。


「なんだ唐突に。そんなの当たり前だろ」

「白哉の事だから覗きに行こうって事なんじゃない?」

「そういう事だ相棒。男子の身体測定に比べて女子は3サイズの測定がある分長い。今から行けばまだ間に合うはずだ。どうだ、行ってみないか?」


と2人を誘う。


「いくよ」

「お、俺はいかねーからな?昨日のことも噂されてるみたいだしよ(訳:ああ、俺も行くぜ!!)」


例のごとく悠木は即答し、仁は強がったいた。白哉は仁のセリフを脳内で勝手に翻訳、都合のいい解釈をした。


なにかコソコソしていた3人を見たクラスメイトはすぐに、3バカがなにか企んでます!先生を呼びに行った。



「よし、それじゃあ向かうか!楽園へ!」

「いこう!」

「だ、だから俺は!(訳:おう!着いていくぜ!)」


と身体測定をしていた教室を出ようと扉を開けたその先に、()()()先生が立っていた。


「どこへ行こうとしていたんですか〜〜?」


と優しい口調だが内心では怒っている、そんなような声色をしていた


「あ、え〜っと、そう!普通に教室に戻ろうとしてたんだよ!!身体測定も終わったし、大人しくさ!大人しく!」

「俺たち今朝怒られたばっかですよ?やだな〜先生ったらもう!」

「ボクたちを少しは信用してくださいよ〜」


と3人はなんとかそれっぽい言い訳を口にした。すると先生は


「分かりました。すぐ疑ってしまった先生が悪いですね。先生はこれからはもっと生徒一人一人を想い、先走らず、そして冷静に生徒たちに寄り添って行こうと思います。」


普通に怒られると思っていた3人は先生の予想外の反応に少し戸惑いら3人は先生のその優しさを知り、そんな人を誤魔化そうとしていた事を悔い改め、


「「「せ、先生!俺「僕」たちもう悪いことしません!」」」


と先生に抱きつこうとした。


「で、本音は?」

「女子の身体測定を覗きに行こうとして…っあ」

「お、おい白哉!?」

「し、しまった!先生が優しすぎるから何言っても許されるんじゃないかって!!」

「確かにあのバブみはしょうがないよ。あんなの誰でも落ちてしまうさ」

「ふふ、3人とも放課後職員室へ来なさいね。」

「きょ、拒否権は、」

「いいですね?」


「「「…はい」」」


白哉は何とか粘ろうとしたが、先生のとんでもない威圧に圧倒され、大人しく従うようにした。そして優しい人間を怒らせるのはなるべくやめようと心に誓った。



そして男女共に()()()()()身体測定を終え、俺たちはいま校舎の裏にある訓練施設で実践訓練をするために集まっていた。施設は広い体育館みたいな建物で床は外とおなじ土の地面、天井は開け閉めが出来き、どれも一般的な魔法であれば耐えれる頑丈さを兼ね備えている。生徒たちには怪我の緩和のために訓練用の分厚い生地でできた防護服を着用させ、教官はこれから扱う戦闘装備の説明を行った


教官は初回という事もあってか第2支部のリーダーである高野とその秘書である下田しもだめぐみが直々に担当した。


なんでここに支部長が!?支部長が一日教官なんて聞いてねぇぞ!間違いなく絶対ちょっかい出してくるだろあいつ


と心の中で嘆いた。それから高野による装備の説明が始まった


「これからお前たちには2つの装備を扱ってもらう。1つは魔力消費簡易デバイスであるバムル。そしてもうひとつは対魔人戦闘用装備のシルマだ。

・まずはバルムから説明をしよう。こいつは見ての通り手のひらサイズで長方形のコンパクトな装備だが少しの魔力で魔法を発現させることが出来る優れものだ。勘違いしないで貰いたいのが、バルムはあくまで魔法消費量を減らすものであって、魔法を強化するものでは無い。単純にいえばバルムを利用すれば、利用しない時に比べて同じ火力の魔法を多く発現できる様にしてくれる装備という事だ。

・次にシルマについてだ。こいつの強みは高い機動力を得ることが可能な点にある。起動方法は簡単で、魔力をシルマに注ぐことによって起動する。注ぐ量は個人差があるが一般的な人間の平均体内魔力量の3割と言われているな。

起動は簡単だが、扱いの癖が強く、完璧に使いこなすにはかなりの時間を要することになる。まあ、それは今日実際に使ってみて実感するだろうがな。さて、これにて説明は終了!下田、あとの説明はよろしく!」


高野は説明を終えて満足したのか、予定では最後まで高野が行うはずであった説明を突然下田へ丸投げされ、下田はキツく高野を睨んでからこれからの流れについての説明を行った


「ではこれからの指示は魔人対策第2支部代表である高野に代わり、この下田が担当させて頂きます。これからの皆さんの予定としましては、午前中に男子はシルマ、女子はバルムを扱い、午後はそれを交代し、男子はバルム、女子はシルマを扱って頂きます。分からないことがあれば随時私や高野に質問して頂いても構いません。それでは指示通りに装備の着用を行い男子は高野、女子は私の前へ集合して下さい。」


