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干支達の夢

干支達の夢 その十一b 【犬子さん お正月バージョン】

犬子さん、と心の中で呼んでる人がいて……

犬子さん、と心の中で呼んでる人がいる。当然周りの皆はそれを知らない。

彼女は八方美人だ。誰に対しても愛想がいい。だから犬子さん。

彼女は小型犬だね。間違ってもセントバーナードや秋田犬じゃないね。


休み時間になると彼女は決まって何人かでトイレに行く。

多分自分がしたくなくても付き合いで行くんだろう。

誘われたらイヤとは言えない。だから休み時間毎に行くんだね。

お尻は腫れたりしてないかな? 犬子さん、大丈夫?


お昼休み。犬子さんは忙しい。どのグループにも顔を出さなくちゃいけないから。ほら、あんまりひとつのグループに時間をとってると、よそからクレームが来るよ。大丈夫? 犬子さん?


放課後は。多分犬子さんは頭を悩ませているに違いない。カラオケに行くグループ? コンビニに行くグループ? それともライブに行くグループかな? 体は一つだもんね。悩むのも当然だよね、犬子さん。


本当は。本当は犬子さん、あなた、評判が良くないんだよ。分かってないよね? あの子、誰にでもいい顔しちゃってさ。信用出来ないよね。そんな評判、知らないよね?


犬子さんが犬子さんなら私はきっと猫子だろうな。一人を好む。ていうか友達がいない? でもまぁ、私は猫子だから、そんなのは平気だけどね。

でも、時々犬子さんが羨ましくもあるんだ。ホント言うとね。

誰にでも愛想がいいっていうのは、平和を愛するから。誰にも嫌な思いをさせたくないから。だよね? 多分そうだ。犬子さんは優しいんだ。


だから。犬子さんが一人で泣いているのを見た時、私は思った。犬子さんと友達になりたい。優しい人、犬子さんと。


新しい年が始まったなら、猫子の私だけど犬子さんに声を掛けてみようと思う。たぶんそっけない言葉だと思う。だけどそれは猫子なりの精一杯の感情表現なんだよ? 気づいてくれるかな、犬子さん? 気づいてくれたならきっと私が守ってあげるから、犬子さん。


あ、もう新しい年だね。そう、猫子の私は、甘える練習もしてるんだよ。


だから犬子さん、休み明けには笑顔で学校に来てね。犬子さん、きっと大丈夫だから。

犬子さん。犬子さん……


きっと大丈夫だから……年明けには笑顔で学校に来てね……

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