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パラレル-魔人を滅ぼします  作者: 長瀬川
第一章
3/11

入学編③

暖かい目で見守ってください

白哉は再び気絶から目を覚まし、辺りはオレンジ色に染まっていた。


「おう、目ぇ覚ましたか白哉」

「おはよ白哉。目覚めはどうだい?」


と起きるまでいてくれた仁と悠木とは気がつけば下の名前で呼び合う様になっていた。2人には詫びという形で飲み物を奢った。


その後悠木からあの変態的な行動の結果が、実は外からじゃ人が多くて見る事ができなかったからせめて何色だったかだけでも教えて欲しいと言われたが、白哉は火那のパンツ事情を言いふらしそれが本人にバレた時間違いなく殺されると思ったので、「思い出そうとすると頭痛に襲われて思い出すことが出来ない」と言い誤魔化した。やがて2人と解散し、各々は帰路に付いた。


「っつ、まだちょっと頭痛えな。でも火那にはまじで悪い事したよなあ」


あの時の事はかなり反省している。いくら妹だと言っても年頃の女の子のパンツを不可抗力と装い、見たのだから


「火那の好きな甘いもの買ってかえるか」


お詫びとして火那の大好きな甘味を買うために駅前のケーキ屋にむかった。その途中にお金を下ろそうとコンビニへ寄ろうとしたが、コンビニの入口付近で1人の少女が男4人に絡まれてる現場に遭遇した。男と男の隙間から見えたその少女は白い肌に白い髪の毛を持ち、まるで「白」を擬人化したような見た目をしていた


「もしかしてあれがアルビノってやつか?そうなら初めて見たな。アルビノって珍しいらしいしあの子顔も可愛いんじゃ、そりゃ男なら放っておかないよな」


と真っ白な少女をみて呟く。最近色んな場所で行方不明者が出てるという情報もあったので、一応()()()を兼ねて近場のケーキ屋ではなく家から少し離れた人が多い駅前まで来ていた白哉は一見ナンパに見えるそれを陰から見ていた。


仮に男4人が少女の友達であるなら出る幕はないが、どうやらそうでも無いらしい。

4人のうち1人が怒鳴りだし、もう1人は腕を掴んで無理やりどこかへ連れてこうとしていた。かなりヤバそうな状況だったので急いで近づき声をかけた。


「あの〜すみません。お兄さんたちはその子をどうするおつもりなんですか〜??」


威嚇させないように丁寧な言葉を使ってみたが、それを聞いた男たちは目付きを鋭くし、こちらへと視線を送ってきた。ついでに少女もこちらを向いて、何か言いたそうに口をパクパクさせ、どうやら状況が掴めていない様子だった。


それを見た白哉はかわいい。なんだあの生き物。是非飼わせて頂きたい!!


と考えていた矢先、可愛くない男たちから


「あ?」

「何このガキ?」

「まさかこの女の知り合いか?」


と見た目通りのガラの悪い口調のセリフで返された。まあそんなことは気にせず白哉は言葉を続けた


「そのまさかなんですよって言ったらどうします?」


白哉の発言に男たちは1拍おいてから、


「…なら都合がいいな、俺たちの服弁償してくれよ。この女とぶつかった時にコーヒーかけられちまってさあ、高かったんだぜこの服〜。金額なんと40万!」

「しかもこの女詫びもなく俺達のこと無視しまくっててさあ。あんまりにも無視決め込むもんだからちょっと痛い目見せようと思っただけなんだよ」

「俺ら悪くなくね〜?」

「まあなんでもいいからさボク。この女があんたの連れなら代わりに早く弁償代よこしなって。ほら」


いやめんどくせぇ…大の大人がそんな事で寄ってたかって女の子や高校生の俺に金せがむなよな。それにその服40万って嘘ついて単純に金取ろうとしてただけだろ。ついでにその子が喋れなくなってんのはたぶんお前らが変にビビらしてるからだぞ。その子目線に立ってみろ、怖わくて声なんて出せないだろ


なんだか急にアホらしくなった白哉は、大人気ない男たちに大人気ない対応を取る事にした。


「そんなに金が欲しいならなあ!てめぇらの股間に着いてるもん1個売ってこいやあ!!!」


と4人の股間を勢いよく蹴り、その隙に少女を自分の隣へと誘導し、股間を押え蹲る男4人に対してそのまま説教を開始した


「大の大人が女の子1人に寄ってたかって何してんだよ!だいたい汚れたら困る服を街中でわざわざ着て歩くってんなら家を出た時からその服が汚れるありとあらゆる状況を想定して汚さないように努力しなきゃってぐらいの覚悟を持っとけや!てめぇの自業自得に女の子巻き込んでんじゃねぇぞ!しかも力ずくでとか---「シヤ!!!!!」---ん?」


突然後ろからかなり大きな声でシヤ!という叫び声により、白哉の理不尽な説教は中断された。そして白哉はその声がした方向へと体を向け、その声の主を見た時に思わず、へ?と気が抜けるような声を上げてしまった


なぜならそこに居たのはさっきまで俺の隣にいたはずの真っ白な少女だったからである。


「どゆこと??」


白哉はシヤと叫んだ目の前の少女を見て思考を巡らせた


あれ、あの子さっきまで俺の隣にいなかった?説教に夢中になっていたせいで後ろに下がっていた事に気が付かなかったのか?それにシヤってなんだ?俺の知らないどっかの国の言語か?