と2人の説明が終わり、クラスのみんなはそれぞれ指示のあった装備を着用し各々の場所へと集合。本格的に実践訓練が開始された。


「よし!全員集まったな!んじゃまた説明するぞ。シルマは魔力を注ぎ、その魔力を燃料へと変換させることによって起動される。それじゃあまずは魔力をシルマ流してみろ。シルマ全体に浸透させるようなイメージでな。そうすると突然シルマに魔力を流せなくなるときが訪れる。それが燃料満タンの合図だ。まずはそこまでやってみろ」


高野の指示により男子たちはシルマへ魔力を注ぐ。何名か苦戦していたが、最終的にはみんな成功したらしい。そして白哉は使い慣れているのでそれらを難なくこなす。


「よし、全員出来たな。俺はここから少し離れた場所へ移動する。お前たちはシルマを起動させ俺のいる所までまずは移動してみろ。手段は問わん!でははじめ!」


そうして男子たちは各々起動させ、高野のいる方向へ向かおうとするがこれが思った以上に上手くいかない。まず歩こうにも両足の力の調整が難しく、歩くことすら出来ずに転んだり、勢いよく高野の方へ飛んでみるも胴体や足、腕の出力の調整が上手くいかずにそのまま壁やら地面やらへと衝突。といったカオスな状況が繰り広げられていた。


そんな中白哉は指示通り高野の元へ到着。


「お、さすがだな問題児。1等おめでとう!」

「誰が問題児じゃ」

「担任の先生から色々聞いたぜ〜?」

「うっ」

「まあ楽しんでるなら何よりだな、青春は学生のうちでしか出来ないからな!ソースは俺!がはははは」


と、笑う支部長が。


なんか今日の支部長テンション高くて暑苦しいな。どうせクラスの女子に「あれがあの高野さん!?きゃ〜〜!!」とか言われてたからなんだろうな。あと先生め、チクリやがったな。後で恥ずかしめを受けさせてやるからな!

…お?


すると奥の方で苦戦している仁と悠木を発見したので、そちらへ向い


「怪我とかしてねぇかー?」


と一言声をかけた。


「いんや全然。でもマジで調節がむずかしくてさ、まともに扱うなんて到底無理だぞこれ」

「白哉はすごいね、もう完璧に使いこなしてるよね」

「まあ俺は実践で使ってたからな、それがでかいな」

「実践?それにあの代表さんと仲良さげに話してたりしてたけどもしかして白哉はどこかに所属してるの?」

「そうだな、第2支部に所属してるよ」


と2人に打ち明けた。


「まじかよ、お前はただのバカだと思ってたのに…実際は戦闘が強いバカ、略して脳筋だったって訳か」

「お前いま何処を略した?」

「白哉は大地が割れ天地がひっくり返っても治らないバカだと思ってたけど実際は大地を割って天地をひっくり返すタイプのバカだったんだね」

「何言ってんの?」


と食い気味にツッコむ。


いつもノリのいい2人はノリがいい故にたまに俺の敵になる。でも言い方もっと他になかったのん?



その後みんなシルマの扱いに苦戦し、ふと気づけばチャイムがなっていた。シルマを経験した男子たちはかなり疲労しており、それを見た女子達は彼らに向けて


「だらしないぞ男子〜」

「手をかそうか〜?」


と優しく声をかけた。男子とはそれはそれは単純な生き物で、女の子達から声を掛けられれば元気になってしまうのである。一言も喋れないぐらい疲労困憊だったそんな彼らの口から言葉が漏れ始める。


「彼女たちが天使に見えてきたよ」

「僕らがボロボロの時に優しい言葉をくれるなんて、そんな事されちゃ意識しちまうだろ…」

「なんか俺もっと頑張れる気がしてきた!」

「うおおおおお、カッコイイとこ見せてやるぜぇぇえ!」

「ぼ、僕は一ノ瀬くんに看病されたいな」

「ひっ!な、なんか寒気が」


いつも通りな感じだったが、白哉はその中でひとつ気になる事があり心の中で独り言を呟いた


ほう、どうやら悠木狙いの男子がいるらしい。まあこいつ髪長くしただけで女の子にしか見えなくなるもんな。俺だってたまに女装させて見たいって思う事あるし、後で作戦立てておくか。


それから元気になった男子を見た女子一同は「男子ってホント単純だよね〜」「3バカに影響されたんじゃないの?」

「どさくさに紛れて襲われそうだし、教室戻ろ〜?」


と急に冷たくなりそのまま教室へ戻って行った。去っていった女子たちの言葉を聞き、男子達はあるキーワードを見つけ、そちらを一斉に睨んだ。キーワードはそう、3バカ


「な、なんだよお前ら、仲良く行こうぜ?」

「そ、そうだぜ、争いは何も生まないって」

「ぼ、ボクも標的なのこれ…?」


突然標的にされた3人はみんなを宥めようとする。が、しかし疲労困憊かつ女絡みで得た怒りは男たちを獣へと変貌させる。言葉では止められなかった



こうして男子達は内紛した、結果は元気かつ戦闘能力が高い白哉がいる3バカの勝利。みんなはボロボロになりながらも教室へと向かった。そして昼ご飯をたべ、午後の授業を迎える。

シルマはパワードスーツみたいなものです




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