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とある研究員の書記

ここで魔王に渡された書記を挟みます。


ちなみに今日の執筆はここまでの予定です。5/3

 王がまたくだらないことを言い始めた。なんでも別の世界から異世界人を召喚し、その知識や技術を使い国を発展させようと言い出したのだ。


 確かに今の国の科学技術ならば異なる世界から人を召喚することも理論上は可能なはずだ。だが、この国は野蛮な生活を送る他国と比べたら別次元ともいえる進歩をしている。机上の空論のような考えで異世界人を呼び込む必要性すら感じられない。いつもの王の癇癪のようなものだ。わざわざそれに付き合わされる俺の身にもなってくれ。むしろ俺が王になればどれだけ国が発展することか。




 異世界人の召喚に成功した。進歩した化学は魔法のようだというが、本当の魔法というものを思い知らされた。魔に魅入られたような素晴らしい人智を超えた力。俺はそれを魔力と名付けた。幸い召喚された本人はその力の使い方をなんとなくでしかわからないといった。


 ふざけるな。その力があればどんなことができると思っているんだ愚か者め。そんなに使いこなせないのならば俺によこせ。その力は俺にこそふさわしい。




 研究に研究を重ねた結果、実験体にしていたネズミに魔力が宿った。最初は勇者の髪を、そして血を与えることによって他のネズミを圧倒する力を手に入れたようだった。だが凶暴性が増しほかのネズミを食い殺してしまっていた。今後の課題は凶暴性を抑え込むための手段を考えることだ。




 さらなる研究結果で、新鮮であればあるほど強力な力を得ることができると判明した。しかし、依然として課題を克服できてはいない。何がダメなのだ。異世界人にしか扱えない力などあってはならない。その力はいずれ俺のものになる力だぞ。




 異世界人が世界中を旅するなどとふざけたことを口にする。科学の発展のためのモルモット風情が、お前は黙って俺の指示に従っていればいいものを。もうすぐなのだ。もうすぐでその力が俺のものになる。




 モルモットがあまりにも口答えしてうるさすぎたから一思いに剣で切り殺してしまった。王には謀反を立てていたと説明すれば信頼されている俺を信じるはずだ。だが問題は勇者の魔力だ。研究通りなら日がたつごとに遺体から魔力は零れ落ちてしまう。やってしまった以上これしか方法はない。勇者の血肉を喰らい、その魔力を俺のものにするしかない。




 素晴らしい力だ。何でもできるような全能感。これが魔力か。なんと素晴らしい。まさに俺にふさわしい。今までモルモットに宿っていたことこそが間違いなのだ。記念に妻と娘を犯してやった。俺の魔力を分け与えたたった二人の肉親には俺の側近として末永く仕えてもらうとしよう。無能な王など必要ない。俺が王。いや、神だ。




 俺は神なんだ。なのになぜこんなにも腹立たしいんだ。体中から鱗が生えてくることも、醜い妻が粗相をすることも、平気な面で魔力を扱う娘も。何もかもが腹立たしい。そうだ俺は神なんだ。誰よりも高く、孤高な存在だ。虫けらどもを見渡せるあの山こそ俺の居場所にふさわしい。俺に並ぶ者はなく、誰よりも優れた俺だけのための力だ。俺を脅かすものなどあってはならない。異世界召喚など二度と行ってはならない。王の隠した資料は見つからないが、見つからないのならないものと同じだ。俺の持つ資料を破棄してしまえば俺だけが神なんだ。








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