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昼休み終了間際に図書館に着くと、わずかに残っていた利用者は我先にと出ていった。そんなに急がなくてもいいだろうが。図書委員の平凡な男の子から鍵を借りる。震える手で鍵を差し出さなくてもいいだろうが。
仁は、日当たりのいい場所のソファーで寛ぎだした。俺は適当に経済学の本と心理学の本を見繕って、座席に座って読み始める。夕方までに三、四冊はいけるだろう。
「侑都って何気に努力家だよな」
「そりゃまあ女の子にモテるためならね」
「っていうか、ホストになって金稼ぐためだろ」
「まあねー」
「シスコン」
「否定はしないな」
仁は俺の家庭事情を知っている。
「俺もいっぺんあやめさん抱きたいなあ」
「高いよ、あの女」
「友達割り引きは?」
「ねえわ」
っていうか、清楚じゃないぞ姉ちゃんは。
うつらうつらし始めた仁を放置して俺は読書に勤しむ。
無事に四冊を読み終えた頃に仁が目を覚ます。
「帰るか」
「だな」
超常現象の雑誌を持っていこうとしたら、仁が首を傾げた。
「空から美少女が降ってきたんだよ」
「は?」
「俺にも落とせない女がいたってこと」
「は?」
意味が分からねえとぼやく仁と学校を出る。
「今日は合コンは?」
「気分じゃねえなあ。焼肉でも食いに行く?」
「いいなそれ」
仁と入った馴染みの焼肉店でたらふく肉を食べたあと、割り勘して帰る。マンションを見上げても、今日は美少女は降ってこなかった。