王の刃
「1.2.3……5人か」
人の気配の辿っていくと、廃墟で一番大きい部屋の中を国の捜査員が荒々しく探索している。どうやらまたも俺達のいる場所を特定されてしまったらしい。
ここ一週間だけでもう二度も特定されている。今回で三度目だ。
暗殺術や隠密的な戦術は苦手なのだが、敵の先手を討ち、陣形を壊すにはそんなことも言ってられない。
物陰に隠れ、ナイフを手に持ち、自分と一番近い距離にいる敵に的を絞る。
「おい、そろそろ別の部屋に行くぞ」
捜査員のリーダーらしき者が声をあげる。その瞬間に目をつけていた敵にナイフを投げる。
ナイフは見事首元に刺さり、敵は声にならない声を出しながら倒れた。
一人目。
どうした、と叫びながら倒れた奴のもとに近寄る捜査員に一気に走り寄り、襲いかかる。
敵の頭をしっかり持ち、一気に回すと、首元からゴキゴキゴキなんて音がして、首を逆向きにしながらその場に崩れる。
二人目。
続けてその敵が持っていた銃を使い、少し遠い距離にいる敵の体を打ち抜く。
三人目。
「てめえええええ!!」
と、怒号をあげながら残りの二人が銃を撃ってくる。弾切れになった銃を捨てながら横に走り、落ちていた鉄の棒を槍投げの要領で投げると、敵の心臓部を貫き床に刺さる。
四人目。
弾切れになった銃をカチカチとならしながら、ひぃっ、などと嘆く敵に一歩一歩ゆっくり近づく。
腰が抜けて動けなくなったそいつの首を持ち、思いきり締め上げる。
「た、助け…… たすけて…… 息が…… カァ……」
そんな言葉を残して五人目も息絶えていった。
捜査員の持っていた銃を回収する。これも立派な戦力である。
またすぐに移動しなければいけない。次はどこに拠点を置こうか。そんなことを考えていると後ろから王の声がした。
「終わったか? また今回も派手にやったなあ」
視界の一部が陽炎のように歪む。するとそこから今まで姿が見えなかった王が現れる。
このような事態のときには、王は自身の魔法を使い、姿を隠すのだ。
「すぐに移動しますよ。ここも時期に援軍で埋まります」
俺と王はその場を後にし、次の拠点を目指した。
前回からめちゃくちゃ日があいてしまいました!申し訳ない気持ちでいっぱいです。
又吉さんの書いた火花を読んでみたんですが、やはりその表現力に感銘を受けました!僕もはやくあんな表現できるようになりたいなあ……