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乙女の好みは様々よ?

2018/5/14に【没ネタ】乙女の好みは様々よ? の活動報告として投稿したものです。


【あらすじ】


 わたくしの婚約者はこの国の第一王子。王族らしく素晴らしく容姿の整った王子です。第一王子であっても、彼は側室腹の王子なので王太子ではございません。わたくしとの婚約は後ろ盾の弱い国王が整えた縁談です。婚約を受けた時にはまだ幼くて、恋など知りませんでした。ですから、政略結婚であってもやっていけると思っていたのです。

 そんなわたくしにも恋する方ができました。


出会いは……あら、聞きたくない?


 では先に進みますね。愛しいあの方に告白だけでもしたい。そんな思いで王妃様に婚約白紙を相談したのですが、王妃様も困ったようにムリだとおっしゃります。王子から婚約白紙としてくれることを願うばかりです。

 そんな祈りが届いたのでしょうか。王子が恋をいたしました。わたくしと違う女性と。


 もしかしたら?


 期待に胸が高鳴ります。




【小話】


 ごきげんよう。皆さま、どうやらわたくし、断罪されているようでございます。

 今は貴族たちの社交の場である茶会の席です。もちろん、数か月後に控えたわたくしと側室腹の第一王子の結婚を事前に祝う会でございます。事前に祝うなんて、親しい仲なら嬉しいですが予行練習的なものなのだから、退屈ですわ。


 王妃が側室の王子である婚約者を幅広く披露するために設けた席です。

 それなのに、わたくし何故か憎悪に満ちた目で睨みつけられています。


「どうなさったのですか?」

「とぼけるな! この性悪女め!」


 唾を飛ばす勢いで怒鳴る婚約者にちょっと引いてしまいました。お顔がね、彫刻のように整っていてとても美しいのですよ。それなのに、唾を飛ばすなんて。ちょっと興ざめです。これならば彫刻の方がいいかもしれません。


「何のことでしょう?」

「お前の悪行はわかっているんだぞ」

「悪行……」


 え、もしかしたら彼をうっとりと見つめていたことがバレましたか!?

 誰にも気がつかれないように、注意しておりましたの。これでも気の進まない相手との結婚であってもそこは貴族の娘。わたくしだって理解しております。でも、この恋心は抑えきれないのですよ。


 わかります?


 愛してもいない相手と結婚することが決められた直後に彼との出会いがあったのです。逞しい腕に抱かれて、わたくし、すっかりのぼせ上ってしまいました。婚約してしまったことをどれだけ後悔したことか。


 ですがそこらにいる貴族との婚約ではございません。確かな後ろ盾のない王子を支えよと国王陛下が整えた縁談でございます。


「お願いです、彼を、殿下をあなたから解放してあげて!」


 誰でしょう?

 この令嬢、見覚えがありませんわ。きちんと招待された方ではないみたいけれど、大丈夫かしら。奥から護衛騎士たちが血相を変えて集まってきています。


「俺たちは愛し合っているのだ。お前に邪魔されない!」

「……え、愛し合っている?」


 わたくしは驚きに手にしていた扇子を落としてしまいました。淑女らしからぬ失態ですが、それだけ衝撃を受けたのです。


「殿下はわたくしとの婚約破棄を望んでいるということでよろしいですか?」

「当然だ! 性格の悪いお前と結婚などできるか!」


 なんという嬉しい言葉でしょう。

 こちらから破棄はできないのですが、殿下からの申し出ならできてしまいます。しかもここは茶会の席。目撃者がたくさんおります。握りつぶすこともできません。


「王妃様」

「仕方がないわね。では婚約破棄の手続きを取りましょう」

「それでは、わたくしも恋するお方に告白しても許されるのですね?」


 王妃様に確認します。大事ですからね。実は王妃様には婚約白紙を求めて相談していたのです。ただ、わたくしたちの婚約は国王陛下が温情として整えているので王妃様と言えども難しかったのです。ですが、殿下が婚約破棄したいというのであれば実現可能です。


「ええ。あなたの思い通りにしなさい」

「ちょっと待て! お前は俺のことが好きだったんじゃないのか!」


 怒鳴られて、驚きに目を見開きました。


「えっと? わたくしの態度にそんな勘違いをする要素がありましたか?」

「女は大抵俺の顔が好きだろう!」

「いいえ? ああ、申し訳ありません。正確に言えば、100人中99人はそうだと思います。ただ、わたくしの好みとは殿下は離れておりますのでご容赦くださいませ」


 殿下は愕然として立ち尽くしている。どうしようかと逡巡し、正直に述べることにした。恐らくわたくしの好みが特殊であると気が付いてくだされば、衝撃も和らぐことでしょう。


「殿下。わたくし、お父さまのような方が大好きなのです」

「騎士団長であるお前の父か」

「ええ。お姫様のように横抱きされて塔の上から助け出されたいという希望を叶えるには筋骨隆々とした方でないと、場面が映えないというのか、安心して身を預けられないというのか。髪もはげるのを心配するよりは一層清々しいほどつるんとしている方が好みでございますの。本当に申し訳ありません。殿下のように線の細い彫刻のように美しい男性は好みではないのです」


 申し訳ないような顔で告げれば、殿下は顔を歪めた。


「お前は、俺を馬鹿にしているのか! それぐらい俺にだって……!」

「殿下はわたくしと婚約破棄したいのですよね? わたくしの好みに合わせなくともよろしいのですよ。では、用事がありますので御前失礼いたします」


 まだ何か言いたそうな殿下を置いて、茶会会場を後にした。

 愛しいあの人に愛を告白するために。






このお話を育てるにあたって変更してはいけない点は以下となります。


1.政略結婚を前提とした婚約をしている。

2.主人公は婚約者を好きとも嫌いとも思っていない。

3.婚約者は一般的にはイケメン。ただし、主人公の好みとは異なるため、イケメンとは思っていない。

4.主人公には他に恋する相手がいる。

5.胸糞展開不可


悪役令嬢ものの変形バージョンです。異世界恋愛で書いています。


王子とのすれ違いや王子の思い人ってどんな人だろうか、また主人公の恋する相手はどんな人だろう、衝撃的な出会いとはなんだろうと色々考えるのが楽しいです。王子も本当に顔だけの人でしょうか。盆暗にするのも、秘められた能力を発揮するのも書き手次第です(*´ω`)


変更してはいけない点が守られていたら何でもありです。ホラー展開してもいいし、ヒューマンにしてもいい、ハイファンタジーにしてもいいですよ。




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