曇天模様
窓の揺れる音で目が覚めた。
寝台から身を乗り出し、外の様子を除いてみると、勢い余る用水路が畦道を削っている様子が見える。
それを見るなり動く気にもなれず、また横になった。
雨はあまり好きでは無い。
私は小さい頃から、雨の日は親がいて、寝転ぶと怒られるから、部屋の隅で絵本やら小説やらを読み耽り、ひたすら時間潰しをしていた。
その親が出かけるのはいつも晴れた日だった。そんな日は親は早朝に私を起こし、急いで、三輪車を飛ばして出ていくから、私はすぐにうたた寝をしていた。
部屋を与えられた今となっては、自分の空間に入れるから、干渉も少ないが、親が外でバタバタとしていてイライラするから、部屋を出る気にもなれず、やっぱり自由がない。
私は寝台の上で
「親も雨も消えれば良いのに」
なんて、つぶやいてみた。
すると不思議な事に曇天は晴天へといつの間にか、姿を変えていた。
親の足音もない。
全ては私の思い通りになったような気がした。