と色々考えていたが、自分の着ている服の裾が引っ張られていることに気が付いきその方向に顔を向けると何故かそこにはさっきまで目の前にいたはずの少女がそこにはいた。


なるほどね、完全に理解したわ。これ瞬間移動だわ!一人二役を演じて俺を楽しませてくれてるんだな!?と白哉は白哉は自信満々気に推測してみたり。


……いや、よく見たら2人居たわ。なに、いくら何でも似すぎじゃないか?似てるってレベルじゃなくてもやは同一人物じゃねえか。どうなってんの?双子なのか?最近の双子ってすげぇんだな…


と感心していた最中に2人はなにやら会話を始めていた


「シヤ!平気!?」

「う、うん。平気だよ姉さん。」

「良かったぁ。コンビニの前に居ないと思ったらその先でシヤの周りに変な男達が蹲ってるし1人は叫んでるしでびっくりしたよ〜。それでこの人は?」

「この人が助けてくれたの。怖い人たちから」

「そ、そうなのね。あの、私はシナと言います。この度は妹のシヤを助けて頂いてありがとうございました」


と、お礼を言われてしまった。それにしても声まで似てるなんてな。でもこんな真っ白な双子美少女にお礼言われちゃあテンションあがっちまうな!!


そして上がったテンションのまま返事をしてしまった


「まあ治安維持は仕事のうちだからな!!いつもの事よ!!」

「は、はあ。でも本当にありがとうございました。ほら、シヤも」

「えと、あ、ありがとう、ございました」

「いえいえ!俺はこの後この4人の片付けが残ってるし、駅前付近は変な人多いから帰る時は気を付けろよ〜!」


と言い残し別れた。まあ後片付けっつっても道の隅に移動させるだけだけどな


そんなこんなでコンビニに戻りお金をおろしてからケーキ屋へ向い、いちごのショートケーキとガトーショコラ、ゼブラにチーズタルト、焼きプリンを購入し家へと向かった。



無事我が家へ到着し、玄関のドアを開け


「ただいま〜」


と一言。玄関には火那の靴だけあったので、今日も今日とて父さんは遅くまで仕事らしい。そして買ってきたケーキを冷蔵庫に入れようとリビングへ向かうと、なにやらいい匂いが鼻をかすめ、それにお腹は反応しぐ〜っと鳴った。

火那が夕飯を作ってくれていたんだろう。火那は料理が上手く、味も絶品なので、毎日ご飯を楽しみにしてる。そして今日の献立はなんだろうと考えながらリビングのドアを開けて中に入った。


「火那、ただいま。ケーキ買ってきた」

「……おかえり」


火那は普段自分の髪を弄らないのだが、料理をしている時はその金色の髪をポニーテールへとフォルムチェンジ、そしていつもなら「ご飯出来たよ〜」「おかえり!」といった明るいテンションで話しかけてくる。だが今日の火那はあからさまに声のトーンが低かった。


これはあれだ、俺でも分かる。これは怒っている。


学校でしてしまったことを思い出し、心の中で再び反省した。そして白哉はケーキを机の上においた後両手を床につけ、ある体制を取った。


よし、誠心誠意心を込めて謝ろう。許しが貰えるまその日まで!


「火那、今日はほんとにすまん。あんな事をした手前都合がいいと思うかもしれないが、もう二度とあんなことはしないと誓う!!ほんとに!!!もう!!!二度と!!!しません!!!すいませんでしたあああああ!!!!!」


となんとも美しいフォームで土下座をする。東西南北天上天下どこから見てもそれは美しい土下座であった。


「…」


ひなの反応がなかったのでもう一度


「ほんとに!!!もう!!二度と!!しません!!!すいませんでした!!!!」


「わ、分かったから。そんなに謝るならなんであんな事したのよ。」


次は反応してくれたが、これまた答えにくい質問をされてしまった。


「そ、それは、」


言い淀んでしまった。白哉は脳内で正直に行くべきか黙っておくべきか暫しの葛藤の末に言おうと決めた。


しかたない…ここはもう正直に言おう。


「男子の妄想を叶えてくれる女子が火那だった」

「はぁ?ご飯抜かれたいの?」

「ごめんなさい。ほんとごめんなさい」


正直に言ってみた結果、まずい事になった。火那の料理は俺の日常の中でもかなり楽しみにしている物のひとつなのである。あんなに美味い料理は他で補える場所のが限られてしまうレベルなのだ


「はあ、もういいわよ、あんたのバカは大地が割れ天地がひっくり返っても治らないんだし。それにそんなんでどうして頭がいいのか本当になぞよね。全国の勉強できない人に謝れってのよ」


