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あれから二週間。お隣の幼馴染みから連絡は来ない。昔からケンカすると俺が折れていたからなあ。まあもう俺からは連絡しない方がいいだろう。もう片方のお隣の吸血鬼は二、三日に一度家にやって来て血を吸う。姉ちゃんがいるときには来たことがない。何故かを聞いてみると耳がとても良いから俺の家の音くらい余裕で聞こえるらしい。逆にしんどくないのかと尋ねると慣れるものらしい。そう、何事も人間は簡単に慣れることができる。吸血鬼だってそうなのだろう。
ということで、相変わらず昼過ぎに起き、学校に行き、夜は仁か女と遊び、朝方帰る。たまに美しい吸血鬼がやってきて血を吸う。変わったことと言えば、香水くさい女は嫌いと公言して近寄らないようにしてるくらいだ。姉ちゃんには「お前は私が嫌いなのか」と言われたので姉ちゃん以外のと付けておくことにしているが。でもまあ、高校を卒業したらホストとして働く予定でいるので、そんなワガママも言っていられないけれども。
そして、吸血鬼の女がいつまでこの街にいるかも分からないのだ。俺はそれを知りたいのに聞けないでいる。
そしてもう一つ、知りたいことといえば彼女の名前である。一度、聞いてみたら本当の名前は眷属にしか教えられないと言われた。俺が彼女の犬歯により吸血鬼になったら知ることができる。しかし、その予定は今のところない。通称の名前があるらしいがドイツ語で発音が難しかったため、大体はお前で済ませている。日本語での意味を聞いたがあまりにも厨二だったために気恥ずかしくてそれで呼ぶことも出来ないでいる。
そんな平凡なのか非凡なのかも分からない日常を過ごしているうちに、明日の終業式を終えると夏休みである。