火那は褒めてるのか貶してるのかわからないセリフを吐きつつなんだかんだ許してくれた。


これで晴れて一件落着。その後一緒に夕飯を取り、俺は火那が作った夕飯を口に頬張り完食。食後は紅茶とケーキを用意し雑談を交わしながらたべた。


「そうだ、高野さんから連絡きてたよ?」

「支部長から?なんて?」

「夕方駅前で男の人4人を蹴りあげて怒鳴りつけてたそうじゃない」

「見られてたのか…」

「ほんと何してんだか、で?何があったのよ」


俺は事の一連を説明し、シヤとシナ姉妹についても話した。


高野さんと呼ばれる人は父さんと仲が良く、魔人出現による被害を抑えるために軍と協力して設立された魔人対策本部の第2支部のリーダーである。


魔人出現以来、魔人対策本部は全国から魔人を討伐するために戦ってくれる魔法士を募集し、全国に支部を設立した。本部にある魔人対策研究科研究員代表である父、崇宮刀利たかみやとうりのコネもあってか俺と火那は8歳の時から訓練に参加することが出来た。


支部は全部で10支部存在し、全国各地に配置されている。ちなみに魔人戦闘訓練校である第1から第10高等学校はその各番号の支部の5km圏内に位置している。また、魔人出現時には町中に警報がなり、それぞれの支部の隊員たちが対処にあたるというものになっている。さらに隊員の中でも特別魔力量が多く、かつ戦闘能力が極めて高い人間は特殊戦闘部隊レギオンへと配属され、レギオンは各支部に1部隊ずつ存在。各所属人数の平均は6人である。支部の近くに訓練校があるのはレギオンの中に学生が多いので、授業中でも支部からの命令を実行しやすいという事が理由である。


白哉と火那は第2支部のレギオンに所属してたが、配属当時からよく1人で突っ走るが無駄に戦闘能力が高い白哉の扱いに困った高野は自分の支部のレギオンを2部隊化し、第1部隊の迷惑にならないように行動する事を条件として白哉をレギオン第2部隊隊長という役職を与え、新たに迎えた。ついでに、白哉のお世話係として合意の元、火那もそちらへ配属された



「真っ白な双子かぁ、私もみたかったなぁ」


と例の姉妹に興味津々な火那


「しかも声もそっくりなわけよ、すげぇ神秘的な双子だったぞ」

「神秘的な双子ねぇ…」


俺の言葉を聞いて、火那は1拍置いてから何かに気が付いたような反応をしていた


「そういえば私たちも双子なのに全然似てないわよね」

「そりゃ似てない双子もいるだろ、あの姉妹が異次元ってだけで。世間的には双子は似るものって言われてるけど、実際俺ら見た目は似てないしそういう事もあるんだろうよ」

「それもそうね。」


と火那は頷いていた。


「そうだ、お風呂湧いてるから先入っていいわよ」

「あいよ〜。って一緒に入らないのか?」

「…反省してんの?」

「はい、すいませんでした。」


風呂が湧いてると言われたので真顔で定番の冗談を言ってみたが、見事一蹴されてしまった。


風呂から上がり、リビングにいた火那に「あがったぞ〜」と報告。それから自室へ向かい高野に電話をかけた。


「--お、どうした崇宮兄。なにか事件か?」

「支部長。俺が駅前で起こした騒動、なんで知ってたんだ?」

「あー、あれか。俺もあん時あの場所にいたんだよ。そしたらなんか騒がしいから行ってみたらお前が大人4人の股間蹴りつけて意味わからん説教し始めたもんだから、おかしくって笑いながら見てたわ!がははは!!」

「たかっさん…」

「動画もあるぜ?他人を映さないようにお前だけ拡大して撮ったやつ!面白いからほかのレギオンのヤツらに見せてやったらみんな笑ってたぜ?」


それで火那は知ってたのか。にしてもいい歳したおっさんが今どきの女子高生みたい拡散方法すんなよ。しかもちゃっかり配慮してるし



「そうかそーですか。そんなことしてたんですか!あー俺きれちまいそうだわ!反抗しちゃおっかなあ!」

「いつもしてんだろ、お前の態度は本部でも話題になってんだぞ。上司へのタメ口や作戦無視して1人で特攻。誰がお前みたいなやつの面倒見てやってると思ってんだ。世が世なら殺されてるぞお前。少しは反省して俺に感謝しろよな。んじゃ切るぞ--」



「…はい、反省します」


と正論パンチをくらいどこにも繋がっていない携帯へ言葉を零した。俺だって意識すれば敬語ぐらい使えんだぞ。先の4人に使ったしな。でも敬語使うとなんかむず痒くなるんだよなぁ



まあなんだ、明日の準備して寝るか。明日から授業あるらしいし。


そして白哉はリビングでテレビを見ていた火那に「寝るわ!!」といい、ベッドに潜り込んだ。


「今日はなんか疲れたなあ、精神的にも物理的にも。顔まだヒリヒリするわ」


と小さく呟き1日の出来事を色々と思い返す内にいつしか眠りについていた。


可愛い双子に愛されたい。